すべてのおすすめ
脚立の上から見下ろしている
もぎ取った橙を
放って
妻が受け取る
段ボール箱に黄色い香が詰まる
橙は枝から離れた瞬間から香りが立つのだ
春が近い
そうだ
今晩は鍋にしよう
橙の汁を搾 ....
祭囃子を抜けると
そこに空白があった
二抱えはありそうな大きさで
私の祭りは勢いよく吸い込まれていった

振り返ると
ソースの焦げる匂いと
屋台の灯りがあった

外灯に虫が集まり
 ....
空白を塗りつぶす
色を慎重に選び
枠からはみ出さぬように
息をつめて

私には絵を描く才覚などない
から
他人の描いた線画を
色で埋める

五十色入りの
色鉛筆の缶が私の器量だ
 ....
空白にワインを注ぐと
それは好い音がする
高価なものでなくてもかまわない
ワインであることが重要なのだ

瓶の口が空白に触れ
香りが立つと
耳を澄ます
ゆるゆると空白の肌を滑り落ちる
 ....
空白は皿の上に在る
私はパンを籠から取り
ナイフで割る
そして
硬く焼きあがった皮を千切り
ワインを飲む

空白はやはり空白のままで
給仕が皿を下げ
新しい皿を私の前に据えた

 ....
山人さんの曲がり屋レオンさんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春が近いけれど今晩は鍋だ- 曲がり屋 ...自由詩211-2-14
空白_Ⅳ- 曲がり屋 ...自由詩210-11-28
空白_Ⅲ- 曲がり屋 ...自由詩510-11-23
空白_Ⅱ- 曲がり屋 ...自由詩210-11-23
空白_Ⅰ- 曲がり屋 ...自由詩510-10-26

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する