すべてのおすすめ
抱えきれないものが
多すぎるだろう
苦しいのにまだ生きるの?
生きたいわけじゃない
ただ 死ぬことに
この世から旅立つことに
意味を見出せていない
挫折したり
迷ったりしている ....
謀反をはたらいた廉で
切腹を命じられたことがある
と聞いたので
話の穂をついで
それはさぞかし痛かったでしょう
どんな様子でしたか
と訊ねると
氷のように冷たい刃が腸をかすめて
あまり ....
嘘か猫のようであろうとして
そのどちらにも失敗してしまった
こうなってしまってはもう
人さらいになるしかないと
人さらいの家に教えを請いに来たのだが
玄関から庭まですうすうと
透明な空気が ....
正しいことを君にあげたい
君が
社会に出て気づくこと
世界は
二者択一の連続で
君はほどなく気づくだろう
公平もない
絶対もない
すべてが
相対性の世の中
だが
ほんの短 ....
重苦しい眠りから覚めた朝
洗面器に映る顔
あの人に見せてしまった怒り顔
見られてしまった すまし顔
水に歪んだ 顔の目が
今日のしたり顔を笑っている
手の平で ....
言葉をのせた彼女の声とか
言葉にならない彼の声とか
全部まだ誰かの耳をすり抜けて
誰かの真ん中まで届く予定のある
そこは人間の、あたたかい、血なまぐさい
飛び交う声はほぼそこへおさま ....
糸杉の並んだ道
夏のただ中だった
一歩歩くごとに
汗は蒸発していき
肌に残されたものは
べとつくだけの塩辛さだった
暑さのあまり
蝉の声さえ途絶えた
世界には
わたしとあなたしか ....
空いた穴を塞ぎたいって
ドーナツを目に当てた
この穴が塞げるのなら
きっと私の体も治るのだ
数値の異常を告げる紙を
飛行機にして飛ばした
あっという間に墜落して
車に轢かれて
赤い ....
夏の終わり
などと書き出して
景色を眺めまわし
残りの年月を数え切れたかのように
何もせず
何も求めず
人に倦み
風の仕草を見つめては
瞑り
欹て
ぼんやりとまた開き
終わる夏 ....
深く蒼い秋空に
一筋、また一筋と
白い傷跡が
泡立ちながら引かれていく
暗い海溝にも似た
幾壽にも奥まる天蓋の懐
ある晴れた日、小高い丘に寝転がり
青草のにおいを味わ ....
炎天下の
縁側で
はんおりの
チューペットアイス(ぶどう味)の
つめたあまさをくわえつつ
あ。蝉ジジジジッてって
落ちた。
ではなくて
つめたあまいのくわえつつ
ひんやり ....
つかれていたのかもしれません。
夏のさなかに
雪をかぶった連峰をみました
海辺を高速バスで走っているときでした
火事の中で氷を幻視するかのように
見たのです
うたたねの山々は ....
夜明けの港でラプラスを待った
単なるゲームだ
俺たちはアホだ
だけどここ何年かの間に
こんなに純粋な気持ちでアホになったことあったろうか
潮の匂いのする風に向かって
俺たちはま ....
星も見えない
月も無い
私を照らすのは
切れかかった街灯だけ
目を細めながら
ぼやけた夜を焼き付ける
何も無い訳じゃない
手の平の中に
あの日の言葉と
光が残っている
....
せみの声と鈴虫みたいな音がそろそろ合唱になる夕方
せみの死骸は
なんであんなに重量がないんだろう
木にしがみつくあの力を
重さと勘違いしているだけなのかなと
思ったことがある 遠い昔 ....
そりゃあかんが
山積みされた自治会
そりゃあかんの解決方法が
そりゃあかんなのだ
そりゃあかんから
自治会を辞めるぞと抗議すると
そりゃあかんと
役員側が辞める人を抗議する
市 ....
真っ白い炎が
咲き乱れて
花ちるさと
凍えるような涙で
殺菌する、
浴衣の模様を
黒地の頬を落ちる涙、
昔、
夏祭りに出かけて
一緒に金魚を網ですくった思い出がある
うちのお父 ....
その人が孔雀になったと
連絡が入ったのは明け方のことだった
一晩中鳥の羽ばたきのような物音がするので
合鍵を使って部屋の扉を開けてみたところ
室内に人影はなく
孔雀がうろついていたという
....
もう
見上げすぎて疲れたから
ふたり
アスファルトに寝そべって
あの
君の頭が
重いんですけど
ボクの抗議は
完全スルーで
北東ってどっちだろう
言った矢先に
すっ と
....
ふきすさぶ風のなかで
わたしは落し物を探していました
ロマンチックなはじまり
ではありません
財布がないのです
携帯も
さっき買った
にがりのきいた豆腐も醤油もレシートも
メモ帳もモバ ....
タツノオトシゴよ 台風に乗って疾駆せよ
まだ見ぬ父を夢に見て
ゴッドジーラは堕落しない正義の味方などに決して
熱線を吐いて世界を滅ぼせ
タツノオトシゴよ 敗北を振るい落せ
舌先の魔術 ....
毎日のように終電で帰ってたあの頃はどこも
かしこも閉まってるなかあそこだけは開いて
てホント助かってた十五台もあるレジは一つ
しか稼働してないし店員がいなくて卓上ベル
で呼びだすシステムだなん ....
耀う光のなか 疎らに枯れだす芝生
なにを疑うでもなく
彼女はそこに寝そべり
湧出する表層にみをあずけて
こちらをおもしろそうにみつめている
薄絹のみなれないスカートを
潮風にさらし
....
初めて知った
深夜には誰でも
猫の姿に戻るらしいと
どんな旅行者も
どんな政治家も
どんな偽善者も
どんな異教徒も
眠りに落ちれば
本性を現すらしい
しなやかなその背中
つやのある ....
薬で眠る
父を見舞った
ゆっくりと
眼裂が開き
ゆっくりと
また閉じる
私は
川に立つ
真っ白な鳥を想う
そう
あの鳥と
同じ視線で
父は
私を見る
私 ....
この窓から
杉の梢の 老いた枝が何本も
風で揺れているのを見た
生きてるみたいだった いつも
枝の間を透かして
鈍く光る雲と 色あせた青空が
微塵になっていた
昨日がまた昨日みたいだ ....
一枚の写真を見せられた
それは遠い昔図書館の一番厚い本にこっそり挟んだ手紙のように
言葉にできない秘密を乗せたまま沈んだ船の位置を示すブイのように
暗い忘却の地の底へ一条の光の震える糸の繋がりを ....
列車が出る直前
ホームに目をやると
これまで出会った人たちが
一人残らず見送りにきていた
家族や友人は勿論
ほんの短期間関わりのあった人たちや
仲違いをして音信不通になった人たち
亡くな ....
花よ
いま震えている花よ
見えない風の手が怯えさせるか
それともやさしい愛撫に
花よ
人も同じ
誰かの心の中 将来のこと
見えないものに心を乱されて
わたしたちは少し似 ....
「風のことば」
西へと
みじかい眠りを繋ぎながら
渦潮の海をわたって
風のくにへ
古い記憶をなぞるように
活火山はゆたかな放物線で
懐かしい風の声を
伝えてくる
空は ....
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