すべてのおすすめ
   人でなし

森が忙しく葉を揺らす
カッコウが巣の上で木々を見渡していた
小石のような小鳥の卵を
一つ二つと落としていくのだ


真ん中に一回り大きな卵を産むと
愛しむこともなく ....
  暑くもなく 寒くもない
  昼と夕の変わり目に見る太陽は
  ぼうやり として
  霞み懸かった空の川を
  漂うように 浮かんでおりました



このように 繊細な秋の日には ....
 春子はミントの葉を散らし
 踏みしめている 半睡眠で

如月 彼女の足の裏は
いつも薄緑に染まり
徐々に褪せていく
まるで季節を旅しているようだと
裸足のかかとをくぅと縮め
まど ....
  「修行」

午後には温かくなる体
ベビーピンク の爪の肌
血が通いましたよ 私


今日も祈るように手を合わせ
指先に軽く接吻する
上瞼は慈悲深く閉じられて
朝靄の消え行く間に ....
あなたの花開くようなお口へ
鈴の音の鳴る金のスプーンに
一さじの杏ジャムを載せて
含ませたいの 
とても穏やかな様子で
わたくしの はやる気持ちを隠して


柔らかな顎に そ と手 ....
あなたが優しく息を吸い
ふい と息の根を止めた時
私は とても幸福でした


流れる雲は川面に映り
青い空を魚は流れる
錯覚しておいで
この手の平の陽に
飛ぶ魚よ 飛ぶ鳥のように
 ....
男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの


情熱はジリジリと 
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
 だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を ....
   水見える能力

ある晴れた日の空の下
干したばかりの洗濯物の
内包された水溜りを
始めて見たのは 何時の事やら


いくつもの柔らかな固まりは
それから数時間かけて
風に ....
「お土産は、何がいい?」と
聞かれたものですから
私、何とはなしに
「らっきょう」と答えたの


お父様とお母様が夕食後に奏でる
小気味良い音が好きなのです
ぽり ぽり ぽりり
 ....
  (本日の天気・九官鳥曇り)

天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま ....
  切り絵(題材)
   「少女」



ただ真っ白い紙でした 私たち

切り絵師は 無を有にする
柄に美しい細工を施した
銀色の先端鋭いハサミで
すんなりと手足の伸びた
可 ....
理科教室のカーテンの陰
ビーカーに入れられた
子供の悪戯とクロッカスの球根
こっそりと 育つ日々



昼の太陽 夜の月
揺れる隙間から漏れる
光りの栄養を貪りながら
薄情な薄明か ....
 
 降り始めた雪に濡れながら
 翔る若葉よ
 じゃれて 絡まり
 互いに触れた体の温もりを
 互いの手の平に感じただろう
 彼等は 彼等は

 何処へ行ったのだろう



  ....
静電気が怖い、怖い、私の手の平の保湿から
握られた硬貨がするり と逃走しては
自販機の隙間へ乾燥を求めて サヨナラします。


コイン投入口は私の指先から消え去った
お金の代わりに水分 ....
   入眠


夜を行く 夜行列車の端から端まで
眠れないという あなたの背中を
私の恋を知る 二年の黒髪で覆い尽くす


やがて 足が滑らかに滑り落ち
月の無い夜を 黒豹と翔け行く ....
薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた



「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
 ....
草むらを分け入ると
シジミチョウの群れが一斉に飛び出した
散りじりに空へ舞い上がる
小さな薄紫の花びらよ
先を行く 私の体にまとわり付いて
軽くなる体 ここは、春の国?
頬に触れる一匹の  ....
「夕日が落ちる前に、帰ってきなさい。」と母が言う
 私は、海が見たかった。
 秋の夕暮れる速度と思い出と川沿いを歩き
 橋の向こうまで。


スタートは、浅い川底の尾ひれで跳ね上げる小 ....
至近距離で選ぶ 想像の快楽とロマンチシズム
目線のやり場を 一体どこに持って行けばいいのかと
目視の限界点で 目をしばたたかせる男と女
何をそんなに見つめていたのかは、人それぞれである
まった ....
入眠の際が瞼の奥で細い光を放っている
生と死の曖昧な絆という楔を
今は、強引に断ち切って 眠りの森へ
木漏れ日を抜けて下方へ沈みたい



怖さに尻込みした夜の
怖さに涙した夜の
夢 ....
薄紫の和紙に 小さなお山のように盛られた氷砂糖を
壊さないように 天辺からそっと摘まんで
可愛らしい唇に つん と付けては
何となく冷たい感触を味わうのよ あの子は。


