久々に平日休みの旦那と スーパー行脚
夕食を 何にするかと
立ち止まった コーナーは
丁度 値上げで タイムリーな
粉売り場
それでも たこ焼きを 買わんとす。
....
挫いたかもしれない足を雪につけて
痛みをとりだそうとする
できるような気がする
染み出した汗が白い雪を痛みの色に染めて
(それはきっと緑だ
濃い緑
深く昏い海の底
....
街灯はひとりぼっちで
ぼんやりと俯いている
その下で僕もまた
俯いて本を読んでいる
街灯に寄り掛かって
時々落ちてくる
蛍光灯の燃える音を
悴むこころで捕まえる
白く息をひとつついて
....
だれ だろーな だれ だろーな あなたは いったい だれ だろーな
あとらんてす むー れむりあ みすてりあす こだい じーん
あなたを おもう こころが いたくて おもくて
ききゅう ....
すべてのものを等しくするために
雪は降り積もった
道路も畑も建物も樹も
すべて等しく白の諧調に集束する
想像もつかないほど遠くにある白さが
具体化した永遠のようにすべてを覆い
....
ずいぶん遠くまで来たものだと思う
そうは言ってもどこから来たやら
はじまりなんて分からないけど
それでもここは遠くなんだと
風のにおいがささやいている
ずいぶ ....
悪は一つの矛盾した実り
弱くふるえている果肉を守るために
幾重にも重なった硬い果皮
善であることは実ることを拒絶すること
果肉が傷ついても
それに耐え続ける強さがあるというこ ....
西日の強い秋の日に
燃え落ちた赤ピーマンの残骸に目をやりながら
駅前のツタヤと惣菜屋へ向かう
ジャーのご飯に合う惣菜を
ツタヤで十代に戻れる私を
選んだはずなのに
コンビ ....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口
ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
....
平日、休暇を取っていると、人々の鳴らす機械音が遠くから聞こえてくるようだ。みんなが労働という祭りをにぎやかに執り行っている、その祭りの囃子が風の具合で届くのを遠くで聞いているような気がする。友 ....
紳士が帰宅した
トレンチコートの内側に
あらゆる苦悩を抱えた顔して
ただいまも言わず
リビングに突っ伏して
苦悶に入る
うめき声すら上げそうな
夫の姿を
妻は横目で眺め
そういうこと ....
遠い世界の音
聞かせて、僕の耳に
失われた、古代の
あるいは、未来でもいい
遠い世界の音
聞かせて、僕の耳に
無理矢理に心臓を
捻じ曲げるような夜中
薄暗が ....
Era
惚けたように突っ立ってたら
怒鳴られて 渡されたトンカチ
わけもわからないままに
今に釘を打ち込む
手の平にできた血豆が潰れて
放り投げたトンカチ
通りかかった先輩が拾って ....
佇んでいたのだろう
あの時のわたしは
苦手なことを並べた
傷付きたくなかった
それでも出会いを求めて
やって来た
缶ビール片手に
やわらかな言葉で話す
路上に座り込み
生活者 ....
週末3連休でバイトもないから
金曜4限の授業さぼって実家かえった
久しぶりに手づくりのおしることか飲んで
再放送のドラマみて「あははあは」って笑って
シチューつくるのに牛乳切れたって母さん ....
なんかいか
うまくやるために
犠牲になって
しんでくわたし
しなびた夜だ
ただただ空気がつめたくなって
朝がきてきえていく
さようならあの恋
あのときの匂いが ....
彼女の名は、るーしー。
る の 文字の書き順で 自分の頭のネジを
くぃと回すと、しーと、清いものが流れる
彼女の姿は、蛇口
流転の物語の筋道を たくわえていて
ひつようなだ ....
夜中の駅のホームで
人々は抜け殻になっている
自分が自分であることも忘れて
次に来る電車の上に心臓を預けてしまっている
今日どんな仕事があって
どんな成功と失敗があったか
仕事 ....
より良き生活のため神経の野菜畑を耕し、
朝日眩しい熱病に身体を委ね、
街を徘徊するのだ。
貪欲の沼を啜り、文字列に擬態するのだ。
嘘の窓の隙間を滑るように、
明日の腕を引 ....
庭の手入れをしていると
どこからかぶらりと
見慣れない動物がやってきた
とても悲しい目をして
物置や車のあたりをうろついている
保健所に電話するか警察に知らせるか
本来ならばするところだが ....
いくらの軍艦巻に
乗組員、数十名
生まれることを許されなかった
鮭の卵たち
テレビのニュースに
独裁者
彼を許すまじと
人々はその軍艦巻を
一口にほおばりながら ....
仕事帰りの車の中から
電車が見えた
透き通る電車が
色彩を翻して川を渡る
うなだれて椅子に沈む女が
透けて見えた
腰より低く頭を垂らす女が
線路の遥か向こうに
燃え盛る森の感情 ....
涼しい風が吹いた夕暮れ時
落ち着かない気分で 遠くの街へと行った
ユーラシア大陸の反対側で
18世紀に作られた音楽を聴きながら
行った事のない神社へと向かう
月の光に照らされて
初めての ....
意味あり気にゆっくり沈む
巨大で感傷的なひかり
あれは詩ですか?
いいえ、
夕暮れです
毎日違う角度で訪れる夕暮れです。
公園の隅で地面に寝ている
赤や黄色
あれは詩ですか?
い ....
自転車である日
どこかへ向けて やみくもに
車庫の自転車をこぎ出したことがある
白いペダルをふみこんでいた
そして 誰もいない場所へ
暗闇の僕の目には見えない方へ
きっと ....
まいにち目にわかるほど大きくなっていくのに、娘はきちんと娘のかたちをしている。一日にすくなくとも一度はどうしようもないほど叫ぶ娘を抱いて、鏡や暗い窓にうつる自分のすがたを見せてやると、泣きながら( ....
少年時代
今とは違う奇妙な生き物だった
そのころ家の近くには古い寺があり
髪の毛が伸びると噂される少女の人形が納められていた
人形を実際に見たことはなかったが
子どもたちが人形の存 ....
そらが ぬけて
やまが 切り取られたかのように くっきり
やまぎわの空はしろく 天頂は限りがない
あきいろの あかねは
だ円のつぶらな目で ぬけたそらをみている
なんて ....
軽トラックの荷台に仰向けになって
青空を見るのが好きだった
実家から水田転化した林檎畑までは少し遠く
父の運転する軽トラックの荷台に乗り込み
寝転がって空を仰ぎながら道々を行った
時折助手席 ....
傷だらけの身体
見ただけで涙がでる
泣いちゃいけないのに
それでも腫れ上がった顔で
笑ったあなた
寄りかかっちゃいけないのに
ただあなたの胸で泣きたいと思った
抱きしめてあ ....
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