すべてのおすすめ
透明な何かがかすめた
それで十分
脳は甘く縺れる痛みの追い付けない衝撃に
砕かれ 失われ
死に物狂いで光を掴もうと
欠片たちは
凍結されることを望みながら
永久に解読不能
時間の延滞の ....
透明な羽が浮かんでいた
透きとおっているけれど
それは無いということではなくて
小さなシャボン玉は
虹を載せてゆくのりもの
パチンとはじければ
虹はふるさとへ還る
ふいに風
....
血なんて単純な道を流れてるから
つまらないな
迷いもしないし行き先をうしなったら
帰る場所しかみえないじゃないか
うすめたって飲めない話がある
うすめたからこそ飲めなくなったぬる ....
ぼくがきみのためにしたことと
きみがぼくにしてくれたこと
まよなかのこうえんでむかいあって
たばこをすいながら たしざんひきざん
マイナスばっかりだ…
おもわずたばこをなげすてて
にが ....
薄く なまめかしい生を 朧にたずさえて
キミは 呼吸している
しみじみ キミは 黒曜石だ
意識する外界に ぶしゅと 放出させたものは
どんなにか甘美な夢でしょうか
キ ....
旅人の靴を履いている人
いつも忙しく走り回っても
見覚えのある細い指先で
涙の温度を測ってくれた
君はもう新しい土地に慣れて
庭の花に水を撒く時間だ
恋が終わっても心は続く
長い ....
ぬっとり湿った夜の膜を
そっとふたつの指で広げれば
胸を裂くような光のしたを
あたたかさ、なさけなさの影が歩いていた
カーブミラーの歪みのなかの
少しだけ正しい領域を
裸足で歩くわたし ....
ある日ふとおかあさんとおとうさんに
問わずにはいられなかった
「戦争ってそんなに悪いことなの?」
「当たり前のことも分からないなんて、そんな教育をした覚えはありません!」
「僕たちが平和の ....
いくつもの門を通り
いくつもの問を越え
理解と誤解をなだらかに重ねては
綴り合わせる 欲望の道すがら
まるで古い雑誌の切り抜きや色紙を
ぺらぺら捲るような 陽気な悲しみ
目深に被り直して
....
コトコトと煮物を煮る
人生にはそんな要素が必要な気もする
アンテナを高く張ってトレンディなことも必要なのかもしれない
誰もいっぺんには多くのことはできないから
天才でもないので特に高み ....
冷蔵庫をいつもの如く勝手に開け
これおいしー?とコンソメキューブを持って聞く
これはそのまま食べられないよと言っても
好奇心の悪質は止まるはずがない
ダメダメダメダメ!
カンシャク
....
あなたを中心に地球なんか回させない!
親の意地である
子が中心に宇宙さえ回る
振り回されてたまるか!
あなたを中心に地球なんか回させない!
よく乾いた洗濯物をたた ....
母国語の外へ
逃げ出したくなるときがある
意味の染みこんだ服を脱ぎ捨てて
なんとなく笑っていたい
それはカン違いのようであればあるほどいい
ぼくの思想や肉体は貧弱でも
それが白日のもと ....
風に運ばれて揺れる髪の毛は
頬をなぞる優しい手の動きを
思い出すような恋に良く似てる
永遠の森で見つけた涙を
頭の上に乗せて歩きたい
すべては上手くいくさ
と口にしながら歩き出すと
なんとなく
なんとなく
ほんとにそう思えてきて
顔をあげると
なおまっとうに歩きだせる
これが意気揚々というやつか
と笑みまで浮かんで
....
通り過ぎてゆく連中の靴はどれも洗いたてみたいに艶めいていて、おれは自分の薄汚れたスニーカーを見下ろしてほくそ笑む。それはおれとやつらの「歩行」という行為に関する決定的な認識差であり、歩いてきた距離 ....
うすい影がゆれている
くちばしで
虫をついばむのだけど
やわらかな影であるから
獲物はするりと逃げてしまう
{引用=命でなくなったものは
もう命には触れることができない}
それでも ....
優しく 優しく 優しくしたいのに ごめんね
電話の相手は不具合で私の灯火の余裕が吹き消されそう
テーブルの横でつかまり立ちを口を尖がらせて練習する弟
そしてやがて3歳になるお兄ちゃん ....
コンパスのように立て
最初から最後まで
近寄ることも遠ざかることもない
己の中心に
想いは帆のように憧れを孕み
どこまでも出歩くだろう
コンパスのように立て
滾る情熱は千切れるほ ....
IDカードをぶら下げながら
コンクリートのビルに出入りをする
飼い猫の首輪が軽くなるのは
見上げた空に星が浮かぶ頃
明日もまた胸にメダルを掛けて
葉が一斉に飛び立ちそうな
雨に濡れた朝
闇がかくれんぼしているので
一つ一つ見つけ出して行く
鳥が破裂して鳴き声として散る
そのたびに朝は時刻をよろめかせる
雨の音には距離がない
雨 ....
紙パックの飲料水が路上で踏み潰されて幾何学的なかたちにねじけ刺さったままのストローから血を流す、きみのモカシンはそれを石かなにかのように避けて歩いて行く、あとに続くおれは植え込みに残る昨日の雨 ....
なにもない
わたしのなかには
わたしがいるだけ
気だるげな猫のように
死後硬直は始まっている
小さな火種が迷い込むと
すぐに燻り 発火し 燃え上って
肉の焼ける匂い
骨が爆ぜる――生枝 ....
「ぐーぐー」
ぐーぐーを聞いてから眠るのが習慣になって
ぐーぐーを聞かないと眠れなくなった
ぼんやりと豆電球を見てたら
玄関を開ける音が聞こえる
「先に寝てて良いよ」と言 ....
田植えが終わって
福島の祖母の家に行って
山菜を食べて
車の中でうたた寝をして
帰ってきて
隣の家から頂いた筍を灰汁抜きして
なんだか冷たいものが食べたくなって
サイダーを飲んだら
し ....
当たり前すぎることだから
素直に応じた
お椀に浮かべた麩のように
あなたはあなたに浸されている
――まるで 無い
ない みたい
家では
タツノオトシゴの溺愛
....
あまやかしても いいのだ
けして つめたいだけの人ではないのだから
心のかよわない言葉しか 今は ないけれど
こどものころの私に あの人が教えてくれたレシピ
ビスケットケーキ
....
死蝋化した骸を思わせる粘ついた月と鋲のような星々が食い込んだタールみたいな黒が
呪詛のようなリズムで這いずるやつらの頭上にぶら下がってる
駅前のコーヒーハウスで飲み干した自家焙煎にはまるで無関 ....
糸の切れた人形の
瞳はガラス玉
投げ出された四肢に
絡みつく子蛇の
分かれた舌先が味わう
花の蜜は
右が苦くて左が甘い
人生の味よと誰かが言った
人形が薄く笑う夕刻の
一番星は青 ....
とっくに終わったよと
あきれ顔で南の国に言われそうだが
待ちに待った開花だ
長かった冬に別れを告げる合図だ
こんにちは
思い出を咲かせる
友よ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202