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仙台で大学院生をやっていたころ、仙台には故郷とは違った風土があることに気付いた。風土とは地形や気候だけではない。そこに暮らす人々の気質でもあるし、道路の混み具合でもあるし、交通網の整備具合でもある。市 ....
言葉の針に意図を通すのは難しい
何を繕うでもなく
きれいなシシュウを夢見ては
チクリチクリと傷つける日々
《針子のトラ:2014年2月11日》
あなたはそれを
必然だと言う
わたしはそれを
偶然だと思いたい
あなたはそれを
どうしても運命にしたいらしい
わたしはそれが
無数の枝分かれの末端にしか見えない
この世界で ....
雪が降った!
私の住む町で
こんなに雪が降り積もるのは
何年振りだろう
熱いコーヒーを淹れて
窓辺に立って外を眺める
まるで紙吹雪みたいに
ひらひらと空から落ちてくる
ひら ....
明日いきなり 死んでしまうとして
さいごに
なにが食べたい? と聞かれても
別になにも食べたくない
缶のミルクティーと
チロルチョコだけで
遠くへ
一歩でも遠くへ
見たことのない ....
僕は生まれ変わったらディドになりたい
というとディドはベッドの枕元に座ったまま
そのままぴくりともしないで笑うようにした。困った笑いだ。
ディドは半ズボンをはいている。そ ....
わたしのとういところをみぞれがながれていった
かこがかこらしいままかせきになり
結晶とわたしが
まったくおんなじそんざいになった
いつかひかるものとしてあつかわれる
幻の火にてらされ ....
{引用=
わた し は ねこ だ
な まえは ま だ ない
}
殺伐とした空気が支配する部屋で、
きみは子猫に名前を付けようとしている。
子猫が産まれてからもう三日が経った。
....
どうして
コンクリートで
庭の地面を覆うのでしょう
芽生えようとしていた希望が
誰にも知られず
腐敗してしまったことなど
コンクリートは
教えてくれません
腐る。
ギリギリのところで
なんとか持ちこたえている
としたら
死がとても怖い
かくれんぼしていて
うっかり見つけてしまった
小鳥の死骸にうごめいていたうじむし
その卵が
この空気中 ....
町のすみからすみをみわたす丘で
星をみてた
つぎはいつであえるの
ぼくはおおげさにきいて
きみはいつもみたいに
きこえないふりするんだ
ぼくにみらいはもうなくて
きみにはみら ....
寒い
たった今
布団乾燥機のプラグを握りしめたまま
目が覚めた
酩酊して
コンセントを探していて
力尽きた
おい
俺よ
この六畳の部屋で
遭難死するところだったじゃ ....
老人用紙おむつにさようなら
老人は今
長年の老人生活から解放され
老人でも
若人でもない
超人へと変貌を遂げた
介護士が指差した先には
空に舞った使用済み紙おむつに
黄色い染みが一筋
....
確かな思いがあるわけじゃなかった
行きたい場所などとくべつなかった
ぼくがそれをやりたいわけは
ぼくがそれをやりたいわけは
教会の階段に座って、ブルース・ハープを吹いて ....
十代でメダリストになれれば
それに越したことないけど
まだまだこれからが長いんだから
今回は良い経験になったと
考えればいいんじゃないかな
サラちゃんが30歳くらいになったとき
僕らは ....
ああ、これコピーしといて、ついでに死ね
必ず最後に死ねと言う職場の先輩に
自分はただニタニタしながら、はい、と答える
おい、オマエお昼一緒に食べようぜ、ついでに死ね
はい、いいですね、よろ ....
夢をつかんだ手が人を傷つけた
花が草が虫が獣が 生国を知っている
潤いがたちこめて 生き物たちを通わせるのです。
人間のしでかす すべてのことは隙間だらけ
人の皮膚の隙間という隙間を ふるふると震わせる霧
穴ぼこ ....
水を張った洗面器
顔を沈める姉
ストップウォッチを押す弟
呆れて素通りする母
あくびをする猫
どれだけ息を止めていられるか
平凡な家庭のちゃぶ台の上で
流行ったのは
危険な遊戯
....
もうさがさないでくださいあたいのこと
どこにもいないのですから
かぜのなかにさえ
あなたのこころにさえ
人魚でもない星でもない
あるいはおんなでもない
もう時間がないのです
いつ ....
雪がふる夜は、まぶしくてどこにいたらいいのかわからない
でも適度にフラッシュを焚かれて白飛びした街は綺麗で、
ずっと同じ時間にいたいと思わせてくれる
背中の骨がつばさの名残だなんて言われても ....
掘削船がやって来る
おれの堆積した泥土を掘り返す
脳だけクラゲの揺蕩いで
光の海に温む予定が台無しだ
山の麓に猫女が住んでいるという
噂の真相を求めて捜す者も多いらしい
捜 ....
優しい乖離を抱きしめている空白の午前、見開いた眼の充血はすでに失われたかけがえのないものに照準を合わせ、ショート気味の脳細胞が認識するものは片手で足りる理由だけだった、窓の外には希望を ....
誰かの何気ない言葉に
突然引っ掻かれたりする
私とは何の関係もなく投げ出された
明るい言葉なのに
いきなり蹴飛ばされたりする
だから
TwitterもFacebookも
とてもこ ....
行きなれたスーパーに買い物
行きなれた道
歩きなれた10分間
頭に帽子深々被って
首にマフラーぐるぐる巻いて
耳にイヤホン突っ込んで
丸まって下を向いて歩くの
行きなれたスーパーだから
....
中3の時建国記念日に授業があった
社会科の先生が生徒を集めて行った
その中に僕もいた
授業は教科書を使わなかった
「神話は歴史じゃない」
と 先生は言った
突然
教頭が怒って教室に入って ....
自分の骨を見た詩人がいた
群れると空気が支配する
集団の最大公約数は愚劣である
集団の最小公倍数はサロンである
詐術をかけて誑かすのは容易
いともたやすく右に倣い左に靡く
風にうね ....
丸1年間
給料なしで必死に働く有限会社の社長がいる
貯金を切り崩し 社員とその家族を守るために
「あと1年は石にかじり付いてもやる」
「真面目だけが私の取り得だ」
社員も彼を信じて必 ....
シャリシャリと雪を歩く靴の音が楽しい
と言ったあの人は溶けて消えました。
晴れて、屋根に積もった雪が溶けてポタ
ポタ落ちています。
むかし、あれは小さなお化けの足音だと
いじわるなお ....
美しき世界
ほたりと雫が落ちて、
地面につく前に消えてしまう。
それはまるで届かなかった対話のよう。
繋がりたくて、それでもぬぐった涙のよう。
私は長く病を患い、 ....
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