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アボカド
ブロッコリー
椎の木
言葉
滑り落ちていく坂道
ブランコの途中
ところにより雨
ソファーで聞いてる
包丁の音
いつもの思い出話
壊れた玩具と
無くした部品
外 ....
声帯が未遂に終わった
夏の初めの頃
植物は止まり
蟻の巣は時間をかけて
退廃していった
立てかけられた
日傘、と
ひとつまみの酸素
光化学スモッグの半日は
残務整理に費やされ ....
電車に乗ると
二つ先に海岸駅という名の駅がある
海岸駅、と言っても
降りてから海までは男の人でも
歩いて三十分以上かかる
近くまでたどり着いても
海岸線に沿って細長く続く
フェン ....
洗濯機のとなりで
展覧会があった
淡い色だった
人々が行儀よく
並んでいた
わたしも会場に
入りたかったけれど
チケットを
衣服と一緒に
洗濯してしまった
昨夜折った笹舟を ....
僕らは階段の話をした
かいだん、と言う
君の発音が好きだった
一日中、階段の話をして過ごした
街では日々
階段は増え続け
壊され続けたから
話が尽きることはなかった
このまま二 ....
雨樋を解体する音
水球を続ける少年たち
耳の奥底にある
何もないところで
あからさまな私語は
途絶えていった
水飛沫の色彩に
少年の一人が目を瞑ると
黙祷のように
放課後は終 ....
裏窓を覗き込む
一艘の夏列車が停留していて
すっ、と
深呼吸を終えた
風を追いかける風の後ろ姿
もぬけの殻になった頁
ノートの終点にはいつも
書きかけの詩がある
男が現れて
 ....
君の隣に僕がいて
僕の隣に君がいる
いつまでも一緒にいようね
なんて、若かったな
どちらが先に逝くのかは
わからないけれど
僕との生活が幸せだったなら
新しい人が隣に座っても
 ....
九回二死走者なし
わたしは十七歳だった
バッターボックスで
晴れた外野ばかり見ていた
白線に囲まれて内と外は
確かにそこにあるのに
わたしを囲む輪郭は
ぼんやりとするだけで
虚 ....
フラスコの洗浄
柔らかな
ガラスと午後の触感
他には何も無い音と
別の日
満員電車で吊革に掴まっていると
かなかなかな
隣にいる男の人が
ヒグラシの鳴き真似を始めた
夏が終わ ....
差出人不明の手紙が届く
水のことが書かれていて
記憶みたいに綺麗なのだけれど
ふとした拍子に
大切な虫かごをなくしてしまった
生きていたことがあるかのように
わたしたちは立ち止まり ....
生きていくこと
空箱の庭
蝉の抜け殻の残響の続き
風に揺れる透明なブランコの隣で
ほんの少し匂いがした
嘘みたいに
あなたに触れたかった
心臓
あなたとの距離
咲かない花のような
綺麗な音を立てて
空を滑る雨
眠たい朝の構内で
電車は溶けた
消えた
その呼吸が好きだった、と
一行だけ描かれた
今日のレポート
 ....
団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを ....
ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった ....
君の肩幅に
まだ幼い
春の光

僕は壊れた掌を
修理しながら

真新しい
君の名前を
口遊む





(初出 R6.3.15 日本WEB詩人会)
 部屋の明かりが消えた。キッチンも、廊下も、
トイレも。カーテン越しに差し込む街灯や近所の
明かり。わたしの家だけが何事もなかったかのよ
うに、暗闇の中、どこまでも透きとおって見えた。
 ....
未明から降り始めた雪が
台所に積もっている
牧場の色彩を思いながら
わたしは冷たいサラダを
二人分作った

