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真昼のソファーで目を閉じると
いつだったか、夜を待った日の
高原の風を思い出します
肩の高さほどの草むらを抜けて
尾根にむかう踏跡をたどり
軽く息を切らしながら
ずっと星に近いところにたど ....
つばめの描いた空の季節を
きりりとつま弾いた爪痕が
胸の奥で道程をたどってゆきます
命あるものの、ほのかな光が
湿った夏草の先で揺られています

  防波堤で砕ける波が
  どれほどのう ....
半世紀も祈り続けて
鳩が太っていく
公園の木は
故郷から引き離された子供のように
ぽつん、ぽつんと育って

生きていこうとする力に
種類なんか無くて
他人の生き様を非難できない
太っ ....
雪が私の小さな夜に降りしきます
冷たいものを無限に受け入れて
静かなまま染まるのです
記号という名前だけをもらった
小さな星雲たちみたいな
街灯が青白く照らす夜です

星を頼りに渡る鳥は ....
鳥取の冬雲が北風に迷っています
今日は大潮だというのに月が
複雑にからまっているのです

 私の言葉は上手でしょうか
 そんなことよりも伝えたいことの、
 たとえば月の輪郭を
 なぞる指 ....
真昼の星座のように
記憶の中で物語を紡ぐ
思い出せるだけの登場人物が
いつも同じ台詞
終幕はいつも引かれないまま
あきらめきったような時報で
私の視線は花壇に戻る

鬱金香、まっすぐだ ....
同心円でありたいのです
それぞれの速度で広がる
無数のわっかのなかで
波紋を重ねたいと

降り始めの一滴になりたいのです
そのひとのほほで流れれば
きっと振り返るでしょう
手のひらを空 ....
ほんとうの事が知りたいけど
正しいかどうかはどうでもいい
つまり、とりあえずは磁北を信じて
夜どおし動かない星を探し出す
北極星、と呼ぶのは僕たちだけで
イトスギ達にはきっと別の呼び名がある ....
息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる

煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる

傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節 ....
雨に吸い取られるように
街から見上げると
あしもとの同心円は
忘れてしまう
私ではないあちこちを中心に
広がる波紋の重なりで
まちは夏の終わりに濡れて
遠い港の潮臭いしぶきまで
思い起 ....
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こ ....
右のポケットに
湿ったままのハンカチ
トイレのドライヤーで乾かして
にわかに水蒸気は生まれていくが
それは霧でもなく雲でもない
つまり、僕のポケットには
虹は入っていないという事

エ ....
臆病者だけが
乾いている
磁石のにおいの
ひどい穴ぐら
窓の外では
アスファルトが
黒曜石に濡らされている

  仕切の向こうの笑い声が
  うるさくてちょうどいい
  そんな時刻 ....
ダイコンの花がさいたよ

ニンジンもがんばれ
ときめかせて
はなびらを解き放ち
冬別れの樹、予感
北風までもが人肌の温度
その飛ばす先の青空
気まぐれな季節は
いつも、ふいに帰ってくる

季節のない海の深みに
還っていくその前に ....
色の名前を忘れていく
最初に忘れたのは
花の色を真昼の
それにする太陽
そして、ものまねの月

雨の色を忘れていく
濡れるものとそうでないもの
雲の内側では透明の
感傷にも似た
匂 ....
闇の中で抱きしめる
体温だけを信じられるように
つまり、それはそう
あなたを想うだけで
私はどんな場所でも
世界の果てにすることができる

孤独は誰かを欲しいと感じる気圧
星だっていつ ....
手すりのない屋上で
そらをとりもどす、わたしがいる
{ルビ限界線=ちへい}に浮かぶ遠い筋雲の
気流の音に耳をすます
わたしがいる
まぶたの裏に
真昼の月を新月と焼き付け
まぼろしではない ....
水平線が夕日を融かすというので
その仕組みを知りたいと
渡し船を探しに海岸づたいを
西に向かう、それが私たち
綺麗なものばかりを
追いかけてはいけないと
釣り人が忠告したが、僕たちは
綺 ....
針を含んだ
夜更けのくうきがはこぶ
とおい稲妻の裂ける音
面影のように遠雷
かすかに

  (雪を呼んだのかい、それとも)

コートのポケット
握った手は汗ばんでいるか
遙かな遠吠 ....
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心

  はるか、 はるか ....
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた

漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こ ....
月が消失点のようだ
描かれた風景は
オルゴール、オルゴォル
ピンの抜けたドラムの内側で
漏れる光を、星だと
僕たちはささやきあったね

モルモットの遊具のように
夜空をまわし
時計の ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです

運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
夜の長い季節がめぐって
今年もまた
潤んだ果実の薄皮が
あなたの細い指先ではじけて

  枯色の穂の律動

その春のようなくちびるに
すべり込むのです


かわききった大地で
 ....
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉

数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取っ ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい

  大切に飼っていた金魚を
   ....
海沿いの盆地にみちた
湿気と体温と上昇気流の
かたち、あの夏の雲
想いだけが熱いから
激しくゆらめくように
それでも
倒れるわけにはいかないから
ひとしきりの雨を
足跡にするのでしょう ....
海という隙間で息も絶えだえに
船がただひとつ進めない方角があり
羅針盤の鏡にこうして映すと
宇宙も空も無くなる時間なのに鏡は
越えられない境界線を示すだけなのです

宇宙に似た深い暗闇を
 ....
こしごえさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト(113)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
花束の残像- たりぽん ...自由詩609-8-18
初夏の眩暈に- たりぽん ...自由詩6*09-7-12
駅・紙屋町- たりぽん ...自由詩12*09-4-26
君の朝につながって- たりぽん ...自由詩14*09-1-25
月の輪郭、風の影- たりぽん ...自由詩19*08-12-22
あしたへの、かえりみち- たりぽん ...自由詩708-4-22
春雨- たりぽん ...自由詩16*08-3-14
きっと、別の呼び名で- たりぽん ...自由詩27*07-11-13
晩夏の指先に- たりぽん ...自由詩8*07-9-6
フランクリン・シンドローム- たりぽん ...自由詩16*07-8-30
橋、ただの橋だけど- たりぽん ...自由詩11*07-7-28
そのまま僕になっていく- たりぽん ...自由詩8*07-4-30
雨を許すと濡れてしまう- たりぽん ...自由詩1907-4-25
さいた、咲いた- たりぽん ...携帯写真+ ...9*07-4-1
季節にとかして- たりぽん ...自由詩18*07-3-30
桜、わすれていく- たりぽん ...自由詩25*07-3-3
握りしめる闇、ねじれた雨- たりぽん ...自由詩14*07-2-17
その日、屋上の扉があいていたんだ- たりぽん ...自由詩17*07-1-18
野良犬は果実の名など知ることもなく- たりぽん ...自由詩12*07-1-15
遠雷の口笛- たりぽん ...自由詩15*06-12-25
旅程、もしくは別の呼び名で- たりぽん ...自由詩15*06-12-10
波、とはもう呼ばない- たりぽん ...自由詩18*06-11-12
風、とまどう鳥よりも- たりぽん ...自由詩14*06-10-8
いちばん_遠い夜- たりぽん ...自由詩13*06-10-5
冬告鳥、海風に吹かれて- たりぽん ...自由詩15*06-10-2
春の葡萄- たりぽん ...自由詩18*06-9-23
大人になって、僕は- たりぽん ...自由詩18*06-9-12
明るい雨の昼下がりは- たりぽん ...自由詩15*06-8-17
足跡、夏の- たりぽん ...自由詩15*06-8-6
ひとしずくの水彩- たりぽん ...自由詩1706-7-31

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