生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月
死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由
黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
くらくらしている。クラシカ、遠い世界にいます。海。空に海があるよ。落ちてこない、あれ、今気付いた。なんで落ちてこないんだろう、あの海。空が青いです。ふしぎ。白いさかなが、いっぱい浮いてる。あれは死んで ....
枯れ草しかない目の前は
寂しさを感じるけれど
ここから春が訪れると思えば
渇ききった枝と自分の心にも
潤いが与えられる
土がむき出しのままの畑も
侘しさを感じるけれど
ここから生が誕 ....
わたし、総理大臣のあくびについて観想を述べたいの。あくびの尖端はからっからに観想してますね。あくびはフルマラソンを観想できそうですね。あくびにはどんな観想曲が似合うかしら。
わたし、川に記録され ....
雨の糸の隙間に
夜は満ちて
ストーブの熱が
そこだけ幸福とでも言いたげに
ほんのり春を創っている
きみと並んで傘をたためば
二人の水滴は
余分な約束事のように散らばって
冷えた ....
冬めきてラディゲ読む夜の重さかな
幻滅と悔い残してや恋の冬
この星に我ひとりなり冬の雨
黙々と落ち葉掻きやる白痴かな
吸ひ殻と誇り捨てたり枯れむぐら
老媼の叫び響くや空ッ ....
その昔
まだ名前も与えられなかった頃
僕に
綺麗なモノの綺麗さは届かなかった
1
深い山の奥底で
熊の子供が眠っていた時
その兄は僕が殺したのだった
子供の寝顔に銃声は似合 ....
細い糸のような雨が上がった
日が変ると同時に止んだ
慌しく過ぎて行く日々に
ひび割れていく心
解こうとすればするほど
拗れていく魂
腐るほど希望の詩を書いたけど
....
甦るのは思い出だけです
断片という名の時の死体です
「昨日は、昨日は、昨日は」と繰り返す事がARTだと囁く幽霊が日常です。
あなた今22歳で ボクは25歳
驚きの年代はもう過ぎた話です ....
机に置かれた一枚の写真
若い母が嬉しそうに
「 たかいたかい 」と
幼い彼を抱き上げている
年老いた母は安らかな寝顔のままに
「 たかいところ 」へ昇ったので
彼はひとりぼっちに ....
歩き続けることに疲れた旅人
巨木の木陰に腰を下ろす
見上げた冬空の青に
突き刺さろうと伸びる枝々
北風の唄に散る
枯葉の舞
その{ルビ一片=ひとひら}は
旅人が ....
銀色の穂波は
斜陽に映える芒の原
光と戯れ
丘の向こう側まで
続いている
風は止むことを知らない
運ばれる匂いは
ひとつの季節の終止符
あるいは序曲として
わたしに交わるけれど
....
風と土の中で
人は人になり
人と人になってゆく
それは幾千年も繰り返し
人が変わることがあろうとも
風は常に人を押し
土は常に人を支える
光と水の中で
人は人を学び
人と人が ....
1
寒さが沸騰する河岸に、沿って、あなたの病棟は佇む。
粉々に砕けた硝子で、鏤めている実像が、
剃刀のような冷たい乳房のうえに置かれる、
吊るされた楽園。
顔のない太陽は ....
糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声
まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る
高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
ま ....
糸島の{ルビ芥屋=けや}の浜辺の浜砂鉄君が素足の白き色映ゆ
心をうばわれた
覚悟を感じた
貴女を胸に刻む
お隣の洗濯物も
そのお隣の洗濯物も
そのまたお隣の洗濯物も
ふんわり今日は乾くだろうと
あったかい陽射しに
目を細めずにはいられない
冬だというのに
春の匂いがするのは
あなたの
洗 ....
俺は一人だった
親兄弟は俺を見捨て
友達は卑屈になった俺を疎い
甲斐性もない俺に付いてくる女はいなかった
一人繁華街をうろつき
ぽん引き相手にケンカをしかけ
街を横切る河 ....
手と、手が
触れて
砂埃でかすれ切ったあらゆる地面が
夕刻へ
厳しげに交錯するあらゆる細枝が
夕刻へ
落書きごと枯れているベンチのあらゆる褐色が
夕刻へ
夕刻へ、と
....
青い硝子
浮かぶ絶望
夏の
向日葵
白い
白い光
僕が仰ぐ
黄色い花弁
風 揺れて
遠い記憶
鳥の
白い
骨
千切れた
白い
雲
....
氷に閉ざされてしまったような
雪にすべてを覆われたような
透明を重ねた白い恋
だれも知らない
あなたも知らない
カタチにならないこの恋 ....
ひややかな雨ふる浜の静かなりとはいえ波のひとつ打ちける
なぁ
青春とは短く儚いものだったな
桜の色なんて
ああ
暑いな。ここは少し
木々の葉がさやぐような声が
ざわめかしい、朱夏
風の声なんて
ああだけど
底無しに ....
風に舞いあがる落ち葉
その向う先
俺の心の深いところには
一人で向う旅路の果てが
虚ろげに映る
忘れることなどないけれど
多くの過ちは風化して
貨物列車で運ばれていっ ....
夜寝る前に読書していると
開いた本のなかから
うっすらと光を帯びた手があらわれ
わたしに差し出されていた
その手を握ると
不思議な想いが心に流れ
明日に怯えるわたしの影は ....
誰も通らない道端の
枯れ葉が揺れるその場所は
風が自由に向きを変え
空へと戻る交差点
風と風とが巡り会い
互いの全てを確かめて
冷たい空気に温もり添えて
どこからともなく寒いねと ....
僕の黒いノートの表紙に
ときどき
窓が出来ていることがある
その向こうで
君のかなしみが
淡い落下をいつまでもつづけている
(背景はいつも夏の
{ルビ誰彼時=たそがれどき}か
{ル ....
むねのおおきい女がすきだという彼
ちいさいちいさいむねの彼女
「どっちがすき? ?ひんにゅーのあたし ?グラマラスなあたし」
「2ばーん」
なんてやりとりで
彼女はすねて ....
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