すべてのおすすめ
しがらみを肴に
また一杯
まったく酔わせてももらえないや
目を細めてゆくと
遠くのものがはっきりとみえる
焦点を深くして
見通そうとするけれども
僕たちは
反射するモノのかたち
明るく、はっきりとした存在を競い
遠くとおくへ届こうとする
....
気持はいつも
うち側へはじけたから
つまらない奴だと言われていた
たしかにわたしは
つまらぬ女で
するすると全部抜けていってしまうのだ
やって来て 去っていく
いくつもの時間 ....
平家の怨霊に千切られたり
画家が自分で切り落としたり
耳だけになった耳は
視ざる 語らず
そばだてるだけ
集めつづけて
誰にも渡せない
にくの花弁の内がわで
....
真理を見たのです
燃えて輝く光を
そうして心は石と化し
硬く刻まれて死の使者となりました
冷たい墓石のセールスマンが
来世を高らかに謳うように
ある日ミミズが降ってきて
声のよう ....
人の輪郭ばかりがまばゆく降り積もり
忘却される往還は歌として刻み込まれて
歌は正確に人のさざ波を導く
正しさに先立つ正しさは愛欲に似て
幾つもの河を集めては飛び立たせる
人生がすべて ....
目を瞑っていても
追いかけてくる足跡の靴音を
遮るためにドアを閉めても、
靴音が追いかけてくる。
とくとくとくと ....
*
白いシーツが晴々とはためく青い午後
大きな風にのって君の嬉しそうな声が疾走る
思い切り抱きしめればまるでお化けのようなカタチ
くすぐったいと笑う君をすっぽりくるんだその存在を
ぎ ....
木影に影を重ね 静かに見送る
蟻たちに運ばれて往く
ことば 肉から零れ落ち
熱い 取っ手を掴んだ
わたしは夏に生まれた
きっと夏に死ぬだろう
光の色彩が教えてくれる
....
長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて
ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年
意識されることもなく
満ち ....
枝から青くふくらんだ
健やかなる実をはずす
茶色いしみのようでいて
何かを主張している風の
そんな模様を持つ実は
捨てた
捨てたあと
なぜかもう一度この手に取り戻し
親指と人さし指 ....
だれかが
冷たいという
雨にぬれている
だれかが
優しいという
雨にぬれている
わたしは
ひとりでぬれている
まわりには
傘をもたないいきものたちが
なにも言わずにぬれ ....
強く噛みしめるほどに
浮き上がる皮膚の
薄青い罅
を透かし
見る眼差しに
懐かしい悔恨は質量を失った
鏡が無くなったことに気づく
には
もう少し時間が要る
折れ曲がったハガキは温 ....
累々と赤い匣家が らの花を食む
みずに触れる 苫屋のともし火
逆さなく とまれグロ溶かしゆく
ちいさな夜想曲を想う
ドイツの作曲家でもなく誰かの
こころはとめどなく夢をさまよう
意味もなくいきているような
きもするのだが
いつでも永遠を信じて生きていようとおもう
体はく ....
こんなひは
ひんやりとした床で
寝たふりをするより
とったばかりのいんげんと
てんぷら油の格闘に
歓声をあげてみたり
....
暗いところから出てきた
あそこはぬくかったけど
この世界はどうなってんだい
じりじり痛いんだ
あいしたいやつもいない
あいされた記憶もない
ただ
ひからびる前に
だれかを
あいし ....
霧が湧き 雲は下り
天と地の息吹が交わり合う
噛み合わされた大地 喃語の潤い
ぱせり ぶろっこり やまのみどり
熊や鹿が嗅ぐ土の匂いが知らしめる
地脈の辿り 遠く 深く 息みて
....
バスに乗って目を瞑ると
私の中を通過していく
一台のバスがある
開いた窓から
誰かが手を振っている
懐かしい気がして
手を振りかえすと
バスは小さな魚になり
泳いで行っ ....
僕らの住む
この国は
戦争へ向かう国
僕らの進む
この道は
戦争へ向かう道
ああ、この道は
いつか来た道
戦争に行かない
えらい人が
下品な笑みを浮かべて
ラッパを吹く
こども ....
朝が来たので眠ります。増えすぎた脳みそ、ひとつ残らず抱きしめます。
{引用=
旧石器時代
僕の先祖は人を愛した
縄文・弥生時代
僕の先祖は人を愛した
}
まだ、美 ....
マスカカザル
マスカカザル
寒い夜に生まれてる
眠い朝に育てられる
神様にだけ
見放されてる
仏だけに
ほっとかれてる
スネもしねーで
妬みもしねーさ
消えた傷の
癒 ....
僕は体の真ん中に
時限爆弾を持っている
これお母さんも知らないんだ
いつか時間がきてしまうと
僕の胸が張り裂けて死ぬ
胸が張り裂けるような思い
とかいうけど
僕のは物理的なものな ....
旅先で
集合写真をうるひとがいる
かぞくの
こいびとの
ゆうじんの
そろったすがたを
うつしてやって金にしている
きりとられた写真は
ナニヲウツスノカ
だれもわかっちゃいない
....
ふいに 風がカーテンをゆらし
とおいあの頃が 窓の外にある 気がした
みわたすかぎりの原っぱの向こう側には
そこなし沼に こわれかけの小舟が一双
沼を取り囲む山に続く なぞの けもの道 ....
あなたの
あたまに
はなを
くっつけて
夏が
来た と
くちを
うごかす
あなたの
あたまに
くちを
くっつけて
かわいそう
と
くちを うごかす
かわいそう ....
口がぱっくり開いていては 無様極まりない 故
嫉妬と憧憬を繰り返し腹式呼吸に整えてゆく 否
めない惚れ
火の打ち所のない情熱 つまらぬ炎の揺れ
非が天へ掻き消されて 冷静霊的にのみ或
....
とつぜんのスコール
つみのない車の天井をひどく打つスコール
悪いのは人間
じっさい痛いのも人間で
こういった音を聞いて黙っているのが人間
黙って、このままながれていけばいいのに
....
夏
と言ったら
海
ビーチパラソルは無く
海の家も無く
砂だけがある浜を
海水パンツ一丁で
海水に突入していく
はずはなかった
私の出身地は山間で
山から切りだされた木を
....
朝陽から刈り取って食卓に供えられた獅子の首
金色は瞬く間にとけて白い皿に蒼く翳りを残す
あるいは初めから造られなかったニケの頭部
永遠に像を持たない神聖 あらゆる問であり答え
あなたは ....
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