とにかく頑張る気だった
父を棺に入れる時も
親戚の人達と共に
ぐにゃりと 固定できない父に
白い旅装束を着せて
和尚様の教えに従い
とにかく 無事に弔いたかった
和尚様が 小学に入 ....
夏にさよならを
今年は雨が連なりますね。雷師も人格が変わってきたようです。
と、お天気お姉さんが言っていました。
それはそれで構いません。
カレンダーを丸めたような手紙をバトンにして
....
心細さを擽る風が
お腹の底を吹いたかと思うと
今朝からは
おびただしい数の赤い蜻蛉が
突然現れたにしては
脅威的な確率の高さで
ペアを組み
次々に風を横ぎっていく
二匹ずつきちんと ....
一週間前にがなりたてるように鳴いていた、蝉の死骸を見つけた。
こいつは実は長生きなんだ、騙されないぞ、と僕は思った。
この世は、騙される事が多すぎる。
ずっと彼氏は作らないと言っていた、大好きだ ....
月曜日の朝
朝 、()の中に月を入れるの
まるでポケットに詩集を入れるみたいにね
いつだったか 、重いポケットが
心を軽くしてくれたことがなかったかしら
え ....
巫女のバイトしてご利益がない
血を吐いて蚊が死ぬ
布団は ばあちゃんの香りがしている
少し脚が不自由だけど 元気で
働き者のばあちゃんが干しておいてくれた
布団は日向の香りが充満している
ばあちゃんは もう年だから
同じ話を ....
君は世界を蹂躙する
まずは東京タワーを飲み込んだ
次に国会議事堂を
そして、ホワイトハウスを
どんどん
どんどん
君は大きくなって
私の眼では
全貌を見ることが出来なくなってしまっ ....
愛を語るにふさわしい
距離がある
夢を語るにふさわしい
距離がある
それゆえ
あなたとわたしには肉体があって
ときどき、響き合う
過去も未来も現在も
その伝播のなか ....
保守派の彼女は言った。
「先の戦争は敗戦。
戦略や戦術が間違っていた」
リベラルの彼氏は言った。
「先の戦争は終戦。
そもそも戦争すること自体が間違っていた」
....
忘れられないのです
満月の夜に
海面が砂金のようでした
星々は だまって それを見守ってました
海蛍です
しずかに群れはじめ
そっと
この足首を
群れの真ん中に沈め
かるく ....
床の上で夜中に何時間もノートに何かを書いてました
それは小説と言ってもいいのかもしれないですが
とても人には見せられない 滅茶苦茶な小説でした
一日の睡眠時間は2時間で 夜中に滅茶苦茶な小説 ....
嵐のように怒り
自分のために大雨を降らす
周りの者は巻き添えになる
はた迷惑な幸せ者
誰にも悟られたくはない
暗い海の底へ
暴れる心を鉛に詰めて
幾つも 幾つも
寛容と ....
とととととと、とと、ととと
ラジオの周波数を雨音にあわせる
ちいさな水滴が上空四万メートルを落下してゆく
かぜに巻かれて空を泳ぎながら引力にひかれて
くっつきあって離れあって目に見える ....
忠犬に黒歴史を掘り返されている
なくなる
なくなる
いずれ
いなくなる
いなくなる
いずれ
ならば
悔いなく
悔いという悔いを焼べて
....
五メートル×五メートル、市民農園の区画ふたつが
わたしの詩の研究室
今、研究室では白いつるバラ「新雪」が咲き乱れ
萩「あすかの」がこんもりと枝を伸ばしている
土に金属の支柱を五十センチほど埋め込み
....
GIRAGIRA
あの頃の僕の瞳は
油の浮んだ水溜り
空も街も人も季節も
虹色に濁って見えた
今にも分解しそうな心を
繋ぎ止めていたのは
少し哀しい臭いのする
ギラギラ
....
何処に行くにも二本一組で
助け合って動く足に異変が生じた
左足の指の関節を骨折した
左の指先が大地に触れると
痛みが全身を走り頭に抜ける
医師は左はかかとで歩けという
左足を半歩前 ....
蛍火やGODZILLAの去りしあとの街
無言電話なんかしない
無言電話なんかしない。
そんなことしないから、ちょっとだけ。聞き耳たてさせて。
ちょっとだけ、ちょっとだけだから、あなたの後ろを歩かせて。
こっちむかなくたっていいか ....
あめとうとう
硝子を濡らし
景色を隠し
ゆめうとうと
意識を揺らし
兆しを示す
ことばばかりがほとばしり
あぶらえのようにおぼれるみどり
ただあって 泣く まじりあって
....
即興ゴルコンダ(仮)参加作品です。今回は、三つをオムニバスにしました。
http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=4832676#10633425
....
ただいま暑いと喚きながらドアが閉まるが早いかTシャツを脱ぐ。廊下を進みながらタンクトップに半ズボンと次々に脱ぎ捨てる。なにそれと咎めると笑いながらこう答える。
「それ? あたしのぬけがら」
少女か ....
よくよく考えてみれば人生の半分は曇り空で、そのうちのまた半分は雨と流れてしまったかのようだけど、パール、僕が一生懸命額に汗して竹の子を掘り返しているときや、少しばかりのお札を伐りながら飛び散る蜜柑 ....
先生は首を傾げる
ワタシのどこが悪いのか
いろんな角度から舐めまわすように
ふーむ
今度はワタシのウデをぶらぶら
ワタシのどこが壊れているのか
先生は首をもっと傾げ
....
ずず、
ずずっ、
コーヒーすする
いや
ちがう
ちょっと
苦そうに
コーヒーを
いや
ちがう
苦しそうに
ははは
ずず、ずずっ、
いや
....
再放送で観たから君が思う歳ではない
お母さまの名は 木蓮 冬の終わりをつげるのが役目
枝葉よりも先に花を咲かすような人
母は春になると つぼみのうちから 木蓮を愛おしむ
坊やの心は卵のままの まだ ねんね
坊やが 見るのは ....
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