151001
木を育てるには水を与え植物生育必要な栄養素を与え、日の光に当ててやると良い
そんなの当たり前ジャンと思うのだが、現実はなかなかそうなっておりません。
....
地上からほかのどこかに通じる
風通しの良い扉が一斉に閉じると
秋の始まりだ
秋は閉ざされながら熟していく
密度の高まった空気と光と音楽
みな緩やかに撹拌され混ざり合いながら
ひ ....
夫と言い合いになった日の深夜
冷蔵庫の前に這いつくばって
冷たい床に雑巾で輪を描いた
何度も何度も同じ輪郭を辿って
ただ一心不乱にひとつの輪を描いた
怖い顔で子供を見送ってしまった朝は
....
「下を見て暮らしなさい」
下には下が、
その下には下がいるということを
赤いちゃんちゃんこを着た人は
底なし物差しを振りかざす
下を見て暮らしていけば辿り着く
プラスチック ....
父の焼く卵焼きは
ほんの少し砂糖が入っていて
ご飯の上に乗せて醤油を垂らすと
一パック分の鰹節が欲しくなる。
(ご飯の上で、湯気の音頭に合わせてゆらゆらと踊り狂う鰹節。)
赤い箸で何 ....
親からもらった名を
30数年飼っているが
これがなかなかなつかない
気づくとどこかに行ってしまうので
私を呼ぶとき
みんな仮の名で呼ぶ
仮の名は20個くらいあって
ずっと傍にいるもの
....
時間があふれたしろい壺は
だんだん透明に染まっていって
いまはほとんどみえなくなった
わたしはさかさまになっていままでのことを
体じゅうに飾ってみる
あふれてあふれてあふれている
....
おとうさんとおかあさんはりこんした
わたしにそうだんもなくりこんした
けっこんするときも
わたしにそうだんしなかったから
りこんすることもそうだんしなかったんだろう
そうおもうことに ....
150922
超立体とマスクのパッケージに白抜きのゴシック文字で書いてある
大きな文字で書いてあり、息がマスク端から漏れないように
ぴたりと顔に密着できるように出 ....
しぼりたてオレンジみたいな夕焼けに明日の分の元気をもらう
まだ青い林檎のような君だから紅くなるまで待つことにする
初恋は甘くて酸っぱいストロベリーそっとキスして涙の痕に
特別な果物だ ....
いつもは聞こえない
水洗トイレのタンク内に落ちる水滴の音
いつもは聞こえない
紫煙を逃がす窓の隙間から聴こえる虫の音
いつもは聞こえない
常に快適に室温を保っていたエアコンの音
いつもは聞 ....
貴女が移動しながら放った
屁を追って行くと
そこには
飛行機雲さながらの
文字が書かれていました
見えないので
鼻で読んでみると
「もう、秋ね」
と書いてありました
僕が、そ ....
バーカバーカと書いた尻文字に欲情されている
ながい階段が その夜
わたしの内に滑らかに延び
喉の辺りで途切れていた
笑えるほどにせせこましい
悲しみなど疾うの昔に
桃色の床で何者かに
踏み ....
ー年を取るとはこういうことか7ー
若者よ ズボンをはくとき
ベッドに腰掛けなくても履けるか
家中の者が畳の上で生活していた頃から
立って履くのが常だった
布団の上で寝転 ....
剥ぎたい
もしくは
突破したい
この皮を削ぎ落として生まれ変わりたいくらい
直立不動に酔いたい
頼もしかった諸刃を振り回していた鏡の世界に
会い ....
あるはずの脈動は感じられなかった、おそらくはすべての感覚が薄いプレートのようなもので遮断されていて、ほんのわずかな隙間でしか機能していないのだ、コールド・スリープの ....
嫐という字の男が憎い
尻文字で詫びている
150920
ねばならぬ
ねばならぬこと
それは読後感想文の提出
現国の夏休みの宿題
収容されて派遣された
敵国将校の部屋の隅で拾った
半分腐りかかったたまねぎ
もっ ....
嵌まる
虚の時空
実感無き生
ふざけるな!
鉄槌を打ち込む
固い硬質なビート
過去の影を蹴散らせ
執拗な愛着や温もり
脳髄を垂直破壊し
虚脱の生に力を
内在する何か
を賦活せよ
....
由比ヶ浜は沈んでいくときいつも産声をあげて泣いていた。はじまり、の詩句が似合う、弾けた鞠なんだ、追いかけるように後ずさる。泡。僕らはどこまでも形骸と化した空気を追いかけて、空に跳躍、する。
イカ ....
六十キロに満たない
体重を受け止めて、
滑らかに沈む砂地が
どこまでも潤ったまま
保存されている、
海だった土地に、
吹きつける風が
旱魃の
硬く、脆い
呆れ返ったような表情の
....
すべての店が軒を下ろした
真夜中の薄明るい街路を
ゆっくりとした速度でぼくたちは歩いた
その夜は12月みたいに寒くて
耐えられなくなるたびに
自動販売機で温かい飲 ....
澄み渡る青空に
赤々と色彩滴らせ
紐状花弁幾重にも湾曲結ばれ
彼岸花、輪を成し髭を反らし無言開く
と
いよいよ高まる青空に
透明に重なりいく女の声は 彼方も此方も自由に往き来する
彼岸を ....
曼珠沙華
いまなき人の
魂を
華に映して
涙ひとすじ
帯を解き
ちがう男の
うでのなか
かぼそい声で
わたし乱れる
実のところ
安保法案騒動なんて
数字が取れないので
いい加減止めたいと
思っていたんです
まともな生活者には
何の関係もないですから
そんなときに
ペルー人が登場した訳です
人数 ....
川はあちこち
淀みをつくりつつ
流れ流れて大海に注ぐ
澱みは停滞、流れ止め
澱みは深く、流れ殺し
澱みは腐敗、流れの死
清流激流
流れの源頭
水は緑の苔群落に
プスプス湧 ....
削除してください、
削除し、てください、
ぼくの、ぼくの、
ああ、ぼくの止まり木には、葉がない、
歯がない、ぼくの顎には、
だくてん、と、
どんてん、の、
はつわ、ができない、
うつわ ....
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