平和なひとにしか着られない服があるらしい。あたしも着たい。「似合わない」の散弾銃を浴びたい。身体中ぼこぼこに開いた穴から零れるのがうつくしい宝石なら生きた価値を見出せる気がしている。証明させてよ。フリ ....
真夜中のスーパーマーケット。どこにも行けないわたしを守る光の零れたシェルター。その隅で半額のお刺身を手に取る。賞味期限の近い3割引の食パン、腐りかけの安いバナナ、廃棄寸前の玉ねぎサラダ。見放されたもの ....
壁にもたれてる膝の頭が黒ずんで
地球のホクロみたいに残された
この家は少し広過ぎるから
ひとりでいると寂しくなるよね
膝を擦ると火が起きる仕組みで
燃やしてしまおうと思ったけれど
....
あれっきりだけれどお元気ですか
月と火星を指でつなぐくらいの距離
びゅんと、目をつぶっていれば三時間くらい
インターネットがぼくらの秘密基地から
渋谷の交差点になったころ
あいもかわらず ....
何年たっても進歩しないのが
肺機能検査だ
口に筒みたいなのをくわえさせられて
鼻は洗濯挟みみたいなもので息をとめられて
思いきりハアーとはいてください、と何度も言われて
親の敵みたいに必死に ....
わたしがあなたに触れるとき
十のマイナス何十乗秒前のあなたを認識しながら
触れているのは何秒前のあなただろう
あなたがわたしの声を聞くとき
あなたに流れるのはいったい何秒前のわたしですか
....
朝の薄い明かりとともに
四方八方から鳥が鳴き始める
少しずつ開き始めた花がある
ひっそりとひらめいた理性がある
何も残すことはない
すべてを未来へ展開していけ
鳥の鳴き声は雷雨のような
....
私の人生、1台も新車を買えなかった
カーライフ
私のカーライフ
何台かを乗り換えてきたが
カーライフ
みんな何処かの知らない誰かが乗ってた車
カーライフ
私の人生に新品はなかった
何処 ....
親と両国で会った
そして 帰る電車に乗った 地下鉄で
それは 自分にとって何だったのだろうと考えていた
話していたのは空の色についてだったのかもしれない
一日中 考えていた そんなこ ....
昨日はsと池袋で会った
特にそこで何も考えることもなく
ドン・キホーテの二階で 特に
何も 考えず 人波に飲まれながら
僕は目新しいものもないような気もしたが
この人の熱気に包ま ....
雨の日のあくる日
学校のうらの公園に
みずたまり
ができていたよ
みずうみ
みたいだったよ
みずうみには
ケヤキの葉っぱが陽に射られてみどりに
きゃあきゃあと光っていたよ
女 ....
駅が好きだ
旅行者がいる
外人がいる
妙齢ご婦人の三人連れ
急いでいる人
見上げる人
せわしなく
人が動く
何かの目的に
人が動く
あなたと
待ち合わせたことも
....
ときどき旅に出る
バスあるいはロマンスカーで
目的地を通り越して
家に帰るために
ごくまれに家出する
抵抗あるいは革命のために
気恥ずかしい迂回の末
家に帰るために
....
突然思い立つ
始めよう腹筋運動
この瞬間に 男子の 可愛さ 幼さ 儚さが
凝縮されている
見られていると意識した時
キュっと 腹筋に神経集中
....
通学路、夏空から墜落したした機体の残骸で足の裏を切った
あの日の匂い立つ湿度や吹き抜けるからっ風を思い出すと
流れた血が止まらない
なめたら幼い頃の思い出の味がした
MP3が鼓 ....
行間のしろいまぶたが
きんいろに開かれてゆくことがある、としたら
白百合を青い糸で綴じたのは余計な悪戯だったでしょう
木の陰に残された小人の足跡
そこにも宇宙にも
数え切れないほどの静寂 ....
昨日今日
雨 以外空から降るものはない
雨の嫌な匂いが
眼から耳から口から 体中の皮膚から容赦なくしみこんでくる
雨が降る度にそんな風に感じるのは
何も私だけじゃないだろう
車のハンド ....
ゴールデンウィークに向かう列車の中
しかし 暗い顔をした人間は 列車の中では
私一人ぐらいだった 特に 予定はなかった 今では
それを考える事自体に私は疲れ果ててしまうほどに
自分に正 ....
羽化せずに死んだ情熱は
ささくれを剥いたら
溢れ出しました
仰いで歩くと
青すぎて迷いそうだから
椅子に座って待ちました
もうかさぶたになったのに
壊れ物を扱うようで
ひどく目 ....
鉱石のカタチに眠りを刻んだ空と空を
葉桜の枝が、受けとめる
おぼつかない片手で
時計を読むようにして
枝と枝の間の
石英を拾うようにして
いつもの仕草が
似合わない
薄 ....
町に出る
屋根の赤い銀の車で
赤子が泣く
屋根の黒い黄色い車に
ごま塩頭が足を組んで
ウインドウから通りを振り返る
汚れた風が初夏を吹きわたる
新しい靴を買おうか
まだかか ....
くちづけは乾いていて
忘れたころに香る
五月の庭は騒がしく潤み
ひらくたび
こまかく傷ついていく手のひらで
世界を泳いでいる
まだ知らない
なにも知らない
溺れるように街を掻き ....
24時間換気の音がうるさくて眠れなくてここに来てる
ひとことダイアリーを見返して思った、俺 ほくろ好きだなって
初恋の子も白い肌に小さな点があって
だから好きになったわけじゃないけど可愛く見えた ....
ある朝神様が訪れ
世界を金色に変えて
日射しは蜂蜜の味になり
風はいつかの花の香り
人々は優しくなって
眠りは深くなった
時々は雨が降り
寂しさが夜を押し潰す日もあったが
....
父母が買った墓を見に行く
高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る
このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
罪人を眺めている
誰かの腹の中のように風のない夜
迎え火が目蓋の此方
灰に包まれた心臓のよう
ゆっくりと消えて往く
ただ罪人を眺めている
正義については微塵も語らない
なにかを殺し続ける ....
継続こそ力なり
小学生2年生のあの日から
ご飯を抜いた日はあっても
オナニーを抜いた日は無い
ヌクのを決して抜かなかった
小中高の修学旅行のときも
部活の合宿のときも
高熱を出し ....
雨が近づくと
植物の匂いが強くなる
それはまるで
隠す気のない事後のようで
私は好きになれない
(きっと
罪悪感の裏返しね)
彼の車に乗って
高速を使い海へ向かう
やがて雨が降り ....
暖かな陽の光が差しこむ
昼下がりの各駅停車
疎らな乗客
緩やかな進行
部活を終えた女子高校生が
座席でふたり 眠っている
この状況は
とても身近なことの暗喩
ではないだ ....
地域の八つの水路清掃の
約一週間の日程についての
話し合いがあった
一通り話し合いがついたところで
知らないのは僕だけかも知れませんけどと
ことわっておいて質問した
天気が悪くて延期する場 ....
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