手と手が触れ合わないだけの理由が
夥しくて
冬は、一層
失いやすいものから失ってゆく
自然な成り行きだと、して


ほら
はらはら
葉がアスファルトへ ....
目がさめると
世界は半透明だった


そうか、ゆうべ 
基地をつくったのだ
求めていた体温に
ほどちかいぬるさと
液体でも固体でもない感覚の
その場所で
眠ることは
ひどく ここ ....
白い息がのぼる朝

氷の指の冷たさよ

紅の蕾も頑なに

視線のゆく先は

開くあしたと

散るあした

花であるなら

開けと願い

花であるから

終りも知る
 ....
朝になると
静かにそれを繰り返す屋根の波を
勝手に世界と呼んでいた
語る言葉はどこかに置き忘れて
少し笑う背中で世界に潜り込んでいく

息を吸えば吸うほど
体は軽くなっていくはずで
両 ....
光を灯すために
闇を撒き
         ただ、己の手をかざすはせずに
         悲しみをくずして笑うは廃墟よりもろく
闇を撒くために
光を灯し
         旋律、よもやう ....
世の風に流され
秘め事を{ルビ懐=ふところ}に隠し
灰色のコートを羽織った背中を丸めた男の後姿が独り

世の風に{ルビ抗=あらが}い
闇の向こうに見える光へと澄んだ瞳を向け
空色のシャツを ....
夜が泣いている時
その言葉は
口にしないで

空に星がない時
無理に上を向いて
その歌を歌わないで

海に船が見えない時
そんなに遠くへ
思いを馳せないで

 ....
多くの星が
自ら輝くことができないように
僕らもまた
自ら輝くことはむずかしい

たとえば僕がそうであるように
一つとして同じものなどない
そんな僕ら星のかけらたち

一つの存在が放 ....
「たぶん、もうすぐ雨が降る。」/ かおり


 たぶん。
 たぶん、もうすぐ雨が降る。
 重たいグレイの空
 湿った空気
 ぼやけて見える隣の町の赤色灯。

 煙草の煙も
 な ....
きみをみまう朝は
なんどもなんども顔を洗い
なんどもなんども歯磨きをし
ぼくのもっている
とびっきりの青空を
つれていこう

あののびやかな笑顔が
もどってくるように
すべてのものに ....
{引用=イェイ、イェイ、ぼくらはルーシーチャンスだ
イェイ、イェイ、今こそぼくらはルーシーチャンスさ
                
         ....
不吉だと思って頂戴
とてもとても不吉だと思って頂戴
そう思ってくれればくれるほど
あなたの前を横切るのが楽しいから
炎抱き天に向かって捧げんと燃えて散りゆく桜木並木

ただ青いただただ青い空に合う赤を散らせて木枯らしが吹く

舞い落ちる火の粉に巻かれここでなら秘めた想いを一人言ちても

振るうこの葉の数 ....
 濁る水のほとり凍て石を
 つまぐりつつ死人はわらめく
 騒ぎ落つ枯れ葉あかく
 みょうとして沈黙ににたり 
 くらめき惑う
 せらせらと
 せらせらと
 腐肉をこそぎ
 白糸のたばし ....
 軒下に掛けられた鉢植えを
 風が巻いた
 アスファルトの上に敷物をして
 わたしたちは寝そべった
 あなたの腕に敷物の痕が残っていた
 日曜日
 時間もまた渦巻型をしている
 飲みかけ ....
混沌と虚無

襲い来て

僕の意味奪う

超えられぬ

実存

薬の白さより

冷たい雪が

僕の心に降り注ぐ
 求めても手にはいらない理想郷
 
 なんども自分を確認し

 今いるここに魂の言葉を刻みつける作業

 ここちいい冷たさを身に感じ

 心は穏やか 頭はぼんやり

 とりたて ....
こぼれる 刃
渡った眼 閉じる
光の ぬかるみに

紡いで 望む両手
つかえる やぐら
踏み 登りつめ

土鬼の から腹
澄んだ 眩暈
刈り取られる風

香り
塞いだ灯の 
 ....
粘膜が溶けるほど喉が乾くから
水が細胞に染み渡る音が聞こえる

心痛み眠れない12夜があってこそ
朝の光の中で微笑むことができる

美しいト音記号が
悲しそうなヘ音記号の上に成り立つよう ....
青い檸檬は
いつかは
黄色くなるんだろうか

低い鼻なのに
鼻先が冷たくなるのは
何でなんだろう

金の亡者になった頃
何不自由しなくなるのかもしれない

教訓は
身に凍み込む ....
彼女は泣いていた 誰も知らない森の中で
夜は深まり 吐く息も白くなる 遠くで獣の声がする
もう長くはここにいられない

流れ星が一つ その足を止める
「どうしたの?何があったか話してごらん」 ....
夢みたものは 何でしょう

呼びかけたのは 私だ と?
いいえそれは きっと気のせい

知らない小路に
迷い込んだの?

あやしい影が見えかくれしています
怖いのなら
ついて来ては ....
  


 県庁の前でメロンパンの移動販売車が
 停まっていた
 雲のようなものが雰囲気で逃れるような
 空だった
 似たような顔をした鳩たちが
 いっせいに撃ち落された
 ....
世界で一番輝いているもの
それは夏の太陽でもなく
北風に瞬く冬の星空でもなくて
君が捨てようとしたもの
君がいらないと思っているもの



世界で一番輝いているもの
それはブルガリの ....
猫はネズミを捕る
と決まっているわけでもないだろうに
きみときたらネズミをくわえて
クリスマスには早いわたしの枕元
スズメの時もあれば
夏にはカエルだったね
食べる為ではなさそうだけど
 ....
それは一晩中泣き喚いた後の
空の真白
真白で無関心な、朝、まぶしくて
腫れ上がった目蓋と、熱い頬と
厭味たらしい空の

詩を忘れた
詩を忘れた
詩を忘れた

後は空白
空の
北の国では雨粒が
まっしろな六角の花を咲かす頃
運命をギュっと掴んでいたその指は
夢や幸せも白く結晶させたようで

すべからく物事は
原因があって転がりだし
人との出会いも必然で ....
ゆうるりと朝が来る
顔の群れは消えてゆく
ゆうるりがゆうるりと
いくつかのゆうるりを摘み取って吸い
ゆうるりと朝に満ちてゆく


波の光を背にして座り
髪は音にひたされてゆ ....
朝の
冬の
わたしだけの酸素分子が
冷たく、サラサラと
肺に触れてくれわたしは
震えました


少しの日のぬくさにも圧され
再び惰眠の目つきで
食卓に傾斜してゆく
 ....
風の筆で残す暗号は
地図のため息と
おたがいの足跡をかくして
いつも同じかたちに戻ろうとします

その度に行方は
なぎさに吹き寄せられて
波に、雨に、さらに細かく
見失ってしまい

 ....
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