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悲しみはハープの弦に似ているね
強く弾いた分だけ切ない音がするんだ
眠ることだけ望む夜は
フレンチポップスの明るいやつじゃなくて
溜め息の掠れと憂鬱に塗れた大人な曲を流しておこうよ
気怠さ ....
削がれてゆく草の根
プランターの土
余すことなく張り巡らされた
夏草の根はまるで
灰褐色の空を駆け落ちる雷雨
蔓枯れて
実の膨らみは停滞し
宿命を終えた姿見は
生きながら生命線を断 ....
浴槽に
すだちを浮かべ
涙を肩位置に溜めて
点火
点灯せず
湯冷め浴
果汁の混濁
吐息の白靄
曇りゆく記憶
湯上り
底へ伸ばす腕
栓を引いたなら
渦描いて消えゆく
悲 ....
妖精が見えるという
塗り薬を瞼に塗って
赤から黒に濁りゆく
暮れの森へ出かけた
不可視
青年の瞳が捉えたのは
影絵の集合
寂しい墨色の森
ざわざわざわ
木の間を流れる風が
....
街路樹の緑葉
千切ってばら撒き
踏み歩く
秋の予行練習
さくさく しない
アサガオ望む縁側
置き忘れたカキ氷
蒸発してしまい
さくさく しない
鳴き疲れたアブラゼミ
ヒグラ ....
透明な障壁に守られた
箱庭の世界で
自由は素晴らしいと君は言う
なんて悲しいんだ
僕等の享受するエントロピーは
全部借り物なのに
感覚は両親から譲られた血肉
思惟は神様の従僕の言 ....