すべてのおすすめ
制服は重かった
着る理由も教えられないまま
私たちはだれもが脱げなかった
なにかというと並ばされた
振り向いて
目があうことがこわくて
ホントウノコトがほしくてたまらなかった
大 ....
鷹の爪がむねを突き刺した 純粋が なあ 零れてたぜ
あくびがでる話さ 気長に旅支度しよう 人形は置いてってくれ
飲干した空き缶がぺこっとおじぎしてる なぜか 弱ってる
そんな不恰好な ....
サンデーバザールのあと
あらしが何度か通りすぎ
片腕の乞食が食いっぱぐれ
捨て猫みたいに骨と皮だけになって
水気で頬をいっぱいに膨らませた雲は
策略的なハンターの目つ ....
長袖ビュンビュン
半袖ぴゅんぴゅん
お洒落じゃないから同じような柄ばかりの
シャツたち
ズボンもこれからの季節はずっと
うねうねコーデュロイを色違い二本
これから寒 ....
雨がふるので
膝を立てて
まがった指で
生理用品をつけかえる
角に立っている男たちが花売りを罵倒している
走り抜ける街の多さ
どれだけ降っても
給水塔はふやけない
雨が ....
やたらめったら起こる奇跡を奇跡と呼びたくない
人を
ただしい場面で
ただしい順序で
ただしい角度に
揺すると
泣く
そのただしさを
習得することを
愛とか技とか
呼ぶ人びとを
軽蔑し
憎んでいるわたしも
ただしい角 ....
勝者のいないレース走らされている
可愛かった君が
台風になったと聞いて
かなしかった
あんなに可愛かった君が
なに食わぬ顔で
意味や 時間を
張り飛ばしていく
むかし
一緒にうたっていた歌を
はぐれた風に ....
あなたの言葉が わかんない つまんない
そんなんもわからへんのかとか
もっと、つまんない
国
という言葉がいま浮かんだけれど
どうしたものか思案している
一ヶ月近く洗っていない
ランチョンマットには三箇所の染みがついているが
それでも洗 ....
毎晩
息をふきかえす恋情の手をにぎって
墓場へつれていく
そうして
同じようにして来たあなたと
抱き合ってから
墓を掘り返し
うめる
ねむる人から
わずかに死がにおっている
うなじにくちびるをつけ
愛してやると
その背中に
にじむように命が動いている
ねむる人よ
安らかに
いまは死のふちをなぞっておいで
白けきった月にベッドが一つ、
そんな腕で枕になりきるのは
楽じゃない。
往来へでて
てきとうな影をみつけては持ち帰るが
どれもやはりあなたではない
晴れた日には
いつもより多くの影が行き交うが
どれもやはりわたしではない
くもりの日
沸点をこえた ....
果実であると思ったそれは花弁であった
ひたすら内へ内へ花開いているのだ
そして紅く紅く熟れているのだ
いや、未熟な種と共に爛れているのだ
自らを限定してしまった
実の大きさのその中で
虚ろ ....
手のひらを
ひらいたとき
いくつもの時間が
そこで死んでいた
顔をあげると
いくつもの季節が
道路のすみで
凍えていた
ふるえる指で
拾いあげた
だれかの言葉は
死に ....
誰もいない
重ねる手も
合わせる膝も
誰もいない
目をとじても
ひらいても
波さえ
だんだん遠のいて
かわいたページを繰るように
日がしゅんと消えていった
誰も ....
膝を折って
床の上に散らばった
数枚の紙の、種類をかぞえていた
たえがたい白さは
閉じたドアを容易くすりぬけ
光へと落ちぶれ
痩せた手の甲に ....
透明な盆栽を両手で包み込みましたが、それは
嘘です。御免なさい。
いつも頭に被ってるのはなにか
考えてみると
渦巻きの中を吸い込まれて
問い詰める問題は君 ....
精一杯
わらい疲れたあとはさ、
窓際にいってごらん?
夜を徹して
つみあげられた花が
ひとときに燃やされてゆくからさ
空のはじっこに
....
いろいろな世界とちがって
あれはゆれない
やわらかいものを
固いもので包んで
自分から傷ついているような
いたいたしさだ
そういうものを
いくらゆらそうとしても
赤々しく
....
明日はもう
ここにはいないし
雨も降りそうだし
こわいから
食べて
そして
明日になったら
明日のわたしを
食べてね
{引用=
掠れた息をつくように
ベッドにそっと
言葉にならないものを吐いたとき
その言葉にならないものはすぐ露のように朝の陽にきえた
あの日のあの雲にはもうであえな ....
着かざってる
女の子たちに
にっこり笑いかけると
疎まれるけど
だからといって
犬猫にも
すかれない
男の子は
流動的すぎるし
男のひとは
大きすぎる
それだから ....
ぼくらが選ぶことは
できないことだけど
できるなら人生のピークは
晩年に訪れた方が佳い
それをアーウィン・ショーは
《50ヤードの独走》と云う
短編小説で余りに早く
人生のピーク ....
まつげが
長いから
ほかのひとよりも
うす暗い世界で
生きている
ときどき はっ として
息をとめている
チェリーを吸ってた
女の子
思い出すように
生きるから
死ん ....
座るきみの膝に
とうめいな猫がねころんでいて
真っ赤なりんごを撫でている
僕のじっぽんの指は
オルガンの鍵盤に載せられ
ゆるやかにだまりこむ
....
悪いことも良いことも
僕の感じ方一つで
違ってくるんだという
君のセリフに唾を吐いた
どうせ
僕はひねくれもの
君からの好意を邪推して
疑って撥ね除けて
素直になりますって書い ....
空気人形、という言葉に
いつしか親近感を覚えるようになっていた
乾いた言葉たち
伝えたいことなどなにもなく
空気と同化するだけの日々
私の中身もきっと空気でできているに違 ....
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