すべてのおすすめ
どの道も
少し進んだところでたち消える
草原の三叉路
生い茂る草は風の方角に
倒れては起き上がる波
恋慕い
探し求めたものを見失い
(つまり触れ得た事のないものの喪失のあげく)
....
マフィンはいらないよ
くたびれた風のように
もうここを出ていくから
皺のとれぬシャツのために
ハーモニカを吹いてくれよ
冷めたコーヒーをすするよう ....
ぼくはいつも
見当違いのことばