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樹の緑から飛び立った鳥の黒い羽の音を
夕立のたびごとに絵日記に貼り付ける
それが毎日の日課になったころ
子供たちの影だけがきれいにアスファルトの上に焼き付けられている
....
海辺で
***
あなたは
丁寧に研がれた小刀をひとつだけ持って
後ろ髪をひと房ずつ殺ぎ落としてゆく
かさばるから そういう理由で置き去りにしたのは
一度だけではない だ ....
まよなか
くらやみの中から線路が延びている
金属のレールの上に耳を触れると
同じ路線の上を歩く子供の足音が遠くに聞こえる
もう帰らない
もう帰らない
稲穂が風にしなう
線路か ....
陸地がだんだんと溶けていってしまったので
今はもう 小学校の運動場ほどの大地
そして水平線
終わりに着いたんだね、と君は言う
....
地下道で出会ったあの子は
身体の周りに薄赤い魚を
泳がせていた
着ていたのは薄い綿のシャツで
ローリングストーンズの唇 臆面もなく舌を
突き出していた
タンゴのリズムで十まで数 ....
肩に
親指の長さほどの白い翼が生えた
痛みもないままに裂けた腕の付け根の皮膚から
いたいけな宿木のように真っ白な
細い翼が咲いた
ともだちのはなし
ビルの切れ目に見えた曇り空か ....
ときどき
夢を見る
宛先のない手紙が 今朝も玄関先で雨に濡れていた
拾い上げることなんてせずに
生温く灰色の空を見上げると
隣にいるプラスチツク製の幽霊が
不機 ....
海の音は巻貝の中に閉じ込められた夢の残滓である
それは耳の奥で息を潜める
息を
息を潜める渦巻いた器官のひそやかな記憶である
僕は肺魚の涙
細かな砂粒の上に身を横たえて
黒曜石のつやや ....
あの娘はきまって
自分の両手の親指にだけに指輪を嵌める
自分の両手の親指にだけに指輪を嵌めるのは
自分の両手の親指だけが
実は作り物だからだろうか?
蛋白質の桃色に
透けて張り付く角質 ....
地平線さえ見えないほどに
一面に広がる小麦畑の
只中に突き立った一本の潅木の下には人が揺れているのだそうだ
金色の穂が乱反射する
歪な真夏の陽光の中で
限りなく乾きながらしかし決して ....
恋人が去ったあとのベッドからはいつも決まって炭酸水の匂いがする
苛立ちが砂に変わるほどの長い時間の果てに届いた一通の絵葉書には
硬質で乾燥した陽光の真下で笑う彼女の影だけが黒く縁取られていた
何 ....
白い光の下で八月はゆっくりと腐っていく
粉々に飛び散った十四歳の欠片たち
世界など終わればよかったんです
世界など終わればよかったんです
恐る恐る触れた背骨の上に走る電流
鎖骨に ....
石瀬琳々さんのUtakataさんおすすめリスト
(12)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
真夏と重力
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Utakata
自由詩
5
08-7-17
Innocent/Adolescent
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Utakata
自由詩
5
08-4-28
まよなか
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Utakata
自由詩
4
08-2-11
終わりに着いたねと君は言った
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Utakata
自由詩
8
08-1-13
ピアソラ
-
Utakata
自由詩
5
07-6-9
La_muerte_del_Angel
-
Utakata
自由詩
2
07-4-5
La_cité_des_enfants_per ...
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Utakata
自由詩
7
07-1-27
沖に嘆いた
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Utakata
自由詩
3
06-12-1
あの娘が両手の親指にだけ指輪を嵌めるのは
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Utakata
自由詩
3
06-11-13
Espagne
-
Utakata
自由詩
5
06-11-6
L'eau_Gazeuse
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Utakata
自由詩
2
06-11-5
Août_pourri
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Utakata
自由詩
2
06-11-2
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