すべてのおすすめ
○
手乗り文鳥が
籠から
彼の手に飛んで来た
しかし手が
あまりに冷たくて
肩へと移動した
そこで
すぐ上にある
彼の耳をひっぱる
痛い!
注射をされたみたいに
痛い
....
みんな幸せになればいいのに
暴力的な春風に耐えながら
詰まりそうな呼吸を必死に続け
目に入った砂粒で泣き
砂粒のノスタルジーを聞かされ
更に目からは涙が止まらず
涙が止まる方法を あちこち ....
○
春の庭に
寝そべって
一本の骨を
しゃぶっている犬が
横目で人を見ている
何だあいつは
というように
○
今世めちゃがんばるから来世はきれいな亀の甲羅になりたいな
かみさまよ
いない世界の数合わせさせられて
伸ばした髪がせんぶ枝毛
責任とってよと言いたいとこですけど
指が5本ずつあるのとか
....
自転する地球を蹴って
僕らは歩く
ある時は自転に対して、順向に進み
またある時は、逆らって進む
時間というのは僕らの生理的概念でしかないのかも
一日のスピードは進む方 ....
○
煌めく金の声を、地上にばらまいて、
雲雀が青空へ昇って行く。
「あんなに雲雀は、金持ちだったかしら?」
と見上げていた地上の鶏が言った。
「貧しかったわ」
と別の鶏が応えた ....
∇
山吹が咲いた
湿った黒土の片隅に
一輪の山吹が咲いた
星が墜ちてきて
そのまま化石になったように
静かに揺るがぬ形を取って
冷たく黄光っている
そのくせこの世のもののように ....
鐘を失くした鐘楼の
倒れ伏した影が黄昏に届くころ
わたしは来てそっと影を重ねる
深まりも薄れもせずに影は
その姿を変えなかった
わたしは鐘
貝のように固く閉じ
自らの響きに戦慄いている
....
あかるいバスにのって
あかるいまちをゆく
肌にひっかかるような四月をぬけて
風がつよいので
往来の恋はみんな片付いてしまった
ゆるい靴紐
空があんまり白いとおもったら
端 ....
あなたは真っ白な豆腐みたい
自分のふるえでこわれそう
なのにだれにでも染まってしまう
味がないわけではないのに
だまって同化しちゃうんだね
どんなに小さくなってもなくなりはしないのに
....
闇の中で白い背中を
反り返らせていた君は
この夜が明ける前に
大人の女になってしまい
すっかり明るくなる頃には
どこか遠い林の中で
樹液を啜っているだろう
君と初めて出会ったのは
....
俺の袋には何もない
愛を知らないまま死ぬのだ
助けは要らない
足を引き摺って吟うのだ
俺の袋には何もない
あの世で何か見つかるか
ただ濃緑の盃を見る
気がつけば部屋の中に
砂が入り込んでいる
どんなに固く扉を閉めても
少しずつ床に積もっていく
朝に目覚めれば枕の上にも
細かい砂が散らばっている
(いったい何だっていうのよ!)
....
意味はきらきらふる星だし
正しさはもえる草原で
寝息は世界のかぜ薬
あなたの頬がやわらかいうちに
知ってほしいことがたくさんあるけれども
なにひとつ教えられることがない
だからいつ ....
僕の部屋の片隅に
久しく再会した
幼稚園の頃の先生が呉れた
ご主人の形見の下駄が
置いてある
夜の部屋で、ひとり
黒い鼻緒の下駄を見ていると
あの大きな背中と共に
からん、ころん、 ....
旅に出よう
今は汽車が走らない線路を
何処までも 何処までも
歩いて行こう
リュック一つを背負い
身軽なままで
あれこれ考える必要はない
ただ まっすぐ歩けばいい
春は足元の草 ....
コーヒーは苦かった
ビールも苦かった
君のも苦かった
みんな我慢して飲んだ
だって背伸びをしないと
水面に浮上できなかったから
細い夕陽が差し込む
放課後の体育倉庫
湿ったマットの ....
ゆびさきさえそこにあったら
ことばなんていらないのに
でも
私たちは
異なる2体の細胞だから
確かめようと
ことばを駆使して
ことばに縛られ
そして
泣く
軟体動物に
少 ....
せまい巣箱で
愛を買い
そして死なせた
原液に
浸っていく翼をみて
いやだと言ったのは
誰だったか
それとも
愛だったのか
ひとかたまりのきょうが
三和土でふるえている
ドアは開いてるというのに
もしかして、きのうも
ふきだまりみたいなこの部屋の
どこかに
きえかけながらいるのかな
きのうも、あし ....
コの行列
撃鉄におされて
くるしいや
僕はあと何番目?
友達は何列うしろ?
パチン
パチン
規則正しく一歩一歩
われわれは進んでいくのである
おい ....
糸球になって いつしか
あお空へうかびあがっていった
幼年期のぼくらのなさけなさ
小さな 薄明るい唇の
きれいなおさげ髪の女の子
もう 全然 うつくしくは ....
外の暗闇は凍てつき
東京から見える星は
得てして飛行機の軌跡であったり
人の歩みは先が見えない
部屋の明かりは暖かく
柔らかい空気に感謝をしながら
それでも脳裏に息づく痛みは
凝り固 ....
ひらべったい男がいた
ひらべったい顔
ひらべったい躰
ひらべったいネクタイ
ひらべったい挨拶
ひらべったい犬を飼い
ひらべったい車に乗る
ひらべったい紙幣を数え
ひらべったい歌をうたう ....
冷たい風にマフラーが揺れた
通いなれたいつもの帰り道で
何度も今日のこと思い出して
都合のいい解釈を当て嵌める
勘違いじゃなければいいな
頬が微かに熱を帯びていく
一人では抱え ....
君が歌だったら、いつまでも君を聴いていられる。
君が絵だったら、いつまでも部屋で眺めていられる。
だけど、君が人間でよかった。
僕の想像を越えていく、
歌にも絵にも留まれない君でよかっ ....
そもそも人間は
電気が無くても何千年と生きてきたのに
電気が無いと生きられないというのは変だろう
生きるための労働が
電気を使うための労働に変わってしまった
電気が停まったら孤独死してし ....
キミが折った舟が
わたしを載せて
すべるように小川を下る
冬にさしかかれば
時間が凍らないようにと
祈る
どこへ向かっているのか
きけばよかった
それはたぶん大切なことだったのだと
....
{引用=
つやのある蟻のような円らな瞳で、住みついている栗鼠のようにや
さしく微笑みかける。いま柔らかな月光によって冷ややかにコーテ
ィングされながら、か細く流れる川の音のようにやさしくせせらぐ ....
しょっぱいよね涙は
あまい涙を流したいな
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103