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みおろす私は水に似て
あるく人びとは胸いっぱいの記号を抱えている
穴のあいた人間にばかり恋をして
たどりつく知らないまちで
気が付けばまたみおろしている水のさみしさよ
結局 この国が失ったものは
任侠という精神だろう
任侠を暴力団に擦り代えることで
強きものを挫き弱いものを救うという
ひととしてしごく当然のことを
捨て去り邪険に扱うことで
多くの ....
あなたが望む世界がひとつ
彼氏が望む世界がひとつ
親兄弟とか仲間とか他人とか
でも同じコルクボードに鋲で留められる
百個は許しても一個はあなたのものだ
その一個が
大好 ....
光の通り抜けるのがずっと遅いガラスには
青い光りが灯るんだって
ずっとむこうの、またそのさきの、
もっとさきの、そしたまたさきの
星の明かりが言っていた
光の通り抜けるのがずっと遅い ....
クリスマス以降
全くやる気が起きなかった
どうにか今日で仕事納め
やっと時間が心に追いついたのだ
裸婦像みたいな街路樹の肩にカラス
除雪車に削られた白い壁に車を着けて
ふ ....
自転車を走らせながら
夜空を眺める
近くて軽い
感触が迫っている
もう少しで届くよ
立ち上がり私は伸びていく
ビルよりも高く
今日食べたラーメン
箸です ....
子供が生まれて初めてのクリスマス・イブの朝
旦那がプレゼントは何を用意したか?と訊いたので
「絵本とぬいぐるみ」と答えると
「そんなんじゃ、全然足りない!」と言い放って家を飛び出して行き、
ま ....
ロマンティックが好きである
もう恋をする年ではないけれど
恋をした思い出なら
心のポケットにいっぱい詰まっている
怒りでベッドに
携帯投げつけたことも
男の背中をグーで
思いっきり殴 ....
風が冷たい
身体が冷たい
だけれども街から溢れだす明りは
なんだか暖かそう
溢れ出す人々は優しそう
私がぽそぽそとつぶやく
他愛のない言葉に
そうだよねと
頷いてくれているようだ
....
I wish my wish I wish my wish
宗教や人種の違いで 人々が争い血を流さないように
I wish my wish I wish my wish
幼い子供たちが ....
人と街が食べあっている
道路にたち
あふれるように行き交う時間の
どのひとつにも乗りこめない
きのうの夜
きみが外した錠を
どの時間にかざしてみても違う
もうだれにも会え ....
ひとは順調なとき
神のことなど想い出さない
逆境に陥ったときだけ
神に助けを求める
ひとは健康なとき
神のことなど想い出さない
ひとは重篤な病に侵されたとき
神に祈りを捧げる ....
小学校は
投票所になっていた
冬のひととき
ぶらさがるカーテンの波を
光の風が揺らす教室
長靴にしのびこんだ
濡れ雪を気にしながら
ま ....
床をみがいて
部屋じゅうに火をうめる
相変わらず窓べに立って
術なくそとを見つめる
知らないひとの背中が
つぎつぎと消えてゆき
今日も今日が終わるね、
と言うと
終わる ....
大義という主張と主張の狭間で
武器を持たないこどもがその親が
何の躊躇もなく銃弾で殺されていく
そしてその真実を世界に伝えようとする
ジャーナリストも標的にされる
その惨状をソファに座り ....
しゃれこうべは髑髏って書くんだ
たぶん死ぬまで書けないと思う
僕らはサイズ違いを一つずつ持っていて
ときどき皮膚の上から
指でもってお互いのかたちを
たどたどしく確かめてみるのが好きだ
....
エーゲ海の猫になりたい 君に飼われたい
悲しみって燃える塵なんだろうか
悲しみって燃えない塵なんだろうか
その分別さえできないほど
ぼくはきみのさようならに
打ち拉がれてしまっている
生きる権利がある国では
生きる義務が存在しない
生きる義務のある国では
死ぬ義務も存在する
生きる術を持たぬ者だけが
生きる意味を知っている
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
生きのびるための愛なら
いらない
いらない
絶望を孕まない幸福なんて
いらない
あれも
それも
いらないよ
夜を裏切らない朝も
朝を待ち侘びない夜も
いらない
....
わたしがわたしに出会う前
わたしは静かに息をして
あなたの世界の音を待つ
あなたの影が煮詰まって
匂いたつ夜をひと匙掬い
かわいた瓶に蓋をする
あなたは馬鹿な鮭みたく
わ ....
愛と云う概念を言葉にしたものは
明治維新までは日本にはなかった
そのためツルゲーネフの小説
「アーシャ」に登場する女性が言った
「I love you」を「死んでもいいわ」と
三日三晩悩 ....
スポーツライターのジェシカ・ガーヴィ
彼女の名を聴いてそれがだれかを分かるひとは少ない
もし彼女の名前を憶えているとしたら
新聞記者かアメリカ銃乱射に余程の興味があるひとだ
2012年 ....
{引用= (fall)
秋
娘の胸に
はじめての乳が溜まり
銀杏の香り実る頃に
心は夢と出会う
(shape)
「長い廊下の向う ....
ほんとうにさまざまな椅子があります。家具屋
わたしはひとつに腰掛けて
にっこり笑う。おそれる
広いまどには一羽ずつ天使が張りついて季節を監視しているので
おそれる。
とるにたらないこ ....
詩人だから汚れ仕事は
しなくていい
美しいものを
美しいと言えばいい
醜いものを
醜いと言えばいい
それをどうすればいいかなど
考えなくてもいい
詩人は花のようなものだ
ただ咲いてい ....
きみはTPOをわきまえてという
でも僕はぐちゃぐちゃ
でもほら てをつないで
ストリップを観に行くか トイザラスにでもいこうよ
気分をパッと晴らして
歩いていれば いやなことは忘れる
不機 ....
きょうは街が
青く繁っている
角じゅうに発生する
感情を食べているので
三時になったら
たばこ屋の角を曲がる
ひとつの体を
なんとか動かそう
雨がふっても
きっと曲がろう
....
画板のうえに
赤と
青を置く
青のための赤と
赤のための青
意味
固い殻を剥かれた
何者かの咳
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