薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた



「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
 ....
光る携帯のディスプレイに突然
あたしは眩しい{ルビ太陽=ひ}の{ルビ下=した}にトリップ
懐かしい{ルビ声援=こえ}
 、と蝉の{ルビ音=ね}は

 何時だったろうか?
 何処だったろうか ....
曇のなかで
ねじれる光
灰に 銀に
尽きることのない色に
池を隠す雪の上
蒼い熱が散ってゆくさま
その繰り返されるうたを聴く



けだものはけだもの
世界を狩る ....
ゆらり美しく舞って現れたあなた
あの日から 頭にこびりついている
夢を見すぎて 離れなくなってしまった
あなたに激しい風が吹いたら
囲んで守ってあげたい
羽が傷つくと 美しく踊れなくなるだろ ....
まるで代わりのように、降る
悼むように
かき乱さぬように
しずかな泣き声の、雨

追われていく時間
ぎりぎりのところで
感情の発露をせき止めている

こころの中に
墓標に傘を差しか ....
さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく

あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど



 ....
左の視界に切り込んでくる
海は花を手わたしてくる
霧雨と霧雨の合い間の呼吸
羽音から羽音へ飛び越えながら
海は光を手わたしてくる


朝がはじまるその前に
朝よりも強く ....
コンクリートジャングルを
見下ろす
蒼い空に
真っ白な
ぽわぽわ羊が
たゆたっている

壊れてしまった
レコード盤のような
日常に
膿んで
見上げる空は
高い

鋼 ....
インターホンが壊れてしまって
不在票ばかり、溜まってゆく
ドアをノックする手を
誰も持たない


再配達を
今日は頼んだから、
夕暮れにつづく時刻に
言い訳を抱えて
ドアの内側に寄 ....
左目の古傷を開かれた


ぷつぷつ

肉の裂ける
鈍い音が
鳳仙花の匂いが
絡み付く記憶をえぐり返す

カサブタを剥がされて
マブタ肉の隙間に

奴の遺した眼球が
 ....

の奥
の枝葉
の枯れ屑へ
足音の一人分を 
沈め続け


祈り
の指を 
耳たぶ一人分に
勘を頼り当てやるも
冬に備える温度の一人分も
何処にも少しも ....
葉擦れの赤錆は
はじめは
軽い混入だった


冷たい赤い陰影を増してゆくのは
葉擦れの色として微かに現れた感情の
冷たいことを、赤いことを
葉が何度も抱擁するからだ


それでも ....
薄暗い廊下の突き当たり
古い鍵を回せば
きらきらと埃が舞うだけの部屋

東のカーテンは色褪せ
ピアノの音色は床に転がって
ソナチネの楽譜も気付かぬふり

窓の外には
金木犀がほろろ零 ....
木漏れ日がもしも零れて落ちたなら
        享けとめるためまつ毛をカール


ハリウッドの女優気分で歩こうか秋色緋色の絨毯の上


空高く群れる羊を追いかけて風の尻尾を捕ま ....
さよならはこころのなかでだけつぶやけばいいのに
こうしてまたとけいはくるくるはりをまわすんだ

 (もう好いじゃないそろそろ、そろそろ)

とうめいな、かったーの は 
と、おれんじとほわ ....
泣いているのはあの人である
公園の日陰にあるベンチに腰掛けて
遠い目をしていた いつか
ずっと昔心を寄せた人の事を思い出していたのか
それとも。
その乾いた細い指の触れてきた道程を
僕が知 ....
怒りを
この体に
押しとどめるなにか
それはこぶしでしょうか


掌のかたちにそれを
開き、放ってもまだ足りない
その病が
揺さぶるのです
だから震えてしまうのです


 ....
雫が
紙に落ちる
そこだけ
ワントーン暗い

絵の具を乗せると
じんわり
滲んで
やんわり
色付く

涙が
零れて
心が暗くなったら

あなた
私に
優しい色を
滲 ....
風が言葉をさらっていった

ただ黙って
夕暮れを見送る

綺麗なものへの憧れは尽きることなく

たとえばそう
悲しみの結晶が透明であるならば
過去も無かったことにできるだろうか

 ....
午後をわたる数羽の鳥が
いくつもの笑みを描いている
空と曇の鈍のさかいめ
まぶしく見つめる目のなかを
笑みはめぐり飛び去ってゆく


曇を映した滴にかがやく
水の壁のよ ....
あめあがりの空気はとても澄んで居て
汚れたあたしが吸い込むには一寸痛い

すぅ

、とせいいっぱい吸い込んでみたけど
軽く髪を撫でてくれただけで あたしを
むかしの様に  澄ませてはくれ ....
蒼白の薄明
永遠に処女の領域

素数のみで刻まれた暗号
純粋遊離線

冷たい蜃気楼
置き去られた天象儀

倦んだ庭園
途絶えがちなピアノの音

未分化な恐怖を秘めた深淵 ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです


書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
遅い月に
空は揺れ
鳥は眠り
朝の川を夢みる
冷たい光の下の水
海にもなる
人にもなる



雨の明かりをすぎる鳥
灰の轍をひたす水
幾度めかの浅い冬 ....
負けない
だが 勝つつもりもない
同じくらいになりたい
世界と

戦いには意味がある
だが
勝利にも敗北にも
たいした意味があるとは思えない

世界とは何か
わかるまで 
世界 ....
この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね

今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
真夏の日差しの照りつける
石畳のオランダ坂を下っていると
左手の幼稚園の中には
元気に足踏みしながら歌う
水色の服を着た子供達

入り口には
ひとりはぐれて泣いている男の子
笑みを浮か ....
鬱蒼とした樹林の中に ぽつんと
廃屋を見つけて嬉々として騒ぐ
住む者のいなくなった がらんと
した埃まみれの部屋を磨き彩る

あのベッドはどうしようか?
軋む階段はいつ直そうか?
割れた ....
カーマイン、スカーレットにマゼンタの三人の魔女空で焼かれた


瑠璃色の勿忘草はまみどりに染めたの白をあきらめたから


人魚にも羽はあったと焼け跡の肩甲骨をさわった指で


当たり ....
砂が生まれる日
冬から白が去り
見える風が座す
冷たいまなざしの
不透明たちが



空白に入り
空白を満たす
水のなかの息
満たされてゆく空白
消え ....
こしごえさんのおすすめリスト(3706)
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自然治癒- 千月 話 ...自由詩25*05-10-19
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