引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算

蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
昨日と今日 その間に突然刻まれた割れ目
いつも通りの景色 全てに影が落とされたよう

明日になれば何事もなく一日が始まると思っていたけど
どうやら単純に解決する問題ではないみたいだ

世界 ....
夕暮れの名残を街の灯りが飲みこんで
一斉に路面を照らすヘッドライトは起床の景色を思わせる
これから、のひとたちがにわかに活気づいて
ここまで、のひとたちがアイフォンを眺めながらバスを待っ ....
mind heaven

長い永い旅を終えて へとへとに疲れたあなたが
最後にたどり着いたのは 生まれた日のような
優しい光の場所 最初に流した涙の跡に
新しい涙がこぼれ落ちて また動き出す ....
良かった とたくさん書いてある手紙
挫折した私にあてた 亡き先生の言葉

都会の勤めを一年で辞め地元に再就職した
仕事を覚えたての私に

あなたの事だから きっと会社の利益になる
早く決 ....
5月の朝
空に光は形を成し
僕は空を歩く

足跡は新緑の木々に
萌え初めた木の葉に
閉ざされた瞼のような、そのそよぎに

色を変え、心を留め
未来を孕まず
輝く朝の
今を握りしめ ....
要するに
しっぽ
なんだと思う

ブロック塀を
渡る猫が
しっぽ
ぴん、と
アンテナ立てて

バランスをとる
そろりそろり
それでいて
悠然として

しっぽ
うっかり落 ....
*こんさい

想像に難くない範囲で
丸々としていく姿に見とれる
絡まったり
時に、何かに潤されたりしながら

どこかの食卓に並ぶ
あんまり嫌われることもないから
それ ....
公園に暮らす薄汚れたおじさんは
低い木の上にあるベッドで眠る
段ボールや衣類で組み立てた防壁
雨の日にはブルーシートの屋根を敷いて

公園に暮らす薄汚れたおじさんは
一日中ぼんや ....
お客様 忘れ物でございます。
振り返ると 拗ねた私が席に座っていた。
すいません ありがとうございます。
お礼をいい 私の手を引く。


夕方 電車に乗る。
空いている座席がなかったので ....
梅雨前線
低気圧

湿って
じとじと
一日中の雨

太陽光はなく

昼でも
薄暗い北の部屋

聞こえるのは
雨だれの
音ばかり

寒いのに
蒸し暑く

頭を置いた ....
  夏が来て
  巨きな足で僕を
  やさしく踏みつぶしていった
  蟻より小さく
  原子よりもっと小さく
  僕は
  ただの言葉になった



  それから南風に運ばれ
  ....
一生に一度 誰もが てっぺんに登りたいと思う
私もその一人だった
そう信じてた

だが てっぺんに長期滞在するほど体力は無く
高山病になってしまうかもしれない
私は柔である

居座る欲 ....
私は この 長すぎる夜の中で
何を思えばいい
私は歩いた
きっと この とても 長い距離を


景色の向こうに
星たちを見た気がする
それに手を伸ばしていたのはいつだったろう
もう  ....
麦の穂がりいりい、とゆれる
すみれ色をした空想の
行き着くあたりで
番犬みたいにとびまわってる
ぼくは忠実なひばりでありたい

かなしみをかなしむとき
いつくしみをいつくしむとき
太陽 ....
薄紫の
花を
目が食べ
目覚めたとき

その直後も
草を食むように
咀嚼しつづける
夢見の歯車

ふと遠い日のすももの果実
熟れて柔らかに割れ
したたって染みる
濃い赤紫 ....
「落ち着くために君のすることのすべては、大きく深呼吸することだよ。」

メモ書きが机の上においてあった。
誰が書いたかも、誰がおいたかもわからない
そのメモ書きを見て私は妙に安心したのだ。
 ....
約二億回目の呼吸をした僕は
約一億回目の呼吸をした僕を想った

あの頃は生きる意味を捜し求めて
自問自答をして苦しくて、苦しくて

今では捜し求める余裕も無く
ただ毎日を消費している ....
夜道にぽつり 
焼鳥屋の赤提灯が、揺れて 
暗がりの地面に映る 
丸い灯りの場も、揺れて 

濁った世間の暗闇で 
この両肩にずっしり乗せられたものに 
膝のくず折れそうな、夜 

 ....
落語を聞きに行くのが、
今は、楽しくてしょうがない、そうゆう時期なのだろう。
初心者だから、
いろんな噺に、初めて当たるのが、
小学生の頃の、
ガチャガチャみたいに楽しい。

今日は ....
ただ 紺 としか言いようのない色の
ベニヤのようなうすっぺらい壁面の上に
サビだらけのトタン屋根がふわりと乗っけられている
建物そのものが 甘く針金で結わえられて
地球の上に ふわりと ....
 昔の帯地や

 古着などを見る

 大和の帯には

 夢が宿る

 芸者や上?や素人娘の

 身につけた小物など

 妻が蚊帳の生地を買った

 二千円

 庭には赤 ....
{引用=
鴉の眼に宿る一閃の煌きが人々にとっては畏怖でしかなくとも
夕暮れに戻った巣の中では献身的な愛を育む母鳥であるかもしれない
そう言ったおまえのイメージからははっきりと
精巧な素描の上に ....
昼下がり、一人の子供が道端で待っている。
何を、というのではない。ただ当てもなく待っているのだ。
小さな眉をかすかにひそめ、人通りの絶えた路地を眺めている。
年に似合わぬ気配が、傷ひとつない ....
あなたの狂気に触れた時わたしは海の底へしずんでしまいたかった
あ、共鳴してる。
(そんな気がして)
熱くなるのに気づかれないうちに海の底へしずんでしまいたかった
(深海はつめたいわけではあ ....
人間はきっと誰もが不安だ
生きる理由を無くしたとき
一体どこへ向かって歩けばいい
私にも それが わからない


買ったばかりのギターで
何を弾けばいい
何もわからなかった
観衆 ....
しらないまちを
あるいた

しらないというだけで
まちはふるくなり
あたらしくもなっていく

しらないまちのひとにも
わかるような
ことばではなした

ほとんどつうじ ....
樫の木に
素直に、彫り刻んだ

少年の言葉…。

僕は
決して、忘れない…。

あの時に
鋭く、光った

あの少年の輝きを…。
念のために確認しておく

モーソー
それはある
内容はない

カップラーメンのから
空っぽのビールの缶
それはある
それらに手はない
足もない

カッターナイフはある
ナ ....
だんだんたくましくなって
太くなる脚、腕、首

子供はいつのあいだに
おおきくおおきく成長するのだろう

草が土に深く腰をおろすように
君も精いっぱいの力で生きたまえ
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