太陽のしずく
果てしない海
{引用=
港では妻が夫の帰りを待ちわびていた。
妻は夫のために編んでいる、縄模様の
セータ ....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
....
この日頃
心に映ったいくつかの言葉たちが
モビールになって
中空に
揺れる
長椅子あたりに
たたずむのは
けれどもう溶けて消えかかっている
誰かの
不在の
かたち
陽射し ....
花色を
包むような霧雨の
白く
ここはまだ、冬の肺か
冷たい呼吸の薄い圧で
梅が散り
色は
夢でしたか
混迷を招く為の五感なら
あ、
あ、
快く陥り
....
温もりが恋しい夜は君の名を3回呼ぶと魔法がかかる
ゆびさきで思い出すのはやわらかい春の午後とか君のくちびる
ストロベリーみたいな憂鬱(隠してる)心そっと触れて欲しくて
目を閉じて夢の ....
行方知れず
見つめながら
同じ目になる
夕映えを聴く
鼓動とくちびる
覆うにおいに
まぶた白く
片方ふせる
午後の火が鳴る
遠くをわたる
雲のかたち ....
あなたは曲線で出来ていて
髪の毛
しなる腕も
無駄のないポオズ
その
なだらかな曲線を
ていねいに
なぞって
あなたの
曲線とは裏腹に
こころには
ちいさなささくれが
いっ ....
海は
暮れながら
静かに凪いで
潮風は
夕日を寝かしつけて
あんず色に染まった薄い雲は
迷子の子猫の形に似ていた
風に流されて
おかあさんを探していた
みい
みい
....
朝が来るごとに
あなたが私を忘れていく
遠い誰かの名前を呼びながら
階段を上っていくその背中は
その先へ、飛び出していくように見えて
私はそっと指先を噛む
目の奥を覗き込みながら
通 ....
幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り
思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
{ルビ夕餉=ゆうげ}の前の過ごし方
秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
....
あなた、むかし、ひとがいました
ひとは足で歩いてました
あなた、でもそれは、あなたではない
足の、裏の、歩くの、速さの、
それらすべては、あなたではない
あなたはまだひとではないから ....
雨は雨から何も得ず
雨をふたたびくりかえす
歩みは歩みから何も得ず
雨をひとり歩みゆく
あたたかさ冷たさをくりかえす
愚かさを 愚かさをくりかえす
雨のなかを追いか ....
─ほどに。
それほどに、それほどに
行方は逃げていきますか
黒縁の窓枠と
フクロウ
僕の机にあるものは
一日のからくりと
枯れ草と
青いビー玉の金魚鉢
いつでもとても綺麗 ....
わたしの視点は常に動いている
つまりは漂泊している
定点にとどまることなく
四次元に動きまわっている
時間も場所も人も変わりゆく
きみはその雲の行く先を知れない
わたしは明日きみの見る雲を知れない ....
おふろばのタイルに 線を
ななめに引く
わたしの、ナチュラルは
メイク落としの途中
まだ、水でながしていないとき
のぞきこむので
ゆぶねの、
なにもないさみしいところに
映りこ ....
「いつか見た 景色のよう」と うそをつく
桜の前には 恋の墓標を
願わくば 桜の下にて 恋、捨てる
カケラも残すな 春の嵐に
祖母の眼に 桜 ....
今ぼくの猫が
顔を洗っています
今日は雨が降るのでしょうか?
ぼくの飼っている猫の名前は
虎吉となにかありがちな名前でした
でも凄く可愛いです
人間から見れば
....
せめて空の夢を見せて
私と貴方が離れ離れになったとしても
この青い空の下で
私達は繋がっていると
そう、信じさせて
シーラカンスてことばが
とつぜんうかんできて
ああ、だからなんだ、と
まいにち せなかだけをみつめつづけてしまうあのこに
ふれあうことをしないのは
わたしが 化石のまま生き続けているからです ....
涙が涸れる
くるしくなるくらいに
酔いつぶれて 明日を
忘れるほど 眠り続けた
胸がちぎれてしまいそうで ただ
川辺の桜を 見つめている
通り過ぎてゆくばかりの
意思とは 裏腹の
別離 ....
男は速度を
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたと ....
はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた
お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩 ....
プラットホームの青いベンチの背もたれには
落書きをこすり消したような跡があります
飴玉を失くした包み紙には
ミルクという文字があります
先頭車両の風に振り返るも、風ばかり
最 ....
仏さまが
座っておられるのかと思っていましたら
なんともかわいらしい顔をした
花の精でした
白いTシャツの下には
ブラジャーしてない
そんなもん一年くらいしてない
めんどくさいから
ってのが理由じゃないけど
ほんとは
I'm here
I'm here
これ昨日読んだ ....
いってらっしゃい、と
みおくる
いとしいひと
あなたをおもう
そうして
かさをほします
さんがつのゆきは
ひがゆるむまでに
きえてしまう
あかし を おる
しろい ....
花はそのままで美しい
草木もそのままで美しい
根も葉も茎も枝も美しい
葉が還る土も美しい
あれらは光の受け手である
ケイソウはそのままで美しい
渦鞭毛藻類もそのままで美しい ....
書けなかった詩の断片が
ちぎれた草になって
風に舞っている
いのちは永すぎる未完
死してなお
始まりにさえたどりつけない 未完
私の夜はいつもと同じ旋律を
内側の街路にまきち ....
[hi−fi]
咳をしたあと
ひゅう、ひぅ と、
咽喉が鳴るんだと思った
きみは 背を震わせていたんだ
いつもそうやって
シーツのなかでつま先だけが冷えるから
それから眠 ....
水に溺れて
魚は魚でいられる
空に溺れて
鳥は鳥でいられる
土に 木に
溺れて
虫は虫でいられる
世に溺れて
人は人でいられる
ともよ ともよ
私たちは
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158