鈴にたとえて考えたい。わたしの体のなかにおそらく百個の鈴がぶらさがっている。怒りが最高潮まで達するとそのすべてが鳴りだして、もうそれ以外なにも聞こえなくなってしまう。光のような音がオバケみたいにわたし ....
苦々しい喜びや
清々しい恥じらいが
わたしの背中を支えてくれる
寒々しい真実や
みずみずしい偽りが
わたしの肩を持ち上げてくれる
どうしたって
戻れないのが過去ならば
....
その時、理由(いわれ)のない衝撃に狂うわたしのために
あらゆる風景が恐怖の紐で吊るされていた
だが、わたしは風景の風景たらしめる骨格なのだ
わたしの印象なら壁にそってどこまでも落ちていった
....
*
レトリックの瓦礫が密集する街を頬を赤らめて通り過ぎてゆく足取りが虚しい
整然さを嫌った歪んだ街路ばかりの、あざとく惑わすような模造芸術の佇まい
支配電波が強烈な悪名高いB地区では入力辞 ....
雨が降りやみ
風も吹きやんだ
笑顔のままで
濡れそぼる重たい旗を
強風に煽られながら支え続けた
孤独な旗手の闘いも終わった
鈍色の空が少しずつ明るくなると
どこかで小鳥の ....
この地球を構成する118種の元素
水素から〜eka-ラドンに至るまで
この地球が作ったものは ....
突然窓から入って来たかと思うと
開きっぱなしの聖書を勝手にパラパラめくり
挨拶もなしに出て行った
――相変わらずだな
きっと満開のニセアカシアの間を抜けて来たのだろう
すると今頃は下の公園辺 ....
裏側 裏側
なんの裏側
本の裏側 さしすせそ
咲いた咲かない あたしの才能
尻拭いばかりさせられる
水族館に住んでいた
セイウチみたいになりたいな あら
外はすっかり雨もよい
....
私は
私のこの身の他に
何も持ってはいませんが
この手を使って
誰かの手を
握ることができます
この足を使って
誰かの足の
かわりになれます
この目を使って
誰かの命を ....
剥かれた豆の
殆どは椀に収まったが
僅かながら溢れてしまう
階下から聞こえてくる物音は
すべて嘘だと私にはわかったが
目の前で語られていたならどうだろう
....
「血の起因というものは自らの意思では切り離せない。
それを人類は延々と見届けてきた 」。
くり返されることによって生じる不幸とは、それらが臆病な性質に起因しているとは誰も思わない 。
....
言葉に頼りすぎよとあなたはいう
私はくびをふる
相容れないなにか
みえたものを言葉にして
言葉でしらないふりをする
「梅雨は嫌い」と言ったら
おまえはそうでも
俺たちは雨が降らないと困るんだ
紫陽花の葉っぱに隠れていた
一匹のカタツムリに
小さな声で抗議された
「洗濯物が乾かない」と嘆く
なにを言 ....
わたしにも速度がある
誰にでもあるというからには
あるに違いない
とても遅い
祖母たちの
三度目の転生にすら
追い抜かれる
巨樹のさかえた森の
最後のらく葉 ....
悪事千里を走る
4千キロメートルもの距離をどうやって走っていくのかしらね
まさか自分の足でってことはないわよね
駅伝みたいに人から人へと襷リレーしながら走っていくのかしら
あるいは車でってこと ....
変な人と呼ばれたい
あまのじゃく 団体行動が苦手
変な人と呼ばれたい
あなたがそうなら 私はこうだは
変な人と呼ばれたい
普通の人 いい人じゃつまらない
変な人と呼ばれたい
とんがって ....
陰惨 画賛
インクが黒く死に重視
印紙が白く二重に
死は三重に、苦は七重に
午後に10号発破 六時 勇姿
破竹、死地中に獅子獣 666 三重6
産後、重合 肉汁は血
死後に銃
クク ....
あなたの苦労を買います
但し 生きた苦労に限らせていただきます!
こんな広告が新聞に載ったのだ
男は人並み以上に苦労をしてきたと自負している
早速電話で応募してみた
指定された場 ....
醗酵することは発行されたものをもたないこと
あるいは発光する冷たい微熱をかかえた昆虫の夜を生きること
あるいは薄幸な女の身の上話にあいづちをうつ場末の安酒場の空気
欲望は醗酵し発熱し自分の足 ....
あなたは夏のひとだった。雨のない笑顔をしてわたしを不安にさせる。長い手足をなめらかに泳がせて、いつもすがすがしく気持ちをかきまわしてくれたのだ。いつぞやのモーテルは名前だけ変えて、その窓の多くに過 ....
ちぎれた 火の粉を雫の中にやどした言葉たちを超えて鳥が謳う
ほととぎすは 夜通し歌をもやし、カッコウは霧雨を もやし
溶接工は、鉄を燃やして繋ぎ合わせノアより巨船を創り
アリアは、魂をすく ....
地球より大きい傘で誰も濡れない
{画像=140605223459.jpg}
人は他人無しには存在できない
自分だけで自立しているように見えて
他人の評価を気にして生きている
自分の生き方も定まらず自信を失 ....
ことがら は 昨日の記憶
そばがら は 今夜の枕のなかで
ひとがら を 朝のヒカリで描きこむ
うまれたての雛のあたまに
残された
一片の から
どこからと問うこともせず
....
今日も生息した
生きて息した
それだけ
役立たずで
怠け者で
どうにもならない私
でも確かに
生息してた
そのことで保たれる
平穏もある
生きて息する
と
生き ....
ぼんやりものを見て
不十分にしか読み取れない
だからそれでいいと
思ってはいけない
この手も 腕も あるのはなんのため
この足も 目も 動くのはどう使うため
知らないけれど
知ってい ....
焼き芋 焼き鳥 焼きうどん
焼いちゃう 焼いちゃう
焼き肉 焼きナス 焼きはまぐり
焼けてる 焼けてる
ヤキモチ 焼いて ふくれてる
かわいい人
焼き餅 焼けて ふ ....
心をひっくり返してみた
雑多なものたちが床に落ちた
ざらついた猫の舌
尖った黒曜石の破片
排水溝にこびりついた髪の毛
紫色に変色した米粒
証拠を隠滅してやろうと
慌てて足の裏で踏み潰した ....
見たこともない隣人が「アイツならやりかねない」と記者に答える
君のこと 尊重すればするほどに その背中だけを 見る時間増し
コーヒーが苦手な君に砂糖入り甘いカフェオレを出してく策略
なんとなく毎日飲みたくさせていく カフェインにすら嫉妬してい ....
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