わたしの部屋にいた蝶々が
飛べない蝶々が
ある日、自分でドアを開けて出て行った

かわりにあなたが入ってきて
二人で話をした
楽しい話をたくさんした

けれどそれはきっと夢で
 ....
 いつになく長風呂し

 秋刀魚の蒲焼

 突っつく晩めし

 身の冷えぬ間に寝間へ入ろう

 熱燗一杯キュッと飲み干す一人者

私の滴が落ちる
テーブルの上
水たまり
ほら、私がいる


私の
私の滴が落ちる
テーブルから床へ
水たまり
ほら、私がいる


揺れすぎて歪んで
まるで涙みたい
 ....
一人もの思う夜
静寂(しじま)の囁くメッセージ

──すかぼろーふぇあを聴くがいい

曲のイメージとは裏腹に
日々の場面の転調は
暗闇に光の射すような
小さな変化の兆しらしい

そ ....
日々働いていた頃は
退勤のタイムカードを、押したくて
嘆いていた
「早く日がくれないかなぁ・・」

時は流れーー退職後
障がいのある息子につきっきりの夏休みは
つい愚痴ってしまう
「早 ....
もうあとは寝るだけ、という段になって
三日月を見つけた
三日月もわたしを見つけた
他者のさみしさに触れると
自分もさみしいということに気づき
それはことばにしてみたら
手にありあまるくらい ....
そのむかし平和の庭に咲く無名花を摘んで弔う兵士ひとり

 
草の匂いが
立ちこめた
朝の風景に
子の姿はなく

悩みもなく
ねむの木に
日々の水をやり

和平の燈篭は
無名花 ....
テーブルの上に眼鏡がある
隣に空き地がある
あの頃は雲がすべてだった
そして二人の黒板は溶けて消えた
 
 
+
 
 
シャワーは壊れた
兄は一人で展開図を描いている
 ....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い

めぐりめ ....
昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
 
毎日を毎週を毎月を毎年をつつがなく暮らしてきた私たち日本の人
きっと全宇宙の知的生命体のほとんど全て私たちのことを知らない

とても幸せな朝

まだ真っ暗な四時の宇宙を切り裂いて自転車 ....
無限 道の終わりに
人の光 
言の葉、
ふるふる
ふるえふる


スッテンコロリンわらっちゃうな
愛娘の眩しい笑顔 瞳の奥の光
ふっと浮かび観る瞬間、
心に魂に刻み込み
スッテン ....
まひる日にやすらに睡る長ゐ髪

ひとり起きてやすらに睡るきみの髪なで

口無しぞ海を眺めて海にとられむ

磯に火を焚け濡れしきるわれときみのため

天にも陸(くが)にも来ずふるへる海明 ....
部屋に椅子がある
隣に体育座りをした母がある
雲が青さを通り越して
手をとり椅子に導く、空は久しぶりね


玄関に並んだ靴
妻は夕食を作り、息子はトミカに夢中
1のつぎの靴 ....
 夜も深き高層の谷間

 鈍く 唸りあげて吹くものは

 誰が為に在るのか、

 目覚めると不意に

 もの哀しさ 我包む冬
海をみてひとりと思うわが性は

哀しみとして海にほほえみつつ泣く

海の面にうつりこむかみなし児のわれ

わが性は孤独でありしまた海へいく

松林を海へ突っ切るひとり

カモメはや ....
不器用に生きている君の笑顔が好きでたま
らない僕は、なおのこと不器用なんだろう。
そんな日々で幸せを数えてゆきたい。
 
 
 
さあおいで
僕はいつでも心のこのへんのとこ
開けて ....
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く

轟きでもあり
静寂でもあり

満ちあふれ
けれど虚ろで

鋭く
けれどやわらかく

かぎりなく甘 ....
海哀しこの身たよりに恋をおもう

あめつちもなしこの身がたより

海、山哀しここにぐっとこらえる

恋のひとみの焦点のうるむ、山

風わたるくさはらのくさが避けて

はつなつの青空 ....
鮮やかな意識の朝に 秋アキ高々と 空一色に青 鳴り響き  落葉の 紅葉一枚 二枚三枚 探している秋
 
 白樺の 葉の数だけが なんとなく いつか見上げた 秋の暮れと思う

 何も考えず ただ水槽の 魚を見 あさにひるに かんがえないとき

 ....
 
 薄ら陽を

 追いつつ鉢を離れ得ず

 小さき金魚の褪せし思いして

 胸の底 暗く重く

 ちろちろ火の燃え続ける
薄紅葉家の庭にもあったっけな

惚けてはうつつに帰る秋の昼

母の味欠けていたのは椎茸や

そぞろ寒戸外に出るも少し震え

果てしない夜中にまんじりともせず目覚め

秋の朝見上げる ....
雨を
置き忘れた
夕べ、

裏庭に回り

ぬらり
滑る
陽の光、

黄金に渦巻き
風が吹き、

 私を笑う

時に
取り残された
夕べ、

刻み込まれる
宇宙の ....
雁の使はるか果てまで独り言ちて

蓑虫のなつかしさかな手を伸べて

愛らしや鶏頭の声千の風

渡り鳥今はまだ季節に遠く

悲しみの扉を開けて秋静か

玩具箱固い扉に秋深く
 窓を 開けると

 取り残された柿の実が赤かった

 よく解った 空の高さ
 
 窓を閉めた私は

 夕飯のお味噌汁の大根きざむ
2枚のスライドガラスに挟まれた薄っぺらな紙は
時間軸ごしにみてみると電話帳より厚いのだろう

 
あなたは未来のあるべき姿で
今はわからず
無為に動いているようだけど

どのパ ....
意識の無色透明に
打ち寄せる光の波
次々と次第に激し
残響の打ち重なり
立ち上がる無色透明、


しずかさに
うちひろがる
ひかりのざわめき
とおくちかくあわだち
色付きながら次 ....
 お前と私の くされ縁
 ペンとノートで膝つき合わせて
 何の進歩がなくたって
 へっちゃら

 お前の いじの悪さを思う
 私の頑固さを お前は笑い
 諦めてしまえば
 お空 ....
 ストリートサックスに聴き惚れて

 いつになく

 今夜は涙もろくなっちゃった

 帰ったら よっぱらって

 ねむっちゃおう
こしごえさんのおすすめリスト(4191)
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