ブナ林を歩いていた
二人で
おれは少し茸や山菜をさがしながら
おまえはきれいな花や苔に触れながら
ブナ林を歩いていた
木漏れ日が、いいな。
そうおれが言うと
おまえは、そこここ ....
中央病院の受付は今日も患者で溢れていた
松葉杖をつく若者 車椅子の老婆 妊婦 マスクをした中年・・・
街にはスーツを着て歩く人
キャンパスの木陰でひとり{ルビ俯=うつむ}いて立つ学生 ....
{引用=以前、現代詩フォーラムに投稿していたものの中から、自分が残したいものやお気に入りの作品を載せていきたいとおもいます。今回は、俊読で朗読した三作品。}
ある夕暮れ
{引用=
ある意 ....
包まれてたキャラメルが
ほそりと ついた雨に溶け
羽をぬらさず 輪を作る
水溜りの 空しか知らない
日暮に
欠けていく暖かな日溜りでも
分け入る 胸に くきりとついたなら
....
柔らかで重い
透明感の海の内臓にて
夏に恵まれたくらげが
水に還ってゆきます、あらゆるくらげが
水に還ってゆきます
(出会えた。だから、
(ええ、だから、お別れしなくて ....
かつて見送られるもののために
窓はあった
そしていま窓は
残されたもののためにある
窓を開け放ち
潮の匂いのする風を迎え入れる
誰かが忘れていった
化石の海が
ひとつ置かれている
....
自分と向かいあいすぎて
時折その界面をとおりぬけて
向こう側の自分と
いれかわってしまうのだ
ぼくは詩を書きたい
その人の未来は
その人の運や才能ではなく
その人の意志で決めるものである
今日もまた
朝の散歩をしていると
意志に出会いました
それはどこからともなく ....
人に見えないものが見えたり
聞こえない音を感じたり
テレパス
そんなものに
憧れていたあの日
そんなものは
なかったけれど
好き
ただそれだけが
私に残る
超能力だ
....
終りのない雨が降り続く若い群島の
決して更新されない、
カレンダーに刻まれた記念日が忘れられる夜、
過去を映さない鏡のなかの燃え立つ暗闇を、
瞑目する叙事が、鈍い輝きを浮き立たせている。
....
二人ならそう思えるのなんとなく深いところで泣きたくなって
永遠は、
繋ぐ
途切れる?
はじめから
....
ぼくは詩を書きたい
変化は気づくか
気づかないかであり
常に必ず何か変化している
今日もまた
朝の散歩をしていると
薄雲に出会いました
空の中を
ゆっくりと通り過ぎてい ....
冷、冷、冷、冷、
霊、零、霊、
lay, lay, lay, lay,
霊、零 ....
悲しみはハープの弦に似ているね
強く弾いた分だけ切ない音がするんだ
眠ることだけ望む夜は
フレンチポップスの明るいやつじゃなくて
溜め息の掠れと憂鬱に塗れた大人な曲を流しておこうよ
気怠さ ....
とうとう動かなくなってしまった
トパーズ色した わたしの鍵
普段持ち歩いているバッグの中で
かさこそ這いまわりながら
わたしの吐き出す
あのひとへの恨みとか辛みとか
どうしようもない思いを ....
夏のよい さめぬうちから 下駄を引き
君を迎へに からりんころり
京くだり
丸竹夷に押し御池
こころもとなきは ただ君のため
数へゆく
姉さん六角蛸錦
絞りの帯は 花一文字
....
水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は
その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に
....
ふたしかな季節を
灰の午後のかけらを
染まるようで染まらずにとおりぬけ
雲を燃す火はぽつぽつと
河口の浪を照らし出す
割れた岸を砂は流れ
夜の虫の光のように
浪の下へと沈 ....
降り続く5月の雨のにおいに
そのアパートの住人は気付かないふりをしている
僕は僕であって欲しかった
少なくとも鏡の前では或いは
君や君以外の誰かの瞳に投影される僕の影ですら
既に僕ではな ....
きょうは
やけに電話が鳴り
訪問者が多かった
以前に
外構の見積もりをお願いした人が尋ねてきたとき
早く工事をお願いしたいのだけど
いろいろと
入用があって
それに
今度親がいっ ....
矢車草が咲いた
どこに行くのか
よく判らない
この道の辺に咲いた
青い小さな草は
私の歩みにしたがって
くるくると
風を孕んで
ゆらゆらとゆれる
お前の白い太腿は
この
....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
生きながら魂となり
死してなお人を愛する
その心は
千年の時を超えて
今も誰かの命に宿る
今宵も
妖しく燃え立つは
情念の炎の
ふたつ みっつ
今夜 私には
逢いにゆく人がいない
孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と
ビニール傘に滴る雨垂れの
二重奏に身を浸しながら
果て無い雨の夜道を{ルビ彷徨=さまよ}う ....
いのちって儚くて 消えてゆく音色に似てるね
このんで選んだその音を いくつもの 指先は奏でていった
記憶だけ残されて
いくつかの歳月の 重なりあった思い出は
通り過ぎて ゆく
あわい ....
悪夢に襲われ呆然といる僕
外ははなまるの晴天
しめった心を日向干しようと
公園まで足を引きずりながら
出かけた
サラサラ髪の坊やは
季節に波乗りサーフィン
....
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静か ....
泥水のような灰色の空が、
切り立つ垂直の地平を蔽い、点から線へ変貌する驟雨は、
藍色の抽象画の顔を育てている。
列車の窓に映る凡庸な景色は、引き摺るように、
後ろ向きに、失われた過去を走ってゆ ....
この 思いの
行き着く先は 蒼く
仄かに
月は揺れる湖上の 夜に
揺れる わたしは遠く
あなたを遠く
遠く
思いに 揺れる
月
丸みを帯びた光は
瞼を下ろすたび
その裏に
微かな影を描く
碧さを含んだ風が
誘いかけても
膝を抱えたままの両腕を
微動だにしないで
閉じたままでは
何も見えない
....
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