来る日も
来る日も
最前線の風に吹かれながら
じっとそこに居続ける者あり
笑われても
罵られても
渇ききった砂塵を噛みしばきながら
じっとそこに立ち続ける者あり
戦っている風でも
....
だれかが楽しそうなら
きみはそれがいちばん嬉しい
きみは秋の午後のひかりのなかで
だれかが楽しそうなのを見つめている
ぼくもこころでそれを見つめている
黄金いろの土を ....
記憶の扉の鍵は締めないほうがいい。
綴られた思い出に机上のペンは饒舌で、
蘇る風景は良質な硬石のようだ。
不変の美が穏やかに語りかけることもあるだろう。
共に生きた証は残したほうがいい ....
健全な夕暮れに秋の冷たい風が吹く。
私は人生の喜びを一人の詩人に教わっている。
心の師は人生を達観している。
そのため私は私の境地を再確認出来るのだ。
疲れた頭に師の言葉の数々が染み渡る。 ....
雲海に沈む太陽に心が沸き立つ時、
私はもはや一人ではない。
この道はあなたも通った道。
過去に飛翔する魂を私は許した。
生への鼓動がこの道をゆく。
私の視点の先には常に未来が横たわる ....
若気のいたりを老いても続ける
ひとつの恋愛が始まると
いくつかの虫歯が
できてしまう
歯医者に行くのを
忘れてしまうこともあるけれども
夜中に眠る前に
歯磨きもせずに
お互いの話をすることに
夢中になってしまっ ....
朝焼けと茜空の間に
彩(いろどり)が溢れ
茜空と朝焼けの間に
暗闇が横たわる
少女はその秘密を知りたくて
彩の一つ一つを呼び出しては
新しく命名し昼の詩を
暗闇の底を探っては
言葉で照 ....
風が運んできた花の匂いにまみれたら空想に囚われて
飛行船で七つの海を制覇する旅を始めてしまうけれど
真夜中に目覚めた時のあの浮遊感が忘れられないから
雷雨の中を駆け抜けて迷い込んだ街で君を思 ....
とんぼをみない秋
あの
まっすぐでもなく
ふらふらでもないとんぼの泳ぎを
真似てみたい私の歩み
目的が
ありそうな顔をしてゆくこの道
噂をしなさんな
だれかがささやく
....
雛菊をみていた
毛氈のような緑に
ところどころ陽に照り映えてある白
海をおもいだしていた
流木の漂白された肌が
曇天に無色をそえる
時間の重さをはかる
手のひらの中の一握りの ....
高くなってきた空が呼ぶので
机から飛び出して学ぶことにした
何かに追われ、足早に過ぎ去っていた道
今日はゆっくり歩くとしよう
見飽きたはずの街路樹
瑞々しい緑が弾け
時間を宿した幹 ....
四年京都に住んで
今でもよかったと思うのは
はる を覚えたことだ
生まれ在所に戻ってからも言っている
開けてはる居てはる植えてはるえづいてはる起きてはる
噛んではる切ってはる ....
秋に扇なんて いったい今何月だと思ってるの
もう10月よ
夏の名残を惜しみたい気持ちは解るけど
そろそろ仕舞わないと
変な人だと思われるわよ
雲泥の差ってさ
空に浮かぶあの雲と地面 ....
カーテン開けたら 外は雨降り
こんな日は決まっていつも
君が残していった古いレコード盤に針を落す
心地よいノイズに混じった美しいピアフの歌声に
気だるい気分で僕はもう一度ベッドの中にもぐりこむ ....
現実の壁 理想の枷
解釈を誤るところから築き始める
一途は暴挙だ
途方無き循環だ
不可解が新世代の鍵なら
扉を扉と認識出来るだろうか?
現実の壁 理想の枷
本当は ....
そそられる
そそられる
珈琲の匂いって
そそられる
そそられる
そそられる
給食の匂いって
そそられる
そそられる
そそられる
雨の匂いって
そそられる
そそら ....
「ねえ、これは骨?」
チキンナゲットを食べ慣れているお前達に
フライドチキンを与えたら
飢えたライオンの子供のようにそれを貪りながら
何かを思い出したように下の娘が訊く
「そうだよ。 ....
ただただ夜が
石畳のうえで時を数えていた
ささやき声のような星が
いくつか浮かんでいた薄曇りの零時
駆け抜けて行ったモーターバイクが
どんな行先を目指しているか賭けてみ ....
貴方の祖父は画家
貴方の父も母も阿蘇山を駆け上がる 馬の姿を描いていた
貴方の弟も絵をふすまに残していた
でも貴方は描かない
すぐに脱いでさしあげるのに
私のささやかな夢の ....
蚊を叩いて折れた骨がある
最後に続く 黒丸の群れは
猫の落とした 不思議な能力
にゃあ でも
にゃにゃあ でも
にゃあにゃあ でも ない
聞き取れぬ程の 呟きと
爪に残された 皮膚片で
ご主人様を 特定す ....
思考が歪 これもアタシどれもそれも 殴ってやりたい
苛立ちなんてものではなく 只の思考の歪
舐めるんじゃないよ どいつもこいつも 浅墓の知覚なし
悉く尽す唾棄なエネルギー
思考の歪の ....
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怪物くん
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-(2013/10/05(Sat) 17:43:47)
新月の夜
竹に上下の節あるように
唇に上下の別があるように
新月の ....
もっとも善意に満ちた人々から、月光が射してくるように「詩人」と呼ばれ、もっとも無関心な人々から、どうでもいい荷物を落とすように「詩人」と呼ばれる。だが「詩人」という自称は北を向いた決意だったり南を ....
嗚呼朱く赤く紅く
秋に明け暮れ飽くことなし
移ろうものこそ美しい
去りゆくからこそ愛おしい
不変の美は仮庵から
渡り鳥のように飛び去るのだ
文字の檻に閉じ込めるなら
ソレハヒトツ ....
体脂肪10%につき
5万円を徴収するという
体脂肪税法案が
国会を通過する見通しとなった
国会周辺では
これに反対するデブが
大規模なデブ行進
もとい、デモ行進を行い
道幅を一層狭くし ....
ある傾斜においてうつむくのでなく
あたまならがっくりと
垂らすせいで
きみの、
頸椎が
くらい空にすっかりひえてむけてしまい
きみの視ないものにちゃんとかぞえられる
都心から二時 ....
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊
どこまでも透明な
追憶の彼方
舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉
堆積する秋
深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
背負うものがあるぶん
過ちが犯せない大人と
背負われているぶん
間違えるのが怖い子供
角砂糖ひとつぶんも
バランスを崩さずに
あの子は確かにそこにある
....
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