投票所
草野春心



  小学校は
  投票所になっていた
  冬のひととき
  ぶらさがるカーテンの波を
  光の風が揺らす教室



  長靴にしのびこんだ
  濡れ雪を気にしながら
  まるい恋人と
  しかくい恋人と
  さんかくの恋人のことを
  何とはなしに想って



  だれもが
  眠そうな顔をして
  投票所は静かだった
  恋人よ、
  君のいれてくれた
  熱いコーヒーを飲みたかった
  なんのかたちもしていない
  なんのにおいもしない
  君の




自由詩 投票所 Copyright 草野春心 2012-12-23 08:44:17
notebook Home 戻る