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明けないはずの
夜が明けて
僕はまたしても
僕の一人を
夜の向こうへ
置き去りにしてきた
明けなかった夜は
もはや異次元
永久に交じわらない
平行線の世界
明けない ....
すぐれないと思えば見上げれば満ちる月
お前か満月 お前なんか大嫌いだ
私の中に遮月光というベールがないから
たかが黄色い光に過剰に反応する
ハナクソを飛ばしても八つ当たりにもならねぇ
距 ....
春が来たら、十年前の僕らの入学式を見に行こう
鳥の声や風の音が音楽そのものだった、あの場所へ
桜の花が舞うなかで、話をしよう
桜を見ることができなかった春の話を君としよう
なんにも ....
明日晴れたらどこへ行こう
雨が降ったらなにをしよう
暑い日も寒い日も、お腹が痛いときも怒鳴られたときも、なんだかんだ言って僕ら生きてきた
悲しみも怒りもない、罵りあいも八つ当たりもない、そんな未 ....
立ったまま
枯れている
あれは
孤高の命
もうおひさまをおいかける元気もないし
だれかをふりむかせるような輝きもない
けれど
おまえがひまわりで
凍えながら
戦い続けているこ ....
終わる今日─
退屈な日でした
蒸れた空ばかりがずっとつづいていて
胸もとをぱたぱたさせながら
ヨーヨーを垂らし
駄菓子屋のアイスボックスの底から
メロン味をたぐり寄せ
南極の怪獣を想 ....
原初のひとしずく
ささやきのように生まれ
岩肌の乳房
地衣類の産着
山あいを渡る風も目覚めさせないように
産毛を揺らす
静かな吐息
うつらうつら
千々のひかりにあやされながら
死への ....
男二人抱えて
車に乗せる
一人は助手席でもう一人は後ろに
アタシはマントをドアに挟まないように
素早く手のひらにおさめる
全力アクセルであのいつもの坂をゆく
と同時にドリフトで着地する ....
あたしいつかあの男を殺すからね、と、いつものようにカウンターの外側でカクテルを何杯も飲み干し、口が軽くなったネシナ・エミリーはお決まりのその言葉を吐き捨てるように言うのだった、もしも近くで警察 ....
そうですファーザー僕の罪です
僕の空想の中にしかない緑の地で
彼を罰したのは僕です
絹糸のようになめらかな美しい川の流れ
を燃やしました
とてもよく燃えました
腕に黄色いスミレ紫のスミ ....
奇妙な絵だった。
空には赤い月
青いグラディエーションの夜空に星はない。
地平線は白く
大きな駱駝が1頭
太い大きな足は象のようだ。
蹄はなく
指が三本
駱駝の顔は大きい。
....
ある日 妻が疲れていたので私が食器を洗った しかし
次の日 録画をして週末にまとめて見るのを控えて
欲しい と言われた 妻にはそんな時間ないとのこと
しかし アメトーークだけは譲れないーー
テ ....
意図は回りを濡らしてしまう
意味へと上手く収まり切れず
ことばは未満の盃
発しては 少しだけ 欺かれ
揺るがないものを前に
自らの揺らぎに幻惑されるのか
受けとめては傾ける 刹 ....
いち・に・さん・死
いち・に・さん・死
秒針の先っぽで
生命が削られてゆく
刻々と
ジタバタ焦って
躁なんだ
空は見えます
雲も見えます
でも
波は無い
海が無い ....
消息
闇が待ちわびるのは
光
ひとすじの
てらされたところから
闇は食べられてしまうけれど
光の中で
いきながらえる
そんな闇があるらしい
孤食
さみしさと
....
*
リンパのようにはりめぐらされた
首都の地下の冷えたレール
そのところどころが表皮をかすめ
夜になると光る花を咲かせる
昇ってしまえばあとは降りるだけ
観覧車は僕らをどこにも
....
僕は
ウエハースを持って
屋上で月を見ている
ハイウェイを見下ろして
ウエハースだなんておもうよ
月に見とれていたけれど
鳥肌の立つ明け方に
うっすらさよならしていくよ
輪郭を、街は、 ....
最期のタバコ屋で最期の女に出会い
最期の言葉を交わして
いっしょに暮らそうかとも想う
いつも最期に出会いたくないので
のらりくらりいきている
挑戦状のないリングで闘争心のない犬と成り ....
空にポツリと佇んでいる
逆さまの煙突は今日も煙は落ち着かない
ドーナツをおでこにあてて
選ばれるのを待っているのだけど
聞こえてくるのは誰かのくしゃみばかり
僕は長い長い道を見ながら ....
毛虫の襟巻をした男が蝸牛の殻に腰をかけている
鼻にツンとくる冷気
上着の内ポケットを弄って
煙草――かと思えば
むかし別れた恋人の
薬指の骨ひとつ
飴色の思い出を
こころなしやさしく
....
午前4時
夕暮れが恋しくなる頃
息の白さが深く沈む
繰り返すさみしさの波に
黒く溶けていく
闇の中で誰かがいった
こんなはずじゃなかったよな
そうだな、こんなのは
どっかのグズ ....
迷っているひとほどしをほしがる
おなかがすいたらしは遠くなる
絶望のとなりにしはある
しという文字はまがってる
それは釣るためひとを
私は釣られないぞ
そうおもった ....
懐で古銭をじゃりじゃりさせながら
暗い大通りを歩いていく
多くの脇道が横に伸びていて
かつてここを一緒に歩いた人が
上から見ると「馬」の字になっている
と教えてくれた町
何百年も前に大火の ....
真冬の朝
道を歩いていると
飛べなくなった小鳥を目にすることがある
数年に一度
いつも忘れた頃だ
そっと捕まえ
コートの内ポケットへ忍ばせる
少しおくと
飛べるようになって
やわらか ....
なにかを聞き返すときの唇は
え という音のかたちがいい
あ という風にききかえすと
無用な風がまきおこるし
結んでしまうと唇は
意思を表明してしまう
え というかたちは平和のかたち ....
「どちら様でしたかねぇ」と
実の父親に尋ねられた
認知症治療中の父が
インフルエンザから肺炎を患った結果
認知症が一気に進んだ
散々反発した父なのに
この
足元に穴が開いた浮遊感 ....
説明 解説 言い訳
どれも要らないと云った
ただそのままで
あなたは惹きつける
男が女を始めて見たように
女が蛇を始めて見たように
たぶん
美しくて奇妙
エロチックで恐ろしい
....
誰がいちばん可愛いだとか
何がいちばん売れているだとか
私にとっての世界は争い
透明人間になりたかった
耳を塞ぐのはヘッドフォンで良い
口を隠すのはマスクで良い
肩に触れられて初め ....
1
赤トンボたちが
飛行機のルーツのように飛行している
一日ごとに冷たくなる風が
透明に流れている青空の清れつさと
黄いろい木々の退廃を同時に包含している
秋の午後
パズルのピー ....
かつて風船には二種類あった
空気より軽いガス製と
人間の息製と
人間由来の僕らは
空を飛べないはずだった
小さな手ではじかれて
ほんの少し空を飛んだ気分になって
じべたに落ち ....
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