すべてのおすすめ
めをこえて、
みみをこえて、
のめりこむ。
めりめり、のめりこむ。
目の縁の涙腺に沸いた黄色い虫が、
ぐるぐるまわる。
痒みは好奇心のうねり。
うねりを掻き立てる爪を、
 ....
きみはいつも、
真正面からは現れない。
肌寒い風の吹く如月の、
白樺の間から手を伸ばして、
私の背中を包み込む。
それは時に冷たくあたたかい。

きみが透明な糸を指に通して、
あやとり ....
切れた指の皮膚の、
先端から咲いた小さな焔が、
野を駆けるように、
街へと拡がっていく。
私の思念のなかの街へと。
思念の街には色々な人が住んでいて、
皆、凍えながら何かを待っている。
 ....
アンタガワルイノヨ、
ゼンブアンタガワルイノヨ、
アンタガ、
アンタガ、

三半規管を往来する
嗄れたあなたの声が、
私の耳から喉に谺する。
私は何故か言い返せない。
なぜなら私はあ ....
私の耳は雑踏を歩く。
歩きながら無数の罵倒を食べている。
ある声は街中でぶつかりあった肩に
舌打ちし、
ある声は、休日の電話に悪態をつき、
ある声は、暖かな午後に寒いと言って愚痴を吐き、
 ....
切りつけた樹皮のような皮膚からの
血の疾走が止まらない。
血は螺旋になった虹のように、
この腕を伝いおりていく。
かたかたかたかた、
血の足音が三半規管を通過して、
押さえられた手のひらに ....
脳髄の奥底で、
渦巻く怒りに似たことばは、
構築を知らぬまま
進むべき道の足跡ばかり探る。

*

机の上に仮面が置かれている。
仮面は口元をカッターでなぞられたように
笑っている。 ....
黒く透明な魔物にとりつかれた指は、
もう止まらない、
もうもどらない、
指が進む先は、
まっすぐ なようでかなり
曲がりくねっている。
指には耳がある。
かなりたくさんの耳だ。
無数の ....
ことばを欲しがる指先が、
熱を帯ながら、
水面をぴしゃりはねる。
指先の熱が水を伝って、
水面に映りこむ私の唇に話しかける。
熱は針のように鋭い薔薇の棘になって、
私の唇を抉じ開け、
舌 ....
針を指先に刺して、
血の花を咲かせるように、
ことばを呼ぼう。
浮かんでは消えていく気配が、
幻聴によく似た囁きに呼応する。
 ....
(あれは、何だったか)

火竜になって飛んでいった私の分身が見たものは。
食いちぎられた街、
灰になった街路樹、
口の中が埃臭い。  ....
手のひらに、
とぎれとぎれの物語がまじわるように、
とぎれとぎれの時間のなかを旅している。
風は、
私にまとわりつく
薄い襞を食んでいく。
一衣も纏わぬ身体になった私の心は、  ....
静寂のなかで、
何かが明滅する。
明滅は赤い、
悪魔の囁きだ。

(おまえは何が欲しい?)
(おまえは何が欲しい?) ....
私はさかなをかく。
私はさかなはかかない。
さかなのなかを私はかく。
さかなを支える骨の内部を流れる
熱い海の流れを。



塩焼きにされた秋刀魚にかぶりつく、
がり ....
 何かが書きたいと、パソコンの画面に向う。するとどうだろう、白紙のワード画面が巨大化して此方に近づいてくる。私は呑み込まれる。そんな夢を幾度か見た。画面の内部は、埃臭い舞台裏のような場所だ。壁や床や天 .... 皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな ....
一枚一枚、
皮膚を削る。
削り落ちた皮膚はことばになり、
わたしというあなたの淵へ落ちていく。

あいすることも
ものを書くということも
すべての始まりは哀しみだ。

 ....
(孤独を知りたい)
その声のする方へ
足を向けると
ビル街から住宅街に迷い込んだ。
そこでは人々の匂いはあるが、
人の姿はなく、
窓辺から聴こえてくるやかんの音と、
乾きき ....
私は誰もが知っていることを知らない。
私は誰もが知らないことを知っている。
誰にもみえるものが
私には見えない。
誰にもみえないものが
私には見える。
あなたは今、
笑 ....
『難破船』        あおい満月


(書きたいなら、食べなさい)

誰かの声に瞬きをすると硝子の壁の向こうに、
肉や魚や、
色とりどりに切り刻まれ、
煮込まれた野菜たち ....
この血であなたの心臓を突き刺したい
ナイフを手にその背中を追いかける
あなたは急に立ち止まり振り返って云う

刺せるものなら
刺してみろ

わたしはナイフを突き
刺し殴る
 ....
わたしはまだ、
本当の血を流していない

わたしの足元から
見えない厚い雲が
ゆっくりと動く
雲と呼吸を合わせると
静かに痛む、
嘗てのわたしの部屋

大きな流血の ....
買い物袋を持つ
袖口から覗く彼女の腕には
野犬に噛まれたような夥しい赤い痕がある
ぼくの腕にも、
同じような痕が犇めいている  ....
こひもともひこさんのあおい満月さんおすすめリスト(23)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
黄色- あおい満 ...自由詩216-5-2
- あおい満 ...自由詩7*16-1-31
手紙- あおい満 ...自由詩6*15-12-31
いのり- あおい満 ...自由詩615-12-28
歩く耳- あおい満 ...自由詩615-12-26
骨のなかの血- あおい満 ...自由詩715-12-23
地図- あおい満 ...自由詩915-12-12
- あおい満 ...自由詩9*15-12-10
シーツ- あおい満 ...自由詩615-12-10
残り香- あおい満 ...自由詩815-11-22
フロント硝子- あおい満 ...自由詩8*15-11-11
体温- あおい満 ...自由詩715-11-3
人魚- あおい満 ...自由詩615-10-25
もえるうみ- あおい満 ...自由詩19*15-10-20
原点を探して- あおい満 ...散文(批評 ...215-9-16
接吻- あおい満 ...自由詩14*15-9-5
未知のことば- あおい満 ...自由詩5*15-8-14
住宅街- あおい満 ...自由詩11*15-7-20
- あおい満 ...自由詩8+*15-7-12
難破船- あおい満 ...自由詩8*15-6-23
『目指すもの』- あおい満 ...自由詩712-12-8
『生血』- あおい満 ...自由詩8*12-12-4
『共喰い』- あおい満 ...自由詩6*12-11-15

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する