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団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを ....
ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった ....
君の肩幅に
まだ幼い
春の光

僕は壊れた掌を
修理しながら

真新しい
君の名前を
口遊む





(初出 R6.3.15 日本WEB詩人会)
 部屋の明かりが消えた。キッチンも、廊下も、
トイレも。カーテン越しに差し込む街灯や近所の
明かり。わたしの家だけが何事もなかったかのよ
うに、暗闇の中、どこまでも透きとおって見えた。
 ....
未明から降り始めた雪が
台所に積もっている
牧場の色彩を思いながら
わたしは冷たいサラダを
二人分作った

あなたはリビングで
新雪に埋もれたまま
詰将棋をしている
本を見な ....
ももを食べました
塩で食べました

レバーを食べました
タレで食べました

叔父が余命を宣告されました
ねぎまを食べました
塩で食べました

十人いた父の兄弟姉妹の
最後 ....
廊下に咲いた花を
摘んで歩いているうちに
迷ってしまった
春の陽が差し始めた病室に
戻りたかっただけなのに
白い売店や
柔らかな窓ガラスに触れて
いくつもの季節に
取り残されて ....
食べてすぐ横になると
牛になって
川まで来ていた
晴れたら洗濯をして
布団を干そうと思っていたけれど
雨も降り出して
残っているものもない
これからの人生どうなるのだろう
いや牛だ ....
むかし、むかし
いました
あるところでした
そんなものでした
流れていました
よく見てください
あれは桃です
大きさを見てください
あれは大きいです
味が想像できますか
ジ ....
食卓に並べられる青い空
本当はお惣菜がよかった
でも白い雲が出てきて
日々の感傷と一緒に
そのことも
忘れてしまった
窓は破れていて
繋ぎあわせればそれは
地図状になるけれど
何かを ....
鞄の中には
ひと握りの青空と
昨日捕まえた飛行機
微かなその羽音
生きていく毎日の走り書きは
遺言のように積み上がって
夏、という言葉だけが
いつまでも
うまく書けなかった
 ....
雨の初日
都会にも雨が降った
たくさんのものが濡れて
雨音の音や
雨水の水が
ふとした街路の様子を
美しく満たしていく
人混みの中で感じる
植物の吐息
どうしても
辿り着け ....
風、そして風の鼓動
空の欠片を集めると
それはいつも爪に似ていた
窓だけが知っているわたしの形
初雪が観測された朝
静かに紙で指を切って
独り言のように
痛いと思った


 ....
レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う

穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
痛点を通過する
ブランコに揺られて
春を待つ間に
チェニジアの
ハイスクールも
時間が経った
珍しく向かい風の
匂いがする朝
皮膚病だらけの
野犬に看取られて
誰もが死ぬ、 ....
椅子の気配
水路の抜け殻は
朝屑になる
地図だけの
詰将棋を終えて
歩道の色に
傘を落とした
外周
その抜け道

地下鉄に乗るよ
その言葉で
撤去される団地
等間隔の ....
中華料理を食べそこねた兄が
急行列車で帰ってくる
僕はまだプールの水底で
習字の練習をしている
兄は僕より背が高く
顔も様子も似てはいないけれど
よく双子と間違われた
習字のはら ....
ほつれていくテレビに
故郷が映った
見慣れた橋や川面の姿
人も映っているけれど
ほつれていて
よくわからなかった
会釈くらいはしたかもしれない
そう思うと
雨の音が聞こえた
 ....
とおく
らいめい
また
いのちにもどる
そうきめた

+

よりそう
じしょたち
きょうは
ことばの
おそうしきのひ

+

しずかな
かみのね
おわらない ....
細々と、若い店員さんが
説明をしているうちに
柔らかな駅前には
ほんの少しの
路線バスが集まっていて
その人たちにも何か
美味しいと言ってもらえるような
ご飯を食べさせてあげたかった ....
わたしの部屋にいた蝶々が
飛べない蝶々が
ある日、自分でドアを開けて出て行った

かわりにあなたが入ってきて
二人で話をした
楽しい話をたくさんした

けれどそれはきっと夢で
 ....
テーブルの上に眼鏡がある
隣に空き地がある
あの頃は雲がすべてだった
そして二人の黒板は溶けて消えた
 
 
+
 
 
シャワーは壊れた
兄は一人で展開図を描いている
 ....
昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
わたしの跳び箱が
静置されている
とん、と
一番高いところから
何も無い水平線が見える
息を紡ぐ
手や足が湾曲した先の行方
命のようだと思い
言葉はまだ拙くても
わたしは生き ....
新宿の雑踏に陽が差し込むころ
もう少し空気の言葉で話がしたい
自動販売機の隣で人を待つ人のように
母が持っていた日傘のことを思い出し
もう日傘がいらないことも
併せて思い出した

 ....
あなたを音にする
わたしも音になる
狭いけれど
小さく響き合う
梨の実のように
透きとおった瞼に
指先で触れてみる
それだけでもう
抱きしめている

古い通り
澄んだ廃屋 ....
手はさわり
落ちていく
あたらしく
たどりつく波
その波のかたち
平日の空気を
涼しい寝台特急は泳ぎ
車体を残して
溶けていく

あなたは積木の
手本をしている
手は繰 ....
試着をし続けている間に
ぼくらはすっかり
年を取ってしまった
兄は定年退職を迎え
父と腹違いの叔父は
ベッドから起き上がれなくなった
会津に帰ると言って聞かないのよ
叔母が愚痴を ....
水管橋に降り注ぐ光
何がしたかったの
わたしの腕も指も
多分、人より短い
変わっていく時間は
変わり続けて
気がつけば
アパートばかりが
目立って増えていった

あなたを思 ....
洗濯槽の水底
左折する
何もない身体
空っぽのタクシーが
隙間に落ちていく
昨日会った男は
鼠色の袋を
大事そうに抱えていた
都市の壁を
そのための朝を
〈間奏〉
貫く植 ....
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