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道はつづいてゆく
途切れながらも果てしなく
途次の三叉路で
焼きそばの匂いにさそわれて
この街道に至る
次の五叉路では
上海の娘が待っていて
サイレンのように
髪を偏西風に ....
巨大災害に備えて何かするのは
結局運よく助かった場合の
事後対応のためだ
被害に遭わなかった俺達は
悲惨な光景を目の当たりにして
「やっぱり身を委ねるしかないのだな・・・」
と気付いて ....
我が身にはこれからも
あまりゆかりのない言葉
新学期
なぜだかわからないが
断固として幼稚園にも行かず
日々放浪していた僕にあたえられた
小学校という世界の箱庭で
やっと社会 ....
このあおい夜を切り取って縫い付けた右腿は
ぐずぐずと黒く膿んでしまったから
風通しの良い洋服を探している
ふやけて黄ばんだ気に入りの本にはさんだ言葉をまだおぼえているか
いいえわすれて ....
何が好きですか
あなたは
何が好きですか
野菜は何が好きですか?
私は毎日トマトが食べたい
アイスクリームの味は
何が好きですか?
私は濃いビターチョコが好き
....
風が風を離れ 人が人を離れ
のぞきこみあう空は 青く
もくもく 雲 かげリいだく
つきとめられ つきつけられ
ほしい ほしくない
のぞむ のぞまない
組み込まれた祈りも呪いも ....
思念の淵で息をしている、
私の息づかい。
耳から流れ込む、
目の海の水を、
飲み込んでは吐き繰り返しながら。
呼吸が荒くなる。
海になった私の指から、
あふれてくる思いを、
窓硝子に叩 ....
海岸線が
あったはずじゃあなかったのか
爪先ばかりが切り落とされて転がっている
早く食えと差し出している手の青さ
困ったように笑う口の中に
取り戻せない爪先を押し込んだ
海岸線は見つけられ ....
僕は死に始めた、見慣れた部屋の中で
僕は死に始めた、変わりない日常の中で
僕は死に始めた、まだ果たせぬ思いのまま
僕は死に始めた、いびつな過去を抱いて
石灰色の目覚めがこめかみを締 ....
腕立て伏せは体を作る
腹立て伏せは魂を作る
夢立て伏せは心を作る
立てる時より
伏せる時のほうが負担が大きい
力がつくのは伏せる時だ
言葉を論理的に遡って
事件を因果的に遡って
高峰をどこまでも降りてきて
たどり着いた地の淵からは
すべてを見晴るかすことができた
こんなにも低く視界が遮られていても
推論の糸をたどり
因 ....
あの日を境にわたしの中から
わたしがいなくなり
半透明な海月になった
荒ぶる海流に叩きつけられ
なす術もなく右へ左へ
痛みとともに流され続けた ....
見えなかったものが見える
ふくらんで
ふくらんでほどけ
ふわり ひらく
ゐろかおりかたちあまく
風に光にとけて
そらを渡るもの
ほそい弦で触れながら
匂やかな{ルビ詩=うた}の足跡をた ....
誰でも心に
ピアノを持っていると
どこの国の神話にも書いてある
だから無謀にもきれいな
旋律を探して
雨の日も晴れの日も
歩き回っている
この街は楽譜のようで
地下鉄が東西に走ったり
....
「くもがねてるから、しーっ」
沈んだ空は暗くて
何にもないけど
何でもある
小声でお話をしよう
キャベツくん
いもむしれっしゃ
おたすけこびと
そんなものを抱いて
「あめがふ ....
視界にはたくさんの目がある。
開いた画面に浮かぶ目玉は、
口になって牙を剥き出している。
口になった牙を生やした目玉が
私の目を喰らおうとする。
瞬きひとつでページをかえると、
今度は ....
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(肉ガ欲シイ、肉ガ欲シイ)
灼熱の太陽の光さえ届かない、
湿った森の奥で、
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(肉ガ欲シイ、生キタ血肉ガ)
喉を鳴 ....
「最近なんか元気ないね」って、たぶん顔色じゃなくって、あたしのツイッターを見てそう思ったんだろうけど、どうもご心配ありがとう。薄皮を一枚へだてたようなやさしさに、あのころ、不本意にも救われていた。感情 ....
うわ
ぼんちゃん
後光めっちゃ差しとんな
どこが
明るすぎてようわからん
強いていえば
右ひじんとこ
うわ
めっちゃ
後光差しとるがな
だから差しとるいうとるがな
後光てこんな差 ....
庭園には
緑とプールがありました
ぬったりとした
湿度が
緑もプールも
育んでいました
私は蛇になって
ゆっくりと水に潜り
濡れた体で
緑の上を這ってみました
....
おれは
パン粉を
袋から出し続ける
出せるだけ
出し続ける
そうして
溶き卵を 桶にすくい
頭からかぶる
百メーター先の
パン粉の海に
....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって
とかなんとか言ってみても
こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
春風、というものにも
いろんな言い方があると思うけど
もし
耳をすませたら
語彙力がよわい私には
それは 春風としか言いようがなかった
色は うす桃色 です ....
頻繁に人にであうでもない
この生活にあまり不満はないのだ
ベランダの脇の雑草がどう伸びようと
有る意味僕のそとの世界のできごと
疲れている意識もなるべく解消しようと
優しい母や鬼嫁も ....
サンデーは 浅いお皿
銀のスプーンで とりかかろう
この時代らしい
マリンボーダーを
ふたりして着こなして
きみがすきな青いやつを
パフェは 背の高いグ ....
「思春期」
疎ましく膨らんで
悩ましく弾けて
狂おしく奔って
暑苦しく押し黙って
思春期なのか
四月は変拍子
狼狽える前髪で
躊躇う指先で
彷徨う吐息で
蹌踉め ....
すべての家の窓は閉められている。
通りには誰ひとりいない。
路地裏は灰色の匂いがする。
この世に僕一人しかいないような感覚。
家並みを抜けると開けた田園地帯になる。
僕は ....
【無口】
山高帽の男の顔は見えないが
どこにでもある石を缶詰のように
開けようとしている
男にだけにわかる匂いを閉じ込めたのは
誰なのか
日記帳の文字の旧字体が
机 ....
遠くに並んでいた劇の数々が
間近でにわかに動き始める
近くで私を統括していた原理が
いくつもの山の彼方に拡散する
遠さの中にはいつでも近さがあった
人のためにするという行為の目的 ....
みんな
期待にこたえたいから
泣くんだ
自分の幸せを
願ってくれる人のために
苦しむんだ
誰も私の幸せを望んでなければ
私はこんなに苦しんだりしない
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