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ポコポコ、ポコポコ
草なびく大地のどこかから
打ち鳴らす太鼓の響きが
聞こえてくる
訪れる春の気配に小躍りした若木が
己を縛る土のくびきから引き抜いた足で
刻むステップのように、軽 ....
いやなことばかり言ってしまい
そんな自分の顔をみたくなくて
夜ににげましたひとり
まっくらはこわいとおもってたけど
明るいほうがこわいね
星は遠くにあるからよくて
すぐそばだったらみん ....
低賃金で長時間残業という
蟻地獄から救われないのは
残業代からも税金が取れるからだった
風当りが強くなると
今度は働き方改革とかで
残業させずに仕事の成果は同じで
利益から税金を取ろう ....
新宿の伊勢丹の
いいお店で働いていたときに
うんとお買い物してくれたおばさまの
ぜんぶの指にひかる指輪みて
がっかりしたの
わたしの中には
スニフの落ちたガーネットの谷から拾い
....
足腰が
いたいを超えてくるしい
いたいは
やがて消えるのなら
いたいで済むけれど
ずっといたみが続くと
くるしいに昇格する
いたみやくるしみのなか
....
風は荒れ狂うものさ 解かるだろう
やがて虚ろな静けさだけが残るって
風向きを変えることはできないし
目的地を変えることもしたくない
帆船ってやつは風頼みの上
腕に頼りもやめられないってこと
....
意味はきらきらふる星だし
正しさはもえる草原で
寝息は世界のかぜ薬
あなたの頬がやわらかいうちに
知ってほしいことがたくさんあるけれども
なにひとつ教えられることがない
だからいつ ....
胃袋を焼く
少しずつ焼いて往く
脳を殺す
微細な匙の加減
からっぽの冷蔵庫みたいに
ロックンロールが居なくなると
窓と窓の間に挟まった
蛾の身悶えが
耳のすぐ傍から聞こえて来た
嘘だ ....
目を覚ました
しとしとと音がしている
しずかな朝の、
雨音の音階を調律するひとがいる
誰だ。
調律師は物憂げな顔で指先を動かす
ふと音がなめらかに
なったかと思うと
その指先は ....
すべてのものはうつろう
そのうつろいは後ろへとたなびく
そのたなびきはにじみつづけて
私はかなしい
すべてのものののうつろいとそのたなびきが
かなしい
すべてのものはうつろいつづけるから
....
霊的なこと以外は、妄想であったりふたしかなものだと痛感しています。
私が彼女と別れたのもそれに気づいたからでしょう。気づいたというか、確信したから。確信というより、思い出したから。
私は女の子が好 ....
横浜ー川崎間で
君の顔が浮かぶ
とりあえず昨日は去って
明日がやってくる
間も無く「 」が通過します
間も無く「 」を通過します
どこから私ですか
どこから今日で ....
工場の
金属板を打つ音が空に響き
僕はシートに深く座って
窓の外を見ている
電車は出発時刻を静かに待ち
構内のスピーカーの
沈黙が雨の音に聞こえる
涙は
いつも遠くから
そして人 ....
うすく欠けた月を
つつく
くちばし
埋もれたはねの
なめらかな湿りを
靡かせた風の
まだ
つめたい季節
いちまいずつ
剥いだら
花も
あめをよぶ
春はさらさら
なが ....
赤い砂漠の中心で
巨大なカタパルトが
果てのない空を見てる
これで月も落とせると
彼女は笑う
焼け落ちた高圧線とバラック
帰るための水も食料もない
あなたの云う、地獄と名のつく場所に連れていってくれと、私がいうのもおかしいので、その方へむかっていく背中を、みていた。煙草の煙にまざって、ゆらゆら幻影、だんだん、見えなくなっていく。私は噛む。爪を、噛 ....
二日ほど前
顔のあたりに穴が空いた
穴というべきかなんなのか
顔があるべきところに
冷たい空気がただよっている
加湿器から出たほわほわが
渦をまいてとどまっているようだ
きっとこれは ....
路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブラン ....
春、また
海のない街で
想いで腫れた胸のうちはまだ
ことばにならない
ばらが枯れ あじさいが枯れ
百合が枯れ 菊の花が枯れ
それでもまた 蕾がふくらむ
風が行き 雨が落ち
....
一つの知らせ
一枚の枯葉のように軽く
風の悪戯な囁きのようで
隕石のようにこころ深く
波立たせ沸々と滾らせる
一つの知らせ
冷たい火夢を注射した男が蜥蜴になって
すばやく夜の ....
アフリカへと船を出すのだ
絶望の北風を帆に受けて
たどりついた先で
乾いた大地を潤すのだ
うずくまる彼の悲しみの雨で
そうしてぬかるんだ彼の足跡に
種を蒔いてゆくのだ
種 ....
あれから七年、今日も立川行きの快速に乗っています
いつだって反対側のホームに渡ることができるけれど
ルーチンになった行動に、諦めが付くようにもなる
あの頃を取り戻したみたいな窓から滑り込む沈 ....
クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした
なにもかも手遅れの明けがたに
残 ....
ゆびさきさえそこにあったら
ことばなんていらないのに
でも
私たちは
異なる2体の細胞だから
確かめようと
ことばを駆使して
ことばに縛られ
そして
泣く
軟体動物に
少 ....
あのバラはなにを叫んで萎れたのだろう
色味を残し 姿を保ち
精気だけをすべて失ってあのバラは
果てしなく続く沈黙と引きかえになにを
あの船はなにを乗せて燃えているのだろう
水平線をゆらゆ ....
山育ちの子が海を知った
知らなければその深さも大きさも
わからないまま死んでいく
たった一日の出来事を
赤い水着を着た縁取り写真の子が
記憶を差し出す、午後五時九分の日没
赤穂海岸で俯 ....
せまい巣箱で
愛を買い
そして死なせた
原液に
浸っていく翼をみて
いやだと言ったのは
誰だったか
それとも
愛だったのか
三月の花の香りが
鈍色の空に流れている
降り頻る静電気
うつむく電灯
美しい花粉
わたしはいつも
静かな電気を知っている
春が来る前に
触れられ弾ける孤独、のこと
....
木片の内には像も形もない
{ルビ自=おの}ずと示す雛型も
なぞるべく引かれた線も
一つの像が彫り出された後で
木片はその内部に
一つの像となりうる可能性を秘めていたと
言えるだろうか
限 ....
目に見えないから
余計に 酷くなる
痛い 痛いと
必要以上に 騒ぐ人
ジッと堪える人
的確に 表現する人
それぞれの傷の大きさは
測れないから
比べることなんて ....
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