すべてのおすすめ
コロコロと
片鱗から崩れていく
時にボロボロと
少なからずゴーっと
右目の写りが悪い
左手が痺れている
頭の片隅で
何かがうずくまっている
憐憫の紫
夕暮れの青
茶色い湯気 ....
きみはぼくの知らないところで、ぼくの知らない人と知らないことをしているってことを、ぼくはきみから教えてもらった。スイッチはぼくが切ったはずなのに、きみは自由にオンオフできるようになったんだね。いつ ....
強い風に飛ばされそうになると
いっそのこと飛ばされてしまえと思うのに
足は踏ん張ってしまう
気持ちはここにあらず
空高く舞い上がっているのに
足は踏ん張ってしまう
意気地なし
自 ....
朝目覚めると空のコップが
ひとつ置かれている
わたしは満たす
さわやかな空の青さ
もうすぐ咲くだろう蕾の息遣い
少し焦げた目玉焼き ....
山から
猫のひげみたいな藤がでているね
紫いろのつんつんを
みあげて歩く道は
いつもの道
悲しくても
うれしくても歩く
いつもの道
スマートフォンを開くと、
差出人が不明のメールが入っていた。
タイトルはなかった。
ただひとことだけ、
(あなたのなかのあなたについて話してください)
とあった。
私は返信しようかするまい ....
シチリア陶器のにおいが
肺にひやりと触れて
食卓に佇むかすみ草は
ほろほろと崩れだす
心を涼しげにもち
からりと笑え。
重たい熱風に転ばされた
ちいさな天使
痛くとも泣くな。
....
内側
蟋蟀みたいな細長い脚で
かりかりと
引っかかれている
そんな感じ
続く
喉の痛み
また咳にうなされるのかと
眠ることに恐怖を覚える
そしてまた疼く
喉の内側
鳥は、
空を空と名づけない。
鳥たちにとって空こそが、
果てしない大地だから。
鳥たちは、
彼らは翔ぶことを意識しない。
彼らは空を駆けている。
全速力で、遠く、遠く。
魚は、
....
地上の夜がすぎさって
ぼくはずっと散歩してた
ように思う
すべては 夜の中
さびしいひと
無理でもげんきになって
また、体を出しにいく
夜の中で
あすになるまで待ってら ....
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
....
怖いもの見たさで 近付いて
痛い目みることも 有りますから
気を付けないと いけません
子供のころ 公園や 学校を 彩った
メリーゴーランド
回転する 傘のような 形の遊具
「 ....
毒も刃もすべて黙って飲み込んだ
スーツを身にまとった私は甲虫のようだ
土地が変わっても仕事が変わっても
私は同じ種類の甲虫
羽をばたつかせても決して飛べない甲虫
スーツに滲んでいる様々な言葉 ....
死は全てを呑み込んでいく、
奈落の底の虚無だ
魂は耐えなければならない
その恐怖を 独り乗り越え
名という名を剥奪された物質という物質が
肉という肉が己の魂を埋め尽くすだろう
正真正銘 ....
{引用=ゆれる、ゆれ、たちあがる、あわい、影に、
くるまれた、ままの、「わたし」の、身体は
ゆびさき、から受粉して 髪は緑にながれる
血が赤いという現実を、見捨てて、
血が赤かった ....
(星が過多に絡まる布を
ずっ、と引き摺って歩く)
祭りに群がる
こどもらの声
茹だり茹だる旋律の
真中で がぼがぼ溺れている
(乳の道をたどり
誰かが母に辿り着く)
私 ....
神は人の上に人を作らず
金は人の上に人を作らす
人は神に賽銭をあげて
金で買えない願いを求める
神を信じるために
金を信じてしまうなんて
互いにハシゴをはずしあった
ぼくらはあまりにキズつきすぎた
想像してあげることが愛ならば
愛はもうぼくらのからだにはキツすぎた
アスファルトを低く花びらが渡っていく
....
王様は旅の途中だったようです
お付きの者たちはみな逃げてしまったのだそうです
王様のいびきがものすごいので
ただ歩くだけの旅がつまらないので
王様一人でも大丈夫そうなので
実際悪人に ....
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だ ....
あの日、僕は立ち尽くしていた。
天使について綴った原稿を
夢の鞄に入れたまま
古びた出版社の、門前で。
地下鉄の切符売り場で
曇り空の東京の地面の下
蜘蛛の巣状に張り巡らされた、路線図 ....
トマト
セロリ
タマネギ
ニンジン
ジャガイモ
インゲン豆
マッシュルーム
鶏モモ肉
ベーコン
ニンニク
ショウガ
パセリ
ローズマリー
タイム
大地の恵みをシチュウ鍋 ....
特別って何だろうね
一度、聞いておけばよかった
そしたら
理詰めには
到底思いつけもしないものを
こぼしてくれただろうね きっと
時々
今でも
浮かべては問いかけ ....
朝の肌にはずむ、
夕暮のような愛 水いろにゆがんだ
その痕 わたしたちの歌は 数えきれない
むなしい花びらで埋れた これ以上、
あなたにはなにも云わない
夕暮れの帰り道で
ジャージ姿の青年達が
手にしたスマートフォンと
睨めっこしながら下校している。
少々早足で追い越す、僕は
声無き声で呟いた。
――染色体の一本多い、周は
彼等と ....
夜、おしっこに起きたときの
ベランダの外に広がるたぷたぷと波打つ闇や
満員電車でとなりあう
湿った背広のすえた臭いなど
そういうものを
とん、とん、とん、と踏んで
住宅街を俯瞰し
....
夢を 見た
青く暗い森を照らす
金色のランプ
彷徨い続けていると
やがて二次元の
紙の森になって
すべてが影絵になった
幼いころ
母が作ってくれた影絵
数十年ぶりに迷 ....
鉛筆で、ノートのページに横線を引く。
上に白い入道雲を描く。
太陽は紙の外側にある。
雲と横線の間にもう一本、水平線。
横線と横線の間にあるのは、青い海で、
白く波打つのは風があったから。
....
パリィン。
斬りつけるような輝き
立体に組みたてることを
途中で飽きられ
かたちにならなかった僕らの
最後の復讐
(また皿が割れた。
お母さん、お母さん。
僕 お母さんを愛 ....
車の運転はもうしなくてもよい
車が人を乗せて自動で走るからだ
そしてコンピューターという機械も姿を消した
言葉が、写真や絵文字となって
画像は脳へと直接送られる
ほとんど ....
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