現代詩フォーラムの皆様
あけましておめでとうございます。
今年も管理人様はじめ会員の皆様の
御健康と御健筆をお祈り申し上げます。
ついでにアタシのご飯も
グレードアップしますように
お祈りしちゃいます ....
空は何も忘れはしない

それは始めから何も覚えていないからだと
古い本に書いてあった

それは確かに詩人の言葉だと
子供ながらに納得したことは
はっきりと覚えている


冬空にカイ ....
あても無く{ルビ彷徨=さまよ}う
芝生に伸びる私の黒影
丘の上に独り立つ

{ルビ只=ただ}
北風は{ルビ枯草=かれくさ}を揺らし
雲ひとつない空は澄みわたり
日の光の道を映す海は
 ....
リモネン、セプテンバー
君の名で良かった
繋がり
繋がろうとする
僕らの身体は
いつも酸っぱくて
どこかが潔く
欠落している

育った街で
僕らに罪は無い
同じくらい
 ....
冷たい北風に煽られ
凍える霙に打たれても
白樫の木は黙して耐え抜く


容赦ない吹雪の最中
総てを失う事の恐ろしさに
怯えてはならない
大地深く張り巡らした根の先より
明日への滋養を ....
氷の風が吹く夜は
星の瞬き蒼蒼と
淡く浮かんだ
あなたの表情を
交す言葉の
間に間に見つけ
愁い喜び泣き笑い
腕を伸ばして
頬に指さす

柔肌温み
伏せた睫毛に星あかり
鼓動の ....
いつのまに
我が胸に吹き込んできた
風の{ルビ女=ひと}よ

君が踏みつけられた花を見て
傘をさしたまま立ち尽くし
ひび割れた心のすき間をほの青く光らせ
雨音に{ルビ滲=にじ}む心を痛め ....
空がまだ青かった頃
王国は細く
鉄塔がその役目を終えてなお
行くあてなく錆びていくように

東の空から鳥たちがやってきて
羽を休める場所を見つけられない
王国は
気づかれずに
そのよ ....
頬杖をついて
空ばかり見ていた 

流れながら
形を変えてゆく雲とか
鳥が黒い点になって
吸い込まれてゆく姿とか


指先でペンを回す仕草を
無意識になんどもしていて
と ....
声を聴かせて
おのずから妙なる旋律を宿すその声を

流れがうまれる
その声が意識に触れた場所から
涼やかにゆるやかに
深くたゆたう流れがうまれる
私はその流れに
身をゆだね
漂う
 ....
梯子が燃えるとき 時間は終わる

線を、引く
初めて泣いた日、
引き摺ったままの羊水で
始まる

一段 歩を進める度に
薄れていく
消しゴムで消せない、
それが条件
引き攣った跡 ....
 早朝、携帯電話のアラームがいつものように作動して「んんんんんん」と寝返り打ち「…ん」と起き上がってからやっともっともっと眠ってもいいのだといつまでもいつまでも眠ってもいいのだと気がついて「ア…幸せで .... 船をまたぐ
昨日より長くなった分だけ
自分の脚に目盛を入れる

円盤のような声で
おしゃべりをする少女たち
そのフードの中には
いくつもの星が散らばっていて
誰も知らない星 ....
全体を凍てつくされた冬の森めぐりあえない君とは遠く

ちら と目が合った気がしたその刹那巻き起こる風紛れ込むきみ

お互いを知っているのに永遠に言葉を交わすこともできない

粉雪がとけるこ ....
振り解こうとしたその腕の力に
恐れ戦き
声にならぬ悲鳴を上げ
逃げ出そうにも逃げ出せず


生き抜く事は人の本懐であるとしても
手当たり次第しがみ付く執着心は
どうしてこうも醜いのか
 ....
手を
両手を広げ、そらへ
飛ぶように飛ばないように広げ、手を、そらへ
色々と自由になった気がして
交差点を、待つ


輪郭を見ている
箱の世界にいながら
回転を繰り返すのは
いつも ....
浅草の古い映画館が
今年いっぱいで閉館になる

その知らせを聞いたのは
年も暮れかかっている師走だった



『映画館の恋人』



祖母は映画好きな人だった
忙しい母に代わ ....
人が死ぬときにする 小さな音を
まねしながら このうたを うたえ
生き死にのリズムで このうたを 

「きみは いきろ ぜったいにいきろ
 まっくら闇 
 煌々とひかるのがきみのひとみだけ ....
彼等は天使なのだから自由に降りてくる
ひとは誰も彼等の姿を見ることができない
彼等に思想はない
彼等は天使であり善でも悪でもない

天使は通り過ぎる
ありとあらゆるものを刺し貫き ....
――切り立ってごらんなさい。つまさきで。手の先を。あなたの手のひらには死の網が浮き出ている、巻雲の申し子だ、耳の中で変色する早苗の葉音を頼りに、内園からつなぎとめておくのです。私はおさない被告人、砕け .... 今年最後の海を見に行った

午後六時
駅から海までは住宅街の中をしばらく歩く
にぎやかな町ではないので夜は早い
ビルディングの間からは見えない星座がたくさん瞬いている

海岸沿いの国道に ....
地面は かわいそうの塊ですか 
小学校で教わりました
動物の死骸は土に変わると
野菜の残骸は土に埋めると
お母さんに聞きました
おじいちゃんは
土に還って眠っていると

地面は ....
弛緩にいたる 手薄な機微
アメーバ脱いだ 手袋の中
渡しちまいたい 不燃焼再

登られて 痛み 頬紅傾れ
みつかりましたか 保険虚

あららの なかの 夕暮れ
ちんけな 煙草 責めたて ....
 感覚の麻痺が進行している
 ときめきという言葉を街のなかで
 落としてしまった

 かすかに残る感情は
 明日も神経をすり減らす
 人との交じり合いで
 かすんでゆく

 がんばっ ....
目一杯に指を開いて
その間から覗く世界は
少しだけ明るすぎて
いつものように目を閉じていく
はらはらと花の散る道が
視界の端には、何処にでもあった



午前五時
空を埋める目覚ま ....
結婚して32年、初めて手紙を書きます。

何回かお見合いしたけれど、あなたと結婚するとは思っていませんでした。

私のほうが4歳も年上で、あなたは結婚を約束した人がいましたね。

知ってい ....
それでも完成を求めたでしょう
傷つきながらもあなたは真っ直ぐすぎて
わたしは背中を影にして
横並びになれても
二つの黒にはいつまでたっても映らないままで

言い訳交じりのその歌を
奏で終 ....
かつてこの瞳の奥に刻まれしひとを想えば暮れゆく夕陽


岐路そして岐路、岐路、無数の岐路がありしばらく雪にみとれる窓辺


在る。ことでとわにみらいはうつつゆめ描くと同時にほろびてゆくわ
 ....
星座になるのは簡単
目を閉じて

時間の数だけ
ふたりを
結べばいいから

星の距離で
 
 
 
ただひとつの意味でだけ
朝であればそれでいい


女は、暗がりから
チチチチチ、が発されるのを待っている
さあ、と
鳥が開かれるのを、鳥が始まるのを
待っている
 ....
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