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すうっと眠くなって
文庫本をそのまま胸におくと
パタパタと浮いて羽ばたいて
パタパタと空中旋回
ひらりひらりと文字が落ちてきて
すうっと染みる
ひとつのひとつの言葉がぐるぐると
身体を巡 ....
春のなかで
君は自由で
ちょっと涙があふれそう
空が
向こう側にむけて
ぎゅうっと伸びていく
薄まっていく
絡まっていく
ぼんやりと窮屈な春のなかで
君は自由で
ぼくは ....
わたしたちは 忘れてしまった
どんな手も
水を産むことはできない
湛えた夢が 溢れながら
事象を繋いでいく それが
現実でないことに
どれほどの意味があるだろう
裏返り 反転 ....
オナモミのように世間にしがみつく奴
落花生のように自分の殻に閉じこもる奴
球根のように地に足つけて生きる奴
綿毛のようにふわふわと漂っている奴
その
遥か遥か上をトンビは飛んで
....
パンはもうすぐ焼けると思う
夜が来たり
雨が降ったりする
人間の気持ちを傷つけたくて仕方がないときがあり
着替えて
街を廻る
そんなふうに
蓋をして
砂みたいになっていく
....
{引用=モデル}
マネキンのようにスラリとして
颯爽と 人前を歩く
絵画や彫刻の面持ちで
料理を盛る皿よりも大切な役目を担う
これを着たら
あなたもわたしのよう
美は憧 ....
さむい朝
世界じゅうで息は吐かれて
甘い詩をなめて生きていくの
といった
彼女が死んだ
夢の途中で転んだので
ためこんだ時がみんな流れてしまった
這う
ほそい道を
わたしたちはみんな
おなじように無意味
むかし
ただの風だったころ
女の子がうらやましかった
くつ下が白くて
かみも頬ぺたも
ひかり、ぴかぴか
そして
ただの女の子だったころ
女たちがうらやましかった
手も足も自由 ....
くまは瀕死だった
ぐるりを人間たちにかこまれて、
路上で、濡れて
だいじょうぶですよ
とくまは言おうとした
ひとりで死ぬから、だいじょうぶです
「殺せ」
とだれかが言った ....
爪から
ほそい光がでるようになってしまった
愛されすぎですね
と
医者が言った
でもだれに?
という問いには答えずに
気をつけてください
光のぶんだけ
影がたまっていきますか ....
私達は 窓枠にはなれない
カートにも ジムにもなれない
あなたをとても好きなのに
愛してはいなかった
夜がくるとおびえて
シャツのすそにかくれてしまう
ぼくのきみ
100年も逃げまどって
かえってきたかとおもえば
もう出たそうにしている
鍵はかけてないんだよ
と言うと
錠を買っ ....
1. ドアを開ける
2. ドアを通過する
3. ドアを閉める
4. ドアを開ける
5. ドアを通過する
ドアを閉めなければ次のドアを見ることができません
次のドアの前には空間が ....
こうもり
羊飼いの夜をたべ
眠たい指をぬすむ
みたいにして
重たい 重たい
朝が
木香薔薇の花びらより
散り散り鳴っていく
まどろみ
落ちゆく空の白い際
いまも街では恋 ....
そうして春が去ったところへ猫が這入ってきて、
ごろなんと寝転んだ。
僕は寒いねと言い、
君は四十五度斜めと言った。
赤い新聞紙?と僕が尋ね、
そうそう、くじらのボールペンと君が答えた。
....
季節はつぎつぎ仕舞われて
ま新しいシャツの朝、とびはねた分だけ沈む靴
いつ吹雪がきてもいいように準備しておくんだよ。
たんぽぽを乾かして瓶詰めにして
転んでも泣かないように、いつもすこ ....
どこかが開いている
この部屋には
窓がないのに
寝息が 夜をみたし
空の端をそめていく
昏さは
甘えようとすると裏返る
すきだとおもった指あとも
いまいましく沈んで
....
街からゴミ箱が無くなった
公園の土管が消えた
しじまばかりが拡がる住宅街
子供達の声が聞こえない
子供達はどこに行ったのか
缶蹴りも無くなった
ドロケンも必要なく
鬼ごっ ....
音のないテレビが
空間を蝕んでいる 明けがた
熱は引くどころか
からすたちがつくる
今日の切り取り線を
はやく裂かなきゃ
でも なぜだろう もう
からださえ ここにはないのだ
....
とおーい 声がするのを、するのを見ている。蛇腹にたたんだ気持のなかで子どもが泣いている。あかるい窓べ、海べ、岸辺。
心に彼岸はないから、いつまでも分かり合えない。猫たち性懲りもなく恋する。
....
節度のある幸福
なんか
いらないんだわ
除菌スプレーくさい
おんなたちのなわばり
ドーナツの行列にも
校庭の整列にもつながれなくて
ゆく先の石をいちいち数えてた
それでも熊 ....
これからあと
いったいいくつの箱を開ければよいのか
ぐったり濡れた僕に箱は届く
僕は開ける
そしてまた箱がある
僕は開ける
また箱がある
僕は開ける
箱がある
僕は開ける
....
夕暮の美しい街に居て
かるい目まいと茫洋
健やかに汚れた指
埃くさい夢
磨かれて 傷だらけの
幸福は紙の羽
完璧に白く優しくて
風が吹くほど良く燃える
日々の傾き
わたしたちは
あかくなる木々にもおびえて
言葉のすき間に
場所をもとめた
磨りがらすのように
ざらついた気持で
いっさい誰のものにもならない
なにひとつ手にもたない ....
おはようと さよならと
犬の鳴きごえ 耳の色
右手のかたち 指のおと
この世界を忘れるために
規則ただしく生活をして
この世界を忘れるために
夢中で愛や夢をして
おはようと さよ ....
輪郭のない夜がわたしたちを丸ごと置き去り
白紙のうえで迎える今日
枕に触れ 頬に触れ 壁紙に触れ プラスチックに触れ
でもこの世界に触れることができない
淋しさがわたしの中にあるのか
....
よく晴れた十月の午前
山の上の一軒家にひとりで住んでゐる松倉さと子さんのところに
郵便局員がたずねてきた。
「ごめんください、お届けものです」
「あら、何でせう」
「どうぞ ....
あなたがいると、
世界は
星くずみたいになるから、
右や 左や
上や 下はなくなって
きらきらざくざく溢れゆく波になって
みんな 傷まみれで
ひかって、
転ぶみたいに流れて ....
男の子が砂漠に沈んでいく
女の子も砂漠に沈んでいく
女の子にみえる男の子も沈んでいく
男の子にみえる女の子も沈んでいく
背の高いひとが沈んでいく
背の低いひとも沈んでいく
痩せているひ ....
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