手紙
理来

妖精サイズの封筒に
雨模様のぼたん
さぐり打つ鍵かけて
差し出そうとする腕をほどき忘れている

ちらちらと縫う
意識の合間、四辺形の薄明かり
落ちた視力にささる脈動星

猫を
弾いていました
ねこを
猫とそのけんぞくを弾いていました
火の群れを
わたし弾いていました
どうしても生存を伝えたくて
今でも奏でていました
強がりの声だけで、むかしから

いつまでか
こうしていても
また巡る、戻り道

親指のナイフで切り取ってください
くび刎ねられてもかまいません
ねこを
そうして葬ってください
月夜の向こうへかえしてください


自由詩 手紙 Copyright 理来 2012-01-20 22:17:12
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