口溶けは 冷やか ....
まず、最初に言っておくけどね。
冷凍室から取り出したばかりのアイスキャンディーを
すぐに舐めてはいけないよ ホワイト

表面を白く覆う 霜という物が消えてから
静かに舌で突っついてさ 甘 ....
この世界には もう
ひとつも乾いた場所など無い と
そんな風に思うほど
360度 水浸しの溢れ出る水槽です。



窓を開けると 外は白い縦線で埋まる巨大な水鏡で
映った私の全身から  ....
毛むくじゃらの家猫が出かけて行ったきり
帰って来ないものだから
庭の木で啼くスズメの声が
遠慮なく鳴る目覚まし時計で
最近は、誰よりも早く窓を開けて
新しい風を味わう

あめ色の古机の上 ....
色画用紙に一日の花を描くよに



夏服の少女の贅沢なアトリエは
少し柔らかなメイプルの
敷き詰められた木床の上で
重なるパウダービーズのクッションが
転がる足先まで受け止めた ....
 今日はやたらとカラスが鳴くね

 梅雨の晴れ間の風の強い日

 まるで、おとむらいの鐘の音のよう

 黒い飛行船が青い空に消えていくよ

 風景を切り取って

 荘厳な葬送

 ....
深呼吸の意味を教えて下さい
と、遥か空に問うのです。



朝鳥が木々を揺らして
飛び立つ足元から 追いかけてくる
化学物質を溶かし空 空間を
切り裂き 切り裂き飛んで行く


 ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて 
帰ってこない のに


201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
    田中君は今日も元気




弧を描くよな風が 短い場所でおおらかに吹いていた
湿度の低い 午後3時



フレアスカート プリーツスカート ふくらんだりして
白桃や北 ....
揺れる陽炎に 渇水し干からびたミミズの死体は
祈るように折れて アスファルトの道なりに続いている

あと数メートル先に 花咲き誇る 土の庭があるというのに
透き通る炎の中で 養分さえ焼き尽くさ ....
こしごえさんの千月 話子さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ふさわしい言葉- 千月 話 ...自由詩8*09-6-22
秋の金魚と揺れる水- 千月 話 ...自由詩10*07-11-17
桃緑- 千月 話 ...自由詩18*07-2-15
気功師になれるかもしれない- 千月 話 ...自由詩13*07-1-13
ナイチンゲール- 千月 話 ...自由詩18*06-12-7
幸福な九月- 千月 話 ...自由詩18*06-9-17
戯れ- 千月 話 ...自由詩22*06-6-22
水を含む世界にて- 千月 話 ...自由詩10*06-4-30
薔薇と_らっきょう- 千月 話 ...自由詩24*06-4-12
あぁいを_叫ぶ!- 千月 話 ...自由詩12*06-2-21
少女は感情移入する- 千月 話 ...自由詩14*06-2-13
花監禁- 千月 話 ...自由詩14+*06-1-14
若葉の行方- 千月 話 ...自由詩13*05-12-24
ホットドリンクを買いにゆく。- 千月 話 ...自由詩9*05-11-19
フランケンシュタインの夜- 千月 話 ...自由詩17*05-11-1
自然治癒- 千月 話 ...自由詩25*05-10-19
蝶々連鎖- 千月 話 ...自由詩6*05-9-27
指が落ちるように- 千月 話 ...自由詩12*05-9-16
エロとロマンと、いつかワルツを- 千月 話 ...自由詩8*05-9-7
幽閉の森- 千月 話 ...自由詩12*05-8-19
あの子の_お口- 千月 話 ...自由詩15*05-8-12
ホワイト&ホワイト&ホワイト- 千月 話 ...自由詩13*05-7-22
2005・7_雨の終わりの日記- 千月 話 ...自由詩17*05-7-7
_臭う家- 千月 話 ...自由詩18*05-6-25
花模様スケッチ- 千月 話 ...自由詩9*05-6-19
回航- 千月 話 ...自由詩8*05-6-15
ブルー・ハーツ- 千月 話 ...自由詩11*05-6-8
メゾン_『ノワール』- 千月 話 ...自由詩34*05-5-30
1/f_のゆらぎ_(2)- 千月 話 ...自由詩7*05-5-22
8月の遺伝子- 千月 話 ...自由詩5*04-8-6

Home 次へ
1 2 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する