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深い眠りに就く前にお前の笑顔をもう一度見たい。
お前の笑顔は私と子供とを優しくさせる。
たった一度の夜に訪れる魔法の力。
さあ、私らに笑顔を見せておくれ。
お前は病床で安らか ....
命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
キーボードの上で
テントウムシが{ルビ触覚=おぐし}を直している
ENTERの右の
7HOMEと8←との間
溝にハマった姿勢だが
寛いでいるようにしか見えない
{引用=どこから とか
....
ああ なんていい風だろう
みんみん蝉が緑の木立に鳴いて
大きな鳥が素早く飛び立ち
鬱々とした気分が
涼やかに洗い落とされていく
この高曇りの八月十一日
[目を閉じれば未だ
橙 ....
海は想う
「わたしを包み込むこの方は誰?
凪いだわたしを優しく撫で
荒れ狂っても受け止めてくれるこの方は
空は想う
「ちょいと撫でりゃこの通り
吐息一つで身をよじりやがる ....
趣味で生きているんです
死ぬこともできるかもしれないが
くだらなくとも
生きてゆくことが
せいいっぱいの趣味なんです
まだまだ生命活動を続けたいと
こころが言っているようなので
....
私は泣いた
君という海の波打ち際で
不器用さを
愛おしさから
短所に変化させたのは
慣れすぎた歳月と
甘えすぎた気もち
海辺に向かって
手を繋いだ瞬間を
覚えてい ....
田舎の
海辺の町は
夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる
古びた町並みは
時代に忘れ去られ
潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む
人も少ない真っ青 ....
盂蘭盆会
暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
わたしのお父さんには ふたつ 顔があります
男と同じだけ働いて 子どもを産んで 社会活動をしなさい
というお父さんの顔は真っ暗闇に覆われて
そばにいるのに目を細めていくら探しても
なんにも ....
後ろを向かないで ミミ
あなたの遠い故郷が待っている
そこでは砂場でシグナルを送り合う
かつての街の信号機は、
青くなって唾液のように揺れている
天国があるとするなら、それは
いつも定 ....
白い蝶 光の眩暈
追って追われて
追われて逃げて
見えない糸が絡んだように
もつれてはなれ
はなれてもつれ
火照った空気に乗っかって
この夏の向こうへ
恋と憎しみは良く似ている ....
俺の天使は壊れている
フリーマーケットで
三千円で買ってきたやつ
今日日
天使の値段は三千円さ
中古で三千円
新品でも五千円しないさ
牛乳を飲むかと尋ねると
首を横に振る
パンを食べ ....
{引用=*名を呼ぶ}
名を呼ぶ
ここにいないあなたの
井戸へ放った小石のように
真中深く 微かに響き
瞑っても
抱き寄せることはできず
こみ上げる揺らめきの
糖衣はすぐに消えて
....
時間は腐るほどあった、床に俯せになったままピクリとも動かなくなったそいつの美しい頭髪をひと掴み右手に巻き付けて力を込めてゆっくりと引っ張ると、やがて強情な雑草が抜けるみたいにごっそりと取れた、 ....
ひらひらと横切ってゆく蝶々
つかまえようとして
伸ばされた小さな手
初めての夏という季節の光
街路樹の葉が落とす濃い影
見えない風の気配
蝉のなきごえ
お母さんの胸に抱かれた
その ....
残酷な人たちへとアメ玉を配る
セミに雪だるまを見せてあげる
なにかを掴もうとしながら歩いている
最後の夜君は満天の光を放つ
あなたの変てこな笑い方を思い出す
心が軽い ....
あなたが ゆっくりと 息を吸い込む
「ふいちょう」
唇が その形に動く ゆるやかな流れとともに 水の音が響く
雨なのか 風なのか さざめく空気感は いつだって おんなじで
記号の向 ....
結びつけること
束縛であろうとちいさなゆびきりであろうと
いつもばらばらになろうとしているものを
とどめようとするきもちがすきなのだ
水引って結んであるでしょ
封印でもありたんなる飾 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った
すごく落ち着くんだって
わかる気がした
猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜
長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
いつか完成するだろうか
あばらの中のいくつかの空洞は
満たされて、微笑んで眠るだろうか
脂肪に埋もれる柔和な女になれるだろうか
昔は違ったのよ
と笑って言うことができるだろうか
抱 ....
すでに枯れ落ちた花のことを
長々と誰が語るだろう
赤茶けた花弁は路上に削られて
瞬く間に塵となるだろう
聖堂から微かに聞こえてくる祈りは
人間以外の何をも救うことは出来ない
言 ....
連綿と うけつがれてきた舟箪笥は
表の扉を開けても 次々と扉や引き出しが現れ
忍者屋敷のように 底板こそに 隠れされた空間があったりする
舟が沈んでも 大切なものが収納され金庫として利用されてい ....
僕は地球の人になる
道路標識をよく見て
交通ルールはしっかり守る
ご贔屓のチームがあって
試合結果に一喜一憂する
ほどほどに勤勉で
ほどほどに怒りを覚え
ほどほどにやさしく
ほどほどに ....
新しい土地での新しい仕事も二年目となった。仕事の要領や手順もわかってきて、日々充実しているはずだった。ただ、私の上司は私のことを嫌っていて、一年目のときはとにかく集中攻撃をしてきたし、二年目になっても ....
Venus flytrap
抱擁から解き放つと
――心臓から飲まれていたのはわたし
黒い孔雀は飛び去った
眼差しの影ひとつ
落とすこともなく
時の支流が無数に重なり合う彼方へ
ひとつ ....
戦い方を知らない僕は狩人だ。
森の奥に隠れてじっと獲物を待っている。
獲物を見つけても何も出来ずただ見送るだけ。
消えるのは簡単だけどそうはいかないんだ。
人は僕を優しいと言 ....
頬を濡らすものを拭うこともせず
ただ手放しであなたは泣く
抱きしめても嗚咽はやむことなく
わたしの肩が湿り気を帯びる
体温の熱さが伝えてくるもの ....
敗走ではありませんでした。
勝ちとっています。
あなたたちへ
配送状況はぐらぐら揺れますが
小包に戦利品を。
私たちは神から必死を勝ち取っています ....
そんな粗末な寝床にかじりついて
どんな夢を見ようというのだね
おまえは堅実に生きることで
浅ましさを手に入れている
処刑のなされた丘で放置された罪人どもの血が
土に染み込ん ....
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