テーブルの上に眼鏡がある
隣に空き地がある
あの頃は雲がすべてだった
そして二人の黒板は溶けて消えた
 
 
+
 
 
シャワーは壊れた
兄は一人で展開図を描いている
 ....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い

めぐりめ ....
昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
 
毎日を毎週を毎月を毎年をつつがなく暮らしてきた私たち日本の人
きっと全宇宙の知的生命体のほとんど全て私たちのことを知らない

とても幸せな朝

まだ真っ暗な四時の宇宙を切り裂いて自転車 ....
無限 道の終わりに
人の光 
言の葉、
ふるふる
ふるえふる


スッテンコロリンわらっちゃうな
愛娘の眩しい笑顔 瞳の奥の光
ふっと浮かび観る瞬間、
心に魂に刻み込み
スッテン ....
まひる日にやすらに睡る長ゐ髪

ひとり起きてやすらに睡るきみの髪なで

口無しぞ海を眺めて海にとられむ

磯に火を焚け濡れしきるわれときみのため

天にも陸(くが)にも来ずふるへる海明 ....
部屋に椅子がある
隣に体育座りをした母がある
雲が青さを通り越して
手をとり椅子に導く、空は久しぶりね


玄関に並んだ靴
妻は夕食を作り、息子はトミカに夢中
1のつぎの靴 ....
 夜も深き高層の谷間

 鈍く 唸りあげて吹くものは

 誰が為に在るのか、

 目覚めると不意に

 もの哀しさ 我包む冬
海をみてひとりと思うわが性は

哀しみとして海にほほえみつつ泣く

海の面にうつりこむかみなし児のわれ

わが性は孤独でありしまた海へいく

松林を海へ突っ切るひとり

カモメはや ....
不器用に生きている君の笑顔が好きでたま
らない僕は、なおのこと不器用なんだろう。
そんな日々で幸せを数えてゆきたい。
 
 
 
さあおいで
僕はいつでも心のこのへんのとこ
開けて ....
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く

轟きでもあり
静寂でもあり

満ちあふれ
けれど虚ろで

鋭く
けれどやわらかく

かぎりなく甘 ....
海哀しこの身たよりに恋をおもう

あめつちもなしこの身がたより

海、山哀しここにぐっとこらえる

恋のひとみの焦点のうるむ、山

風わたるくさはらのくさが避けて

はつなつの青空 ....
鮮やかな意識の朝に 秋アキ高々と 空一色に青 鳴り響き  落葉の 紅葉一枚 二枚三枚 探している秋
 
 白樺の 葉の数だけが なんとなく いつか見上げた 秋の暮れと思う

 何も考えず ただ水槽の 魚を見 あさにひるに かんがえないとき

 ....
 
 薄ら陽を

 追いつつ鉢を離れ得ず

 小さき金魚の褪せし思いして

 胸の底 暗く重く

 ちろちろ火の燃え続ける
雨を
置き忘れた
夕べ、

裏庭に回り

ぬらり
滑る
陽の光、

黄金に渦巻き
風が吹き、

 私を笑う

時に
取り残された
夕べ、

刻み込まれる
宇宙の ....
 窓を 開けると

 取り残された柿の実が赤かった

 よく解った 空の高さ
 
 窓を閉めた私は

 夕飯のお味噌汁の大根きざむ
2枚のスライドガラスに挟まれた薄っぺらな紙は
時間軸ごしにみてみると電話帳より厚いのだろう

 
あなたは未来のあるべき姿で
今はわからず
無為に動いているようだけど

どのパ ....
意識の無色透明に
打ち寄せる光の波
次々と次第に激し
残響の打ち重なり
立ち上がる無色透明、


しずかさに
うちひろがる
ひかりのざわめき
とおくちかくあわだち
色付きながら次 ....
 お前と私の くされ縁
 ペンとノートで膝つき合わせて
 何の進歩がなくたって
 へっちゃら

 お前の いじの悪さを思う
 私の頑固さを お前は笑い
 諦めてしまえば
 お空 ....
 ストリートサックスに聴き惚れて

 いつになく

 今夜は涙もろくなっちゃった

 帰ったら よっぱらって

 ねむっちゃおう
さみしくて孤独の先の孤独へと橋をかけては渡っているよ

いつになく憂鬱な日に雨が降りさらにブルーに拍車がかかる

繰り返す日々に少しの曇りさえ見えないなんてそんなわけない

ずっとこう ....
意味規定を逸脱し溢れ出る
この世界という
ノンセンス無限の深みひろがりリアル、
心の魂の自我の更なるフルサトへ
帰郷せよ と 只


夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく
風景に溶ける




”ちかみちは ....
 ほのぼのと

 開きそめし季節のすぎて

 髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを

 湯舟浸かり両の手に 抱く乳房

 秋の晩
午後ティー淹れたティーカップ
祝日の遊園地
中も外もまわるまわり
衛星カメラを
反転させても
とどかない
銀河系のベランダに
望遠鏡を置く
砂粒をあつめたティーカップが
暮れの手前で ....
わたしの跳び箱が
静置されている
とん、と
一番高いところから
何も無い水平線が見える
息を紡ぐ
手や足が湾曲した先の行方
命のようだと思い
言葉はまだ拙くても
わたしは生き ....
ことばのおどりおよぎ
おくふかくからふとうきあがり

 光景を綴るとき、

抽象の思考の肉体の感覚実感の向こう

見えないもの見えるもの同時に響いて居る。
生きる事は
何かを誰かを
あやめる事
奪い奪われを
繰り返す事

それに疲れた人達は
ドレッシングだらけにしたり
クジラを守ったり
条件を出したりして
脱出を試みる

全てには ....
 
 駅裏の
 小道ふうわり陽を恋いて
 行き違う その人と二度逢いし 
 が
 眉涼しきを忘れかねつる


   ※


 ホーム居て
 陽の暖かさに生ぬるく
 心ゆられて ....
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