すべてのおすすめ
蛇口が
みずうみにつながっているように
蜜柑は
五月の空へつながっている
かぐわしい白い花
まぶしい光に
雨だれに
ゆっくりと過ぎてゆく雲に
蜜柑をむくと
その皮は
しっとりと ....
不意に、居場所が消えて
通り過ぎた記憶が深まる
燿りなく途絶えた門を
独りくぐり抜けようとする度
....
剥き身のコンセント・コードから
銅線が見えている
君のプラン・Aが
ショートしてる
あの
廊下あたり
焼けた
ゴムの匂いがする
声や恋が
焼けた場所
まだ残ってる
灰のような ....
3月に入る前のふぶき
一晩が明けてブルーの大空に変った
卒業生が丸めた証書を持って談笑しながら通り過ぎる
きょうのひを刻みこむことを照れかくすようにして
たしかめ合うには
言葉も ....
道路はよこたわっているのではない
限りなく渦を巻いては
自動車たちを加速させている
建築は直立しているのではない
限りなく燃え上がっては
過ぎる風を減速させている
世界の心臓は血液 ....
鳥は傘をささない
あめにうたれてなにかを待っている
たったひとりで待っている
どうして高いところにいるのか
まちびとは空からやってくるのか
そろそろ私の首は疲れた
鳥はひとりで ....
アラームは既に
スヌーズたぶん二回目
め
をあけても
すべてあけられない
からだぜんたいが
ひとしくねむい
む
無理やり
上半身をおこし
腰をひねる
ひねる
ゆるいあたまで ....
とにかくすべてがおもい
だからつかれてなにもしたくない
となるとだんだんとわたしはしょうめつする
よるにうかぶちいさなわくせいよ
いつのまにかそんなとおくにわたしが
いるなんて
このわ ....
三月三日【雛祭】を、決行いたします。
現代詩フォーラムの雛祭りは、一日くらいは
誰もが 読者の方の反応がある日があっても
良いのじゃあなかろうかという発想で企画しました。
三月三日に投稿 ....
昨日、コゲラさんに出会う。木を、こんこんしてらした
チューブを流れる水流のような
朝の通勤路を、
外れて、
うつりこむ硝子のなかに
入り込みたくなる瞬間がある。
ばたん、と、
荷物を落とした、
そこから私の旅がはじまる。
硝子が割れ ....
また舞う 雪に
Sidoro-Modoro
ふたり とろけ
ながれる 春 の
跳ね る
日差し は
音 ノヨウニ ....
ひかりがすこしこだましている。どこかとおくへいきたいとおもう。気ままでぜんぜんいいんだけど、おいしいおもいもしてみたい。ひとりでしおひがりとかしたい。ただとおくへといきたかった。いっそねてしまえばいい ....
無い背筋を伸ばし
まな板の上にぬっと立つ
おまえの
下段から冷たく射るような
視線――まったく読めやしない
包丁を握り
ジリジリと
間合いを詰める
――突然
ながい触腕(しょくわん ....
あれは空だろうか
それとも海だろうか
わたしが欲しかったのは
あの青だったのだ
体中の骨を関節を筋肉を
すべてを伸ばし
掴もうとす ....
寒い朝、可燃ゴミの日だったので、袋をまとめてゴミ出しに行った。
ゴミ置き場にはたくさんのゴミ袋が山のように積み上がっていて、
そばではカラスが一匹、首を傾げながら袋の中身をじっと見つめていた。 ....
木々は裸に剥かれ冷たい風に
枝先を震わせている
白いベンチは錆ついて
今はだれも座るものもない
緑の葉が深呼吸を繰り返す
....
我らこんなにちやほやされて
受難だ
なぜと言って危害を加える輩も出る
可愛すぎて食べちゃいたいという心境は
わからんが
狙いにされることが困難だ
そういう理由じゃな ....
眠りはいずれ海に至る山奥の渓流
眠りが海に至る直前に人は目を覚ます
人は覚醒の光の中におぼれ
眠りは海の中に混じる
眠りは海の中で最も深い眠り
死の眠りとなる
人が眠りとともに ....
火葬がいい
わたしを構成していた炭素原子はリサイクルされ
その二酸化炭素が空へ散布されるのだから
わたしは暴挙にでた
勇気をだして
コンパクトディスクプレーヤーに
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを入れて
眠ることにした
かけめぐる血潮
駆け巡る旋律
これからどうしていけばいいのか ....
あの日瞳に映った空は
きっと君のどこかに仕舞い込まれ
ときおり顔をのぞかせ驟雨となって
だれかに降り注ぐのでしょう
こころと身体は不可分です
ホイットマンが僕のどこかに
宿っていて欲し ....
じゃりじゃり、
雑踏をかみしめる。
私の口のなかは、
色々な音で異臭を放っている。
あなたの声は、
とっておきたくて、
まだ白いお皿の上においてあります。
あなたの声は影のように、
....
手のひらのキズは
キズ薬が治してくれる
うっすらと
キズあとを残して
胸のいたみは
日にち薬が
ゆっくりと
時間をかけて治してくれる
いたみの記憶を残して
薬箱を引出しにしま ....
見つけられないものを探している
とっくに失くした何かを
例えば棚で眠っている本に挟まって
頭を覗かせる封筒
歳月に黄ばみ
だが秘められた部分は青白く
ほのかに
呼吸して
机の上で宛名を ....
くずれた均衡
その静かな吸引力に
はく奪されるわたしたちの人格
キュビズムから滅びの兆しを嗅ぎとる、影の
わたしたちが歩く
男女の別なく
客も、客引きも
リードの犬と同じく
たっぷりし ....
あるのはわかっている
けれどみることができない
ちょうどすりガラスを挟んでいるように
いつかもこんなふうだった、と
ふりむいてみたところにもすりガラスがあって
なめらかなさびしさのな ....
乾燥麺のように乾いた心を3分で解きほぐしたいと思ったなら
ゴングが鳴るその瞬間には沸点をむかえていなけりゃならないはずだけど
「おいおい何だってまだ鍋に水もはってない?! 」
てゆかガスが止まっ ....
もういまさら
なにをほしがってたのかも
言い出せないんだ
あのこの笑顔があれば
もうさみしい景色はいらない
僕はうまく出来なかった
うまく行ったほうでいいよ
カバンにたくさんの言 ....
光と冷気が青い燃料だった
破れた財布から千円札を出して
印鑑ケースとノートを買う
郵便局には月に一度往く
記憶喪失の犬みたいに
今も雪原から突き出している
枯れ果てた雑草を見ていた
夏の ....
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