ゾウのすむ森
という名の運動場
いちばん小さいウタイは
頭を振っている
振り子みたいに夕暮れ時
歩いてやり過ごす二頭をよそに
空中に鼻をしならせ
耳朶で風を鳴らすよう
右に左に頭を振り ....
(S(HE))
女子マネがいるとこには負けない
わたしにある
他者の相
他者は正月にもちを食い
他者はゆっくり風呂に入る
他者は身繕い
他者は出かけ
他者は恭しい
他者は賀し
他者は帰り
他者は脱ぐ
他者を脱ぐ
ひ ....
どうせなら
ハイなセンスで、ナンセンス
ダビデを車道に
縦列させたり
きらきらと
うたえる予感に誘われて
駈け寄ったのは
雨垂れの音
土産など
キスの ....
雨上がりの用水路
垂直のコンクリートを
ハサミをふり上げながら
カニが器用に歩く
ご挨拶をすると
立派なハサミをさらにふり上げて
立ち止まった
カニ君
待って!
....
ミッキーマウスは ビックマウス
ほんとうのネズミは 目が ほとんど見えなくて
光と影くらいしか分からない
見えなくても見える方法を 知っていたり
いや 知らなかったりする
オーストラリア ....
晩飯は王将にしよと詠んだら餃子ぐらいはタダにならぬか
ブルンブルンブルンブルン
ダメだ
飛ばないな
変な液は飛ぶんだけどなあ
ブルンブルンブルンブルン
おかしいな
長さが足りないのかな
でもヘリコプターの
プロペラみたいには
....
横になって感じるナンバーは ライオン
野生の猫の たてがみの美しさは 17
おきあがれない日
かなしい日
戦っていない日
子猫のように爪をといでいる子が大勢いて強さを誇っていても
気 ....
一瞬だったような気がした
永い一瞬のはじまりはじまり
{ルビ鳩尾=みぞおち}に酷く重い鉛玉を撃ち込まれて
浅い呼吸で酸素を集め
二酸化炭素を深く吐き出す
この作業をここ数日ずっと ....
あー あー きこえますかー
こちら、地球です
地球です
けっきょく滅亡はしませんでした
とくにおっきな変化もありません
いつもの日常でしたー
....
犯人に告ぐ
おまえのお母さんの従姉の娘さんの
ご主人の母方の祖父の弟にあたる人
と昔付き合いのあった八百屋の常連さんの
山田さんの甥の二号さんから
おまえに話があるそうだ
よ ....
「いっそ気が触れてしまえばいいのよ」とスナック菓子の袋を開けた
夫婦喧嘩しながら
酒を飲む
楽しい酒ではないけれど
つまみのイクラを
一粒一粒舌で潰しながら
時が過ぎていく
その一瞬にも
互いの言い分が述べられて
これは生きてい ....
朝起きなさいと叩かれる畳
撒きあがるダニの死骸
目覚まし時計は横虐に喚く
「それは布団から出る事とは違う」
「ベルを黙らせれば済むことでもない」
けれど彼らは毎朝毎夕起きら ....
気の抜けたコカコーラ
絡まった線が抜けていたヘッドフォン
部屋から出られないわたし
扉よりも壁の向こうを気にして
耳澄ます
あなたの訪れをまつ
歌声だけでも
壁の凹みに大陸 ....
いまの楽しき日々を織りなして
夜の更けるほどに高まる二人の喜び。
終りを知らぬ二人の会話は
星の間を飛び交う電波。
そのまま夜明けを迎えて白む外
それも知らず、喜びは
行きつくとこ ....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう
やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
呼んでないのに来た
リボンという名の首輪を外し
第一ボタンという名の戒めを解く
スカートを3回折って
わたしは走る
この足2本の赴くままに
どこに行くかなんて
私は知らない 君も知らない
ほんの小さ ....
日曜日の夕方
群青色の冷たい空
閉じ込められたような
地平線の端がじわりと燃える
正解がないのは
どの道を選んでも同じ
世界を美しいと思うのは
積み上げられてきた
歪な歴史 ....
騒めきを静めるように
掻きならす
腕にたくさんの糸をつないだ
はずだった、気づけばほつればかりで
抱かれた幻想に惑う
声すら届きもしないのにこんなにも
頼りない宛てに頼るなんて
美し ....
今日も待ち針を刺す
心の縁に
ずれないように
歪まないように
一針一針
ゆっくりと
ただまっすぐに縫いたいだけ
私の心の裏側に
注意深く
ちくりちくりと
針を刺す
明日は真っ直ぐ ....
鏡の前の
リクライニングに座り
鋏を手にしたおじさんに
全てをまかせて、瞳を閉じる
ぱさ、ぱさ、と切り落とし
頭はだんだん軽くなる
ぱさ、ぱさ、と切り落とし
心はだんだ ....
自由、自由って
振りかざせば
いいかと思って
このバカちんが!
あんた
そんなこと言ったって
俺にやらせないじゃん
指一本触れさせないじゃん
自由が聞いて呆れるんだよ
俺に自 ....
銀のジュラルミンケースに
細く口を開けて待ち構えるなにか
じゃあ あたしから
若いころのあの人と撮った写真
大事にとっといたんだけど
ね 白黒の いいでしょ 気に入ってんだ
....
封筒の右端に犬小屋を建てました。
赤いペンキで塗りました。
そこで手紙を書きました。
とても短い鉛筆で。
さいしょに友達の名前を書きました。
つぎに夜のあいさつをしました。
あたらしい ....
冷蔵庫に忘れ物がいっぱい
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