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日々洪水
あれから何度も間違えて
わたしは今も渇いています
年をとることはそんなに恐ろしくない。死ぬこともたぶん今は。生きていくことそのものはとてもこわい。この線のどこがねじれているんだろう、なぞっていくと、なめらかな一本であるのに、と思いながら味噌を溶い ....
花の名前を調べてる。恋をしたから
髪を梳いてる。恋をしたから
光を見つけて連れて帰る 恋をしたから
くだらない言葉を愛しはじめる 恋をしたから
花が枯れたら泣いて悲しむ、恋をしたから。
....
逆剥ける体の傍に花水木
あなたのことは忘れてあげる
温い土 簡単な嘘 五月雨に
思い出すのはあなたの背中
あたらしい皮膚に着替えて金曜日
胸ポケットにきれはしの恋
痛いのは気のせいですよと君が言う
だけどあなたも血だらけですよ
この夢はここでおわりと書いてある
字が読めないから先へ進 ....
はっきりと覚えていることがある。
むすめを連れてはじめて産院をでたとき、すこし肌寒かったこと。うちについたら宝籤が神妙な面持ちで尻尾をおろして出迎えたくれたこと。毎年見事に咲くモッコウバラが、もうほ ....
きょう、「のんでもいい」ぶんのお酒をのんでしまったら、お湯を一杯のんで、そしてまた「のまなきゃいけない」ぶんの薬を飲む。わたしは一生のうち、するべきぶんの恋をやり気ってしまっていると思う。思うのに ....
自由詩のお墓参り(10年ぶりの)、
黄色い花を想像しながら。
そこに何を見ましたか?
水仙、菜花、ミモザたち。
爪にもピアスをした、
耳にも、めにも、内側にも。
だから自由詩にも穴をあ ....
抱き合う日々の中庭に花を育て
枯れるばかりの木を持った
あなただけが擦り減って行くから
あなたに弱さを望んだ
それは醜い愛だったが
産まれたものを捨てるわけにはいかなかったのだ
....
むつかしい
愛についてを詠むきみと
忘れな草を眺めて欠伸
来て春は
まったくずれた笑ってた
踵を踏まれたスニーカーの愛
そうしてか、
意味なくしたか、
忘れ物ボック ....
封筒のなかで
街をそだてる
来る日も来る日も
細かくしたえさを与えて
ある春に
耐えがたい眠気に襲われるまま
5年も、6年も
あるいは500年も眠ってしまった
春は何度もや ....
友人のうちの前に咲いてる沈丁花を嗅いだ。これは終わりの方の春だね。
そしてそのうちのなかには猫が一匹いて(黒い猫だった)、あくびしたり、のびたり縮んだりして可愛かった。
お酒をあけて、ケー ....
忘れても忘れても噛み跡に花
陽の中に心を置いたので
影もまた 濃く残った
あなたを愛していた
誰にも知られたくなかった
誰にも
ふくらみは春の夢
はたまた、やさしい躓き。
うなずいて、みとめるのも、生活のふくらみ。
ちいさなふくらみ、よろこび
ふくらんでいくふくらみの、ちょっとした悲しみ
しぼんでいくふくらみ ....
特別なことのふりする春のあれ
ありふれてるけど見つけられない
蜜の朝なんども焦げた夢のあと
あなたのいない あかるい寝床
ねむる時あたしはかつて鬼だった
ことをすこし 誇りに思う ....
もうそこにある愛を押しとどめて
まだ愛していませんと言う
台所では蛤が体を閉ざし
海を放つのを拒んでいる
日差しのなかに愛がある
それはわかっている
ただ、その影で眠るのが ....
もういちど言ってください
とあなたたちが言う
わたしは爪を剥きながら
それはできない と思う
思いながら それさえも言えないでいる
もういちど言ってください
とあなたたちが言う
....
しってさあ、さいごが5文字でおわらなきゃいけないんでしょ?
それは唐突ななぞなぞ、幸福な問いかけ、伸びゆく枝が掴むあおぞら。
俳句のことかな?それか川柳?
うーん、そうじゃなくてふつうの ....
たべることが少し難しい。家にいると眠ってしまう。座っていても立っていても眠ってしまう。いもうとが、きれいなゼリーをたくさんくれた。それはおいしくてたくさん食べた。
それなのに、わたしの体は透 ....
いつか許せる、と言った口を蹴り上げる。いつも時間がこまかい刃を持っていてちりちり削っていく、形がかわっていく。たしかにわたしはいくつもの呪いをかけたと思う。うすべったくて温かい呪いだ。それはとっくにわ ....
あれからまた百年がたち
わたしたちは まだ無知だった
岩とか、波とか
空とか
そういうもののほうが
まだ世界をよく知っていた
まえの百年にしてきたことを
ひとつずつなぞって
....
薫るほど咲く街を見下ろして今
できればあなたを失いたかった
とても簡単に すべては失われ
冬の窓ガラスのように
冴え冴えと濡れて光った
街そのものだ
と
あなたが評した私
夕暮れの折 裂いた柘榴から
流れる血を見ている
けれど本当に
私がここにいるのか
判然としない
ビルを倒し 空を割り
海を干上がらせる
気持の強さに反して
指先ひとつも
動か ....
平らかな水面を刺して君の指
これはたしかな愛に為りうる
冬の澱
蝶ちょは部屋で凍えてて
あなたの指は光を集める
辞書を捲る指が
陽をうけて透けている
あなたの顔を忘れ 声を忘れ 名を忘れ
それでも愛を覚えている
香ばしい指が私の道を行く
だからわたしは地図として鳴く
触れるとも触れずとも落つ肌の上
あるかなきかの道標など
つまらない日々の余白を奪い合い
鳴いて見せたらああおもしろい
....
ため息を小瓶に溜めて息をする
浅はかでしょ?嫌いになってね
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