手のひらを
じっとみる
樹木
にキス
傷つけている
怪しい空
魔法じかけの空
手のひらの中の空
伸びる空に
手首に傷
手首にキス
闇を空に
病みを空に
目がつかまえた ....
目を閉じてひゃく数えるあいだの
静けさがこわかった
(いーち にーい さーん)
ぼくはずるだと言われるのがいやだったから
はんぶん泣きそうになりながらゆっくりと
(しーい ごーお ....
瞳をとじて あかい海
金魚の鉢に くちづける
からからの ぷらんくとんを ばらまくと
ゆれる水面に さざめくひかり
プランクトンはぷくぷくみずを吸い込んで、
ぶくぶく息を吐 ....
{引用=
旅は 道草の葉に落ちて 染まる
せせらぎを消して 風は 川面の笹の葉を通りすぎる
空は 抜けるような青を広げて
すと―ん
何かが 落ちた
静けさは それを聞いてい ....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
嵐はつれて来た
雨や風
悲しみや空虚
そして、季節も動かして
ああ、人間は無力だ
西の空、月までが
埋火に
焦がされている
秋のはじめの
雨は優しく
しずかに
しずかに
色をさす
花かんむりの薄紅
手折るのを忘れ
肩にも雨は
優しく降りる
ふと、迷うということをしてみて
揃わない手のひらで地図をなぞる
帰る時間になりました、と言われるけれど
本当はどこへ帰りたいのだろう
誰か
夕暮れに誰か
流れていく群れを、逆に擦り抜け ....
至近距離で選ぶ 想像の快楽とロマンチシズム
目線のやり場を 一体どこに持って行けばいいのかと
目視の限界点で 目をしばたたかせる男と女
何をそんなに見つめていたのかは、人それぞれである
まった ....
かた恋の
独り善がりの慰めに
きみの好きなうた口ずさむ
思い出も記念日もなく
日は過ぎて
こころだけが同じ温度でいる
繋がれぬ
きみの掌に思い馳せ
ひとり秋染む
....
生まれてはじめてお付き合いをした男性が結婚したことを知った。当時は男性というよりも男の子だった。愛読書だと言い、『風の歌を聴け』を私にくれた。そうして自分の為に新しい本を買っていた。今も愛聴 ....
雨の日は誰もがまるで
幽霊のようですね
ほら
青いビニール傘透かして
見上げてごらんなさい
雨粒と同じ数だけ
冷たいタマシイが
落ちてくるのが
あなたにも見えるでしょう
落ちてはじけ ....
そとにあるよ
みんな みんな
そとにあるよ
黄色い光の午後に
窓のそばで微笑みながら
少女は世界を宿していた
....
風が雨を含んで
空色は薄墨模様
少し、
あと少しと待っていたら
わたし
咲きそびれたらしい
今から夏を追いかけて
間に合わぬなら
誰に囁くこともなく
この秋雨に
紅を濃くして
きっぱりと ....
{引用=
ゆつくりと 首を すげかへて
さみしさ を
あなたと わたくしの合間に横たはる、あの さみしさ を
その一端でも 共感しやう
静かなあなた の 夢見言が
わ ....
ユメに住めば 眠り浅く
ユメを食べて 満たされず
咲いたところで ユメのなか
カリソメの陽を浴びて
水面に映る蒼白い ヌケガラ
きみの帰りを待ちわびて
雨に煙ったアスファルト
ずぅっと先に目をこらす
きみと遊んだ
ねこじゃらし
今日は
つん と 雨の匂い
ボクのひげにも
雨の匂い
啓示は 下された
女が 死ぬ
男は 海に
自殺を 抱き
生き続ける
足下には 泥
むらがる 蟻は
蝉と 十字架を
運び
凹凸の激しい
排便
排便 そこには
美などなく
....
自分の投稿した作品にポイントが入ると、嬉しいです。
それはもう、半端じゃなく嬉しいです。
一応は「良い」という証としてのポイントであります。
しかし、「頑張れ!」だとか「仕方がないなぁ」だと ....
人の生き死にをたやすく
詩になんかするものじゃない
と、貴方は私に云い
今のところ
概ねだけどそれは守られている
けれど私は
貴方の生きざまと
死にざまだけは
しっかりとこの眼 ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ
もう長いこと飼っている
だからも ....
まなこ に にちりん
もろて に こがらし
つち の かんむり しろ こだち
かぐわし みつ むし
たわわ の やま つき
かぜ の ふところ ....
残暑が、高らかな色彩吐露を
自ら慎みはじめている
少しでもぶり返せばそれは
奇声、とひとことで片付けられる
薬を拒んでも、夏は引いてゆき
もう夏風邪とは呼べない何かと ....
月のしずく
やどる草陰
いともたやすく
朝陽にとける
心ころころ
恋心にも似て
儚きものこそ
うつくしく
しばし留めん
愛しきすがた
その日の夕方
妻は花束を抱えて帰ってきた
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
寝室の棚の上に花瓶を置いて
妻は花をその中に挿した
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
部屋の中は美し ....
雨が来る
雨が近づく
星を隠してしまう
足を失い
けだものは川へ行く
たとえ流されても
先へ進む
闇のなか 地に手をつき
文字を指で書きならべる ....
妖精が見えるという
塗り薬を瞼に塗って
赤から黒に濁りゆく
暮れの森へ出かけた
不可視
青年の瞳が捉えたのは
影絵の集合
寂しい墨色の森
ざわざわざわ
木の間を流れる風が
....
まるで他人行儀な
挨拶で書き始めたのは
あなたの選んだ便箋が
何だか照れ臭く
上目遣いにさせたから
感情を露にせずとも
温かな文となるようしたためたい
そんな課題 ....
深海に響くサイレン 旋律のようなうねりはやがて波へと
呼吸ひとつ躊躇うほどの静寂に抱かれて眠る幼い嵐
海水に混ざれぬ雨が沈みゆく マリン・スノーの一粒として
なにもかも蒼 ....
何千メートルも 落ちてくる
出会い頭が 痛くないのは その肌が
包み込む 優しさなのか
触れずに 溢れた粒は 足元で 弾けつづける
叩きつけられた 落差は 急いで
も ....
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