すべてのおすすめ
――卵がない!
     よりによって

妻が亡くなってから 
最初の息子の誕生日
わたしは初めてオムライスを作った
息子の大好物
記憶の中の見よう見まねで
決していい出来ではなかった ....
    蒼くて暗い水槽で
    浮かぶ海月のそのさまは
    まるでたましいのようなこと
    ふうわりとぷかぷかと
    あてどもなくぶらぶらと
    行きつく先もわ ....
 
 
理由のいらない椅子が並ぶ
未明に墜落した紙飛行機の残骸と
食べかけのルーマニア菓子
砂浜の砂の数は
既に数え尽くしてしまった
栞の代わりに挟んだ魚が
静かに発酵して
すべての ....
窓を少し開けて鏡の中を覗き込む
壁と中途半端な景色に私の顔が重なる
「今朝も生きているのだ」と思えば、
、また嫌な気分になる
それはそうと、口を大きく開けて鏡を見るのは勇気がいるのだ  ....
まだ 目覚めていない
血液のせせらぎを聞いている
群青の影が台所を滑り
頭の中 雀が何か啄んだ

フライパンに火を入れる
蓮の花が開くように
わたしは呼び覚ます
朝はひとつの卵から生ま ....
{引用=お隣りさんから伸びている皐月の枝に腹を立てて
お父さん、チェーンソーで切ったのよ
根元から


母の愚痴のほぼ全ては父のことで占められているから
電話はいつも父への悪口で終わるの ....
自然にできたグループに分かれて
植民地時代のボストンの街並みを色画用紙で再現している
春陽に包まれた5年生の教室

その穏やかな空間に一瞬そよ風が吹いて
支援クラスに行っていた娘がひらりと入 ....
おれが息をする夜
この部屋の明かりは
林道にぽつりんと佇む
自動販売機

蛍光灯をカナブンが舞う
2ストロークのエンジン
ギアはまだ1速
目を閉じると
それはまるでチェーンソー
古 ....
『難破船』        あおい満月


(書きたいなら、食べなさい)

誰かの声に瞬きをすると硝子の壁の向こうに、
肉や魚や、
色とりどりに切り刻まれ、
煮込まれた野菜たち ....
どこか遠くで煌めくような
そんな言葉ばかりで飾られた歌が
どうしてあんなにも心地よかったのか分からない

あなたは虹や光や波や月といったうつくしい言葉だけを並べて
さようならもさりげなく同列 ....
洗面器に顔を近づける要領で
わたしは水面を覗き込んだ
ひんやりした柔らかい手がわたしの頬におかえりと言った
ぷくぷく…彼はそんな言葉でおかえりと言った

久しぶりの感覚だった
あなたの手は ....
きのうの
夜が
いっこうに明けないので

けげんに思った
俺は
はっと気づいて
かろうじて

きょうの朝に
飛び移った

ゆれるゴンドラから
ゆれるゴンドラに
飛び移るよう ....
だれもきょう
ここにいなくても良いのだ
錆びたてんびん座
図形
意味なしのことば
切り分けられる空間

ここにいなくても良いのだ
うつむかなくてもいいし
生きていなくてもいい
 ....
「死」というものは、笑えぬもの。

五年前の冬
八十九年の生涯を、閉じた
婆ちゃんについては、笑えるもの。

在りし日の婆ちゃんの
面影が今も座る食卓の席に
遺影を置き
孫の僕は冗談 ....
子どもがDSで
毎日戦っている
飽きることなくひたすらに
人は戦うのが好きなんだ
戦いがなくならない理由が
これだと思った

しかし子どもは
ゲームソフトに一喜一憂しない
どうもゲー ....
蒸発しそこなった昨日の雨は
道路の上で
小さな鏡になり
今日を映している
赤犬がうわずみを飲むたびに
現れるさざ波は
やがて左岸に消える
わたしは
人生において しそこなったことの
 ....
刃で
切った左手
痛みが、
手から背中
脳髄に達するまでの
みじかい時間
はじめて、
檸檬の酸っぱさを
知った。
左目がつぶれていく
顔が崩れそうになる味
 ....
あなたを焼く炎は
煙さえ立てることなく
空に消えて

後には
黒枠の中で
ほほえむあなただけが
残っている
  
空に
光りの砂 
さざめき

大地に広がる
夏草の波
 ....
傘をさす手を奪われるほど
僕は何かを持ちすぎてはいない

縦書きの雨
カーテンの雨
通話中を知らせる音の雨
改行の雨
鉄柵の雨
液晶に、雨

こんなにも雨にまみれた世界 ....
空をゆく鳥が止まっているのじゃないかって
思う時
あるよね

そんな言葉で恋が始まることもある
わたしたちが本当に見ていたのは
鳥でも
雲でも
小刀のような銀の波濤でも
ウインドサー ....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟

同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
戸棚の奥からでてきた何のものだかわからない古いリモコン
我が家ではときどきあるのだこういうことが
ためしにあちこち押してみる

わずかな振動が空気を震わせて
とつぜん世界が半壊
するわ ....
ぐおんと
いしきの
たきつぼ
おちれば

あぶくに
つつまれ
呼吸の
できない
じぶんが
いた

『 尾鰭よ!』
と、つよく
念じる

「 ねぇ、きみ ナイーブ とりか ....
ここは都会の海の底
コーヒーを待ちながら眺める窓の外

都会の空から夜が消えても
海の底には闇が淀んで

淀んだ淵の岩間から覗けば
摩天楼のような海藻が
ゆらゆら揺らぎ

海の底に ....
生ぬるい夜の穿孔だ、レーザーメスのような鋭さと正確さで、おれの魂は一本の絹糸のような血液を吹き上げる、それは紙の上に散らばり、ひとつの未熟なフレーズとなり、そのままで終わる…それは ....  
夏が透ける雨の隙間

渇いた紫陽花が

雨を、乞う



 
きのうとあすが
なわとびをする
たった一つの錠剤が
スプーンでかきまぜた珈琲になって
前頭葉を支配する
誰も気づかない
この脳が砂を掴んで
やわらかなくにを潰そうと
黄 ....
こんなに晴れているのに
こんなに暖かい朝なのに
激しく雪が降っている様子がはっきりと幻視される
今日は真冬

すべてのものは明らかに死んでいる
ただ物質が動いているだけなのに
 ....
おにぎりを握るてのひらで
詩を書いた
いつか
おにぎりのように
なるように
卵はひとつの理想形だ
人間もまた卵から生まれれば
これほど母親との確執に苦しむことはない
乳と血の繋がりはどんな病的恋情より
互いを束縛しその愛は動物並に遠慮がない
その点 卵は完璧だ
無 ....
Lucyさんの自由詩おすすめリスト(6077)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
『年中行事』__卵から始まるはな詩⑤- ただのみ ...自由詩15*15-6-27
蒼のなか- 石田とわ自由詩11*15-6-26
理由- たもつ自由詩1615-6-25
歯磨き- アラガイ ...自由詩10*15-6-25
『目玉二ア』__卵から始まるはな詩④- ただのみ ...自由詩13*15-6-24
チェーンソー- そらの珊 ...自由詩15*15-6-24
ものさし- 夏美かを ...自由詩37*15-6-24
777- もり自由詩5*15-6-24
難破船- あおい満 ...自由詩8*15-6-23
kirakira- 紺野 夏 ...自由詩115-6-23
おかえり- きりえし ...自由詩315-6-23
きのうの夜- 浩一自由詩5*15-6-23
かんてん- はるな自由詩515-6-22
椛の手- 服部 剛自由詩615-6-21
DS自衛隊- イオン自由詩1*15-6-21
紫陽花の季節- そらの珊 ...自由詩1315-6-20
檸檬- あおい満 ...自由詩815-6-20
夏草- イナエ自由詩21*15-6-20
液晶に、雨- Rin K自由詩18*15-6-18
由比ガ浜叙景- そらの珊 ...自由詩1915-6-18
『聖母ジェンマ』__卵から始まるはな詩②- ただのみ ...自由詩22*15-6-17
リモートコントロール- 梅昆布茶自由詩2015-6-17
黒曜日- るるりら自由詩12*15-6-16
コーヒーを待ちながら- イナエ自由詩8*15-6-16
傷を編む- ホロウ・ ...自由詩1*15-6-15
乞う- 殿上 童自由詩16*15-6-15
テトラミド- あおい満 ...自由詩415-6-14
外傷の朝- 葉leaf自由詩215-6-14
いのり- フユナ自由詩16*15-6-13
『エンジェルエッグ』___卵から始まるはな詩①- ただのみ ...自由詩21*15-6-13

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