人は昔
山や森から旅立ち
平らな場所を更に平らにして
共同体を作り
田畑を作り
自然から借りたものから
自らの築き上げたものから
実りを得ていた
今もそれは続いている
しかし
....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
そこに 意味などないのだが
枯れかけた木が立ちつくしている
言葉もなく木は 立っていた
風に 吹かれて
失業者となったばかりの私の目の前を通り過ぎる
微かなため息だけが いつも
遠 ....
指の味がしそうな塩水というはなしを書きはじめると、たばこ屋のシマさんが居酒屋おかるの前で足をとめる。月面にでもロシアにでも辿り着けそうな路地を、がに股で歩いているような男が、でてきて、着ている ....
泥のなかに いたね
いつも そこしか
なかったね
汚れることなど なかったね
すべてを 受けて
おのおのだった ね
なんにも 簡単じゃなかったね
だけどなんにも ....
こどもたちの柔かい足のうら
パンのくず
魚、いるかな?
丸い5つの指を持つ足のうら
太古の感動を砂に記し
波の中の気泡に笑う
こどもたちの小さな足のうら
血管の美しくすきとおるそ ....
あんまり天気がいいので
かなしくなってしまう
あなたが
ここにいないのに
タイルの目まで
すべてただしい
私が見た夢は何なのか
過ぎていく幻の中で
いつも私が見ていたもの…
それは現実なのだが
明らかに異国の風景を思わせる
遠くにそびえる街の中で
私が一人で手にしてきたもの
多くは 縮れ ....
今朝は左足から玄関を出たので、帰りに雨が降ってしまった。
降り注ぐ水滴は国家予算を否決させ、太陽の寿命を2年縮めた。
おかげで地球裏の内紛はとりあえずの終結を見、駅前のパン屋は赤字になった ....
生まれて初めて
合コンというものに行った
どうやら
男が童貞であるか、そうでないかは
話の内容や、話し方ではなく
第一印象でわかるらしい
居酒屋の座敷で俺はまるで
金魚鉢に入れら ....
虫が一生懸命鳴いている
それが息切れしたのか止む
ちがう虫がたどたどしく鳴き始める
少し静かになっている
虫たちの声が星のようだ
あなたのことを考えながら
そん ....
聴こえますか 聞こえますか
私は一定軌道を回る孤独な人工衛星
何千回もつぶやいた孤独な詩
誰かいますか?
答えのないまま問い続ける
誰かいますか?
地球と言うゆりかごの外に ....
秋葉原の、ケンタッキーフライドチキンに並んで、
ポテトつきの、セットを買う。
つわりのひどい人が、ケンタのポテトだけが食べられた、
というのを雑誌で読んだから、
個人差があるので、単純参考には ....
ある日 ふと目覚めて 当てなき旅に出る
見送る者はない 道連れは影法師
そして君に出会い 共に語り合って
癒えない傷を見た 微笑みの裏側に
はるか遠く 旅に出かけよう 心のおもむくまま ....
時の器に
夜がすこしづつ満たされていく
眠りついた月の横顔
埋もれた砂時計の砂丘は、はだしのぬくもり
天よりふる砂を見つめては
閉塞されたガラスにふれる
砂の音はや ....
谷底から吹き上げる風に向かって
飛び込んだ僕の身体は
そのまま上空に飛翔し
十五夜の月 月面に向かって落ちて行く
青い地球の表面で
わずかに塵芥のように
へばり付いていた
悩み後悔の ....
私の兄貴は…よく
【奇跡】
という言葉を使う
日常の他愛のない…
事にすら【奇跡】
という言葉を使う
以前はその兄貴の
【奇跡】という言葉を
聞く度にバカにしてた
軽々し ....
国道沿いの
ひと気ないバス停
それは待つための場所
立ちどまるための
誰かを摘みあげ
載せてゆくための場所
僕も
君も
....
たった1年で
大人になった猫は
春には泡立つ光の匂いを
丹念に嗅ぎ回りながら
ひとつ歳をとり
夏には風呂場のタイルの上に
長々と寝そべりながら
ひとつ歳をとり
秋にはふ ....
きみが
見送りつづけたあのバスを
撮ることなんて
出来なかったけど
きみが
待ちつづけた
あのバス停とベンチとを
ぼくは撮ったよ
現像なんかしないけど
捨てたりもしな ....
残ったのは
氷の溶けたグラス
半分空いたボトル
そのグラスのふちあたり
ボトルの空洞のあたり
過ぎたもののかたちは
残ったのは
口づけ
残ったのは
あなた以外のすべて
....
きょうもいくつか裏切られ
それでもきょうは平穏だった
この夏スーツで通した俺じゃないか
たとえ悪意があろうとも
悪気はないんだ仕方がないんだ
日々の試されに
逃げず ....
やさしさが雨になって/降り注いだ真夜中
渇くばかりの僕達は/いつだって孤独が恐ろしいということを/宇宙に吐き出している
うちゅうは こどくの かたまりだ
真夜中の雨/さびしいと哭 ....
なかなか絶望って訪れないものね
まぶたを閉じてもちらちらと
光の粒が見えてしまうように
希望ってなかなかしぶといものね
自殺志願者の手首に
ためらい傷ばかりが増えていくように
だか ....
高い山の上にある洞窟の中
さかさまに本を開いて
愛しいあの子の為に記号を探す
手紙を綴るために
相応しい記号を贈りたいのに
不味くて吐き出してしまったり
美味しくて食べ過ぎてしまったり ....
悪い癖だと叱られた
食べてすぐ横になると牛になると言われたが
病人は食べてすぐ横になっても
牛にはならなかった
子ども心に不思議に思った
病人は注射を打っているか ....
幾世紀もの家族がつながった半島の先端
岬はいつもそこにあって
空と海の高さを測り
見知らぬ明日の水平線を描いてきた
海を渉る鳥たちのために
半島に帰る人びとのために
灯りの落ちた ....
{引用=一}
地面がないときは歩かない
そう決めてたっていうのに
地面がない
地面がない
地面がない
ぼくはこわくて ひたはしる
足がないときは歩けない
そう思ってたっていうの ....
電車内、「あの子リスカしたらしいよ」と吊革を掴んだ左手に包帯を巻いた女の子をけばけばしい睫毛の下の小さな二つの黒目で刺しながら女子高生が大きな声で言った
夕闇の中を軋みながら走るぼろぼろの電 ....
もう骨身にしみて
地上の風景が分かっている我々。
地上には乾涸らびたバッファローの頭蓋骨
灌木に砂、掴むことの出来ない短い丈の草と
土煙を上げて往来するトラックの群れ
遠景に岩山が望めるが
....
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