あなたはリビングで
新雪に埋もれたまま
詰将棋をしている
本を見な ....
ももを食べました
塩で食べました

レバーを食べました
タレで食べました

叔父が余命を宣告されました
ねぎまを食べました
塩で食べました

十人いた父の兄弟姉妹の
最後 ....
廊下に咲いた花を
摘んで歩いているうちに
迷ってしまった
春の陽が差し始めた病室に
戻りたかっただけなのに
白い売店や
柔らかな窓ガラスに触れて
いくつもの季節に
取り残されて ....
食べてすぐ横になると
牛になって
川まで来ていた
晴れたら洗濯をして
布団を干そうと思っていたけれど
雨も降り出して
残っているものもない
これからの人生どうなるのだろう
いや牛だ ....
むかし、むかし
いました
あるところでした
そんなものでした
流れていました
よく見てください
あれは桃です
大きさを見てください
あれは大きいです
味が想像できますか
ジ ....
食卓に並べられる青い空
本当はお惣菜がよかった
でも白い雲が出てきて
日々の感傷と一緒に
そのことも
忘れてしまった
窓は破れていて
繋ぎあわせればそれは
地図状になるけれど
何かを ....
鞄の中には
ひと握りの青空と
昨日捕まえた飛行機
微かなその羽音
生きていく毎日の走り書きは
遺言のように積み上がって
夏、という言葉だけが
いつまでも
うまく書けなかった
 ....
雨の初日
都会にも雨が降った
たくさんのものが濡れて
雨音の音や
雨水の水が
ふとした街路の様子を
美しく満たしていく
人混みの中で感じる
植物の吐息
どうしても
辿り着け ....
風、そして風の鼓動
空の欠片を集めると
それはいつも爪に似ていた
窓だけが知っているわたしの形
初雪が観測された朝
静かに紙で指を切って
独り言のように
痛いと思った


 ....
レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う

穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
痛点を通過する
ブランコに揺られて
春を待つ間に
チェニジアの
ハイスクールも
時間が経った
珍しく向かい風の
匂いがする朝
皮膚病だらけの
野犬に看取られて
誰もが死ぬ、 ....
椅子の気配
水路の抜け殻は
朝屑になる
地図だけの
詰将棋を終えて
歩道の色に
傘を落とした
外周
その抜け道

地下鉄に乗るよ
その言葉で
撤去される団地
等間隔の ....
中華料理を食べそこねた兄が
急行列車で帰ってくる
僕はまだプールの水底で
習字の練習をしている
兄は僕より背が高く
顔も様子も似てはいないけれど
よく双子と間違われた
習字のはら ....
こしごえさんのたもつさんおすすめリスト(152)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
まどろみ- たもつ自由詩8*25-7-26
書き置き- たもつ自由詩525-6-29
海岸駅- たもつ自由詩5*25-6-25
買い物- たもつ自由詩15*25-6-22
囁き- たもつ自由詩324-11-18
水球- たもつ自由詩324-10-21
夏空- たもつ自由詩224-9-17
遺書- たもつ自由詩624-9-14
憧れ- たもつ自由詩324-9-5
終わっていく- たもつ自由詩524-8-28
講義- たもつ自由詩324-8-10
生きていくこと- たもつ自由詩724-7-22
レポート- たもつ自由詩624-7-19
故郷- たもつ自由詩624-4-8
不在- たもつ自由詩17*24-3-23
- たもつ自由詩824-3-16
金魚すくい- たもつ自由詩324-3-13
新雪- たもつ自由詩9*24-3-9
焼き鳥- たもつ自由詩424-3-6
病院- たもつ自由詩524-3-2
波紋- たもつ自由詩8*24-2-28
むかしばなし- たもつ自由詩6*24-2-24
伝記- たもつ自由詩424-2-10
走り書き- たもつ自由詩624-2-3
黒板- たもつ自由詩6*24-1-31
独り言- たもつ自由詩724-1-14
ぽえむ- たもつ自由詩8*24-1-5
反射- たもつ自由詩7*23-12-31
砂丘- たもつ自由詩323-12-14
気泡- たもつ自由詩7*23-12-9

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