九月になれば
誰かが語る
わたしは頷いてみる
そこに誰かはいない
誰かが語る
語り尽くせないほどたくさんの物語を

空には大きなノートが広がっている
鳥はそこに詩を描く
誰かが語る
 ....
降りそそぐ雨に濡れた道の上
白々と曇る空を{ルビ仰向=あおむ}けでみつめる
一匹の{ルビ蝉=せみ}

七日間の命を一心に鳴き続けた
体はすでに白く{ルビ濁=にご}りはじめ
六本の細足は宙に ....
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす

生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい ....
桜は散った
悲しみの声も虚しく


桜は散った
嘆きの声も虚しく


悲しくても
嘆いても
空は紺碧のまま
蝉時雨は散った桜の心模様



  散りゆけば桜花の里に蝉時雨 ....
おれは、かすかだ。もうすぐ、なくなる。それでもいだきつづける、おと。か、すか、だ。あのねThis is POPなのPPPP底には何があるの。セミがあおむけマンションの廊下に落ちてたよ。夕日!だった。貴 .... 今朝から窓の外はずっと雨模様なんだ

雨の日の午後、きみは変にしんみりしてる

ぼんやりとあれこれ、いろいろ思いをめぐらしてる

雨は不思議だねってきみは言うんだ

そして 
 ....
  
  わたしの中に森が生まれたとき
  その枝は音もなく広げられた
  指先から胸へと続く水脈に
  細く流れてゆく愛と
  時おり流れを乱す悲しみ



  わたしを立ち止まら ....
テーブルから
持ち上げたグラスの跡の
丸い水溜りをかき乱した指が濡れた。
夏の熱が引いてゆく。



グレープフルーツジュース。
そのグラスを頬に当てれば
あ、この匂 ....
薄紫の和紙に 小さなお山のように盛られた氷砂糖を
壊さないように 天辺からそっと摘まんで
可愛らしい唇に つん と付けては
何となく冷たい感触を味わうのよ あの子は。


口溶けは 冷やか ....
(詩と作者)

私が詩とつながることはいい。
私が詩とつながらなくてもいい。
私=詩でも、私≠詩でも。
また、
作者=詩でも、作者≠詩でも。

ただ、詩の「作品」を、作者本人に結びつけ ....
地へ圧し掛かる空と
空へ高揚する無数の緑の視線との間
夏の声帯が震え、静かに感情を燃やしている
若い耳で、耳鳴りが日常になってゆく
若い目が、陽炎に依存してゆく
信じられるものを ....
ふってくる 蝉の声に閉じ込められ
みどり色にとけていく
こんもりとした緑の隙間から
容赦ない光が照りつける
白と黒のかげの中 一陣の風
あおと蒼のあいだに 
ぽっかりと浮かぶ しろ
ひと ....
つま先をそろえて
腰の位置を安定させて
白い天井を見上げ
白い光に
遠近を失う。

救いがあるとすれば
かすかにある染みが。
何故、天井に
染みができるのだろう。
とても届かないよ ....
  あなたが海を歌うとき
  わたしの瞳は波になる
  愛していたと
  告げる言葉が悲しくて
  静かに揺れる波になる


  あなたが空を歌うとき
  わたしの胸は波になる ....
恋を知り少女がひとり懐かしむ灰をかぶった安寧の日々


階段の踊り場の恋は吊り橋の上の恋よりまことしやかに


12時で魔法は解けて ここからは本気であなたを落としにかかる


ラン ....
モラルを守るの、ラルモ
それは大切なこと大切なことよ
生きて再び歩いたりしてはだめ
火遊びもまた
街がひとつ陥落しているわ
ジス・イズ・ア・ペン
それは荒井注のギャグよ
スペ ....
鋼線伝いの道
丘へと
君をつれ
君は犬をつれ

ふと目をはなす
その隙に
君は増え
君のつれた犬は増え

群れる
群れてゆく
君君
君君の犬犬

が、を
が、を
 ....
帰ってくるよ
夏が帰ってくるよ
この火で埋められた季節に
死者たちが帰ってくるよ



ただ白いだけの変な鳥がいます。暑い夏の日差しを受けて、きらきらとその翼が輝いています。飛んでいる ....
届けられたのは
便箋にして二枚の
こころの欠片でありました




丁寧な挨拶の他には
少しの友情のような気配



けれど



こころ火照らせるには充分な
あなた ....
いのちあるものを

司る月の満ち欠け


この8の月は

月が二度満ちる


その不可思議に

神聖な月は

青い月と聞く



頑なな心の闇夜も照らし出す ....
ヒュー シュッパーン パッ パッ パッ パッ パン

          たま〜や

夏の宵闇を貫く大輪の華

ラムネの瓶に沈んでいく

        タップ タップ タップ タップ ....
知らない

暑くもない

ちょっとだけ寒かったりする


初めまして
わたしは

あれ
誰でしたっけ?

夏の果てに棲むという

或いは大きな口をひらけて
あれは ....
うらやましそうに見ていたら
「じゃあ、少し上げる」
その人は言って
端っこのほうを千切って
ちょっとだけくれた
辺りを見回すと
端っこのほうをもらって
喜んでいる人もいる
わたしは端っ ....
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めに ....
ひらいた おやまの
むこうの おそらに

ちいさく てをふる
おにのこ つちのこ

とんとん とんのに
とうせん はなおに

とんから とんから
とうそう はなおに

ひらいた ....
一日終わる 堕天使達の

かくも短き 一夜の宴

折れた翼を 探しつつ

心の氷 溶けざらん

旨き肴と 旨き水

膳に集いし 一時や

心に羽根が 生まれる如く

話し弾 ....
窓のむこうに
降るのは
あかるい雨
夏の日差し
真っ白な雪

網膜の向こうで
立ちつくし暗転する
背中の音

いつも風景に
変移を求めていた。
わたしが変わっていく事になど
 ....
受信箱に届いた一通のメール

知らない送信者
おそらくフランス語のSubject(タイトル)
本文は
三年間でやっと入手した第二外国語の単位と
長いブランクのある読解力では
解読するには ....
苦しげな雷鳴に飲み込まれ
灰色に溶けてゆく午後の中
向日葵の黄色の彩度が
浮いてしまっていて
それでも、向日葵は
いつまでたっても泣いたりせず
ああ、どうしてなの
滲んで ....
熱く
青く
南から押し寄せる
夏の、ソ、ラ、シ、の
反復の幾つかは
肌を灼熱させたり
唾液と共に高笑いに混じったり
アイスクリームをベトベト光らせたり、そうして
幾 ....
こしごえさんのおすすめリスト(4694)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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