たまねぎ   
服部 剛

夕暮れの帰り道で
ジャージ姿の青年達が
手にしたスマートフォンと
睨めっこしながら下校している。

少々早足で追い越す、僕は
声無き声で呟いた。
――染色体の一本多い、周は
  彼等と異なる道を…歩むのか。

時折妻は、夜になると
ちゃぶ台を引っくり返す
とまでは、いかないが
あまりに深い葛藤の暗闇を余す所なく
僕に、吐露する。

泉の如く?溢れ出る言葉に
只、うん、うん、と
無能に僕は頷いた、後
階段をゆっくり上がり
部屋のドアをぱたん、と閉めて
ひと時坐って、考える人になる。 

――妻よ、今に見ていろ。
  いつになるのか分からぬが
  屈託もなく微笑む、幼い周の
  存在という玉葱を
  何処までも、何処までも
  剥いてゆくなら…僕には、視える。

世界にひとつの
真珠よりも一際、丸く光る
いのちの賜物  






自由詩 たまねぎ    Copyright 服部 剛 2016-04-23 17:25:41
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