大根 里芋 金時人参 南瓜 蓮根
厚揚げを 塩加減に悩みながら
白く煮て
干し椎茸 牛蒡 蒟蒻
は しょうゆ味で黒く煮る
重箱のおせち料理は作らないけれど
昔 家族で過ご ....
木目に沿って歩いて行く
輪を描き運に従い
静かさの波打ち奥まり
暗闇の上層にぽっかり穴開き
水色の空、白雲の流れ うっすら
青い光帯び ひろがりいく
年輪を重ねリズミカルに木目刻まれ
....
テイクアウトのピザを
たらふく食べ
飲みすぎた赤ワイン
炬燵で寝落ちし
ふと目覚める 耳の底の音だけしかない
深夜
空ビン洗って
ベランダの収納ボックスへ入れる音 ....
あの日
粉雪が降っていて
黒曜に閉ざされた狭い部屋
ふたり キャンドルを灯し
薄い毛布にくるまって
しがみつくように抱きしめたね
寒いかい…
ううん、大丈夫。
....
見間違えるほど
美しくなってゆく君は
夢の中で何をみているだろう
夜毎ぼくは眠れなくて
ウイスキーを舐めている
庭園に落ちると感じた刹那
ぽとりとひとつ紅い花
西の空を見上げては ....
お前のことを聞いたのは
つい最近のことだった
婚約者を残して逝ってしまった と
お前はビールが大好きで
出張先のホテルで溺れたと聞いた
お前は技術屋でオレは営業屋だった
オレたちは ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
ありあり在りと
この世界のこの世界ノ
無意識を覚醒させる
私という魂の認識舞台、
ありあり在りと
時間はひたすら進行し
ほっとけばいい、そんなの
私とは不断に変容するもの
努め ....
わ~い
自動ドアだぁ
裏で奴隷が
歯車を回す
人力で
わ~い
デジタルだぁ
裏で社畜が
データを入力
手作業で
この街がネオンで彩られるころ
あの街の空には爆弾が降り
....
僕らの明日はどっかにつながってるんだ
さよならなんて言うもんか って
鳴きつづけてぱたりと絵本が倒れるように
さよならとくじらが言った(ように見えた)
さよならと機関車も ....
ほら、見てごらん
指先が少し光っているよ
表情のない肖像画が呟いた
ベランダに出て
夜空に透かしてみたけれど
少しも光っちゃいない
ん… 指が石化している
でもキーボードを打 ....
雑然とした卓に
ちょっと戯れに挿した
寒椿の 紅い沈まり
眠れないのです
時は重たいものですね
全て寝静まっているのに
音があるのです
秒針が刻む
藍 ....
お下がりの大きな自転車は
不躾な轍を踏んでいた
5時のサイレンが鳴る頃には
納屋の隅の方から
古い天気予報が発掘された
曇りと雨の日には
ばってんが付けられていたけど
晴れの日は見たこと ....
思惟のふちから
言葉が崩落してゆくとき
僕は君の夜を抱き
君は僕の夜を抱く
その暗い球体の中に
守るべきすべてが
あるかのように
たとえばそこに
紅い薔薇
暗さの中では
も ....
青く凍結する冬のそら
しずか独り、浜辺に立つ
打ち寄せるイメージの波
浮かぶ波間の混沌は
思考の光に照射され
弾む言ノ葉、力動の渦
境界を溶かし、大地を洗う
....
寒さと賑やかさが混然とした師走だった
子どもたちは家の手伝いを請け負う
障子に貼られた紙をビリビリに破ることほど
心躍るものはなかった
平素子どもたちは無自覚に平凡で暇だったから
洗われて ....
「紛いもの」
凪の夜
寒空が黒いインク
こぼした水面、すべりゆく
遊覧船は
まるで冥界の古城
「中古マンション」
三階で 物干し ....
春風が優しく過ぎてゆく銀杏並木の散歩道
木陰で静かにスケッチをしていた私に
さりげなく声をかけてくれました
見えないバリアを被っているつもりだったのに
あなた ....
朝が昼になる瞬間に
日向と日陰の境目で生まれた私は
市街地と砂漠のきわで育った
砂漠ではたくさんの流れ星を見ることができる
気をつけて
と言われて
気をつける子どもはいない
夜に裸足 ....
美辞麗句を
書き募る
海の匂いドヨメキ、嗅ぎ聴き入りながら
尚も美辞麗句書き募る
オマエ、ただ言葉に遊ばれ嘲笑られ
*
眠りの底、
アナタは何を夢観るの?
眠り ....
酒房に足をふみ入れたとたん
行方の知れなかった心が
戻って来た
日頃 胸の底に巣喰う黒いものが
熱っぽく溶けて肉にしみ入ってくる
私に降る 師走の雨
....
世界を終わらせる旋律を歌う鳥が
つみびとたちの屍の山をこえていく
その日の朝
わたしたちは一様に不幸である
朽ち果てた限界集落の
かつてバス停であった場所で
ほら
あれをごらんなさい
....
木
を
讃
え
ク
リ
ス
マ
ス
イ
ブ
仕
事
で
も
楽
し
め
て
い
る
束
の
間
....
朝ぼらけかすみし山の冬木立
鼓膜に残る響き息の跡
ときはかねときあかねさす井戸端の
夕餉の支度暮れのにおいは
山の中静かに凍る湖が
数億年の冬眠を守る
暖冬に明日、明後日と大 ....
子音と母音の
造形と響きに
宿る神々、
意味は未だ無い
ただ聴き入るのみ
「初めに、ことばがあった」*
意味伝達手段以前遥か
ことばに宿る神々の現、
造形と響きに
「ことばは ....
椅子の気配
水路の抜け殻は
朝屑になる
地図だけの
詰将棋を終えて
歩道の色に
傘を落とした
外周
その抜け道
地下鉄に乗るよ
その言葉で
撤去される団地
等間隔の ....
天竺の行者は言った
無量大数よりも大きな数字を
ガンジスの砂を感じながら
無数を解いた
今もスーパーコンピュータで円周率を計算しているが
果ては無い
無駄なのだ
この宇宙の果てに ....
スマホが鳴って驚く
それくらい何もなくて
ひどくあたたかい
十二月の雨
窓際に並べた
不安の広口瓶の
埃をはらえば
鋭角な触覚が
のたうちながら蠢いていた
干からびた私は
十二 ....
人は原初からあらゆるものを食べていた
等分に命を屠り
そして天に感謝と畏敬を捧げた
或る人らは動物性蛋白質は採らないと叫び
植物には痛みは無いと
その生命を己の肉体に採り込む
欧米 ....
覚醒と昏睡のはざまでウオッカをあおった
深海にゆらり ゆらゆらと漆黒を彷徨いながら
エルドラドを求めて沈没船の古地図を探した
否… それは既に此処に在る
言霊の山だ!
ナンバーワンを ....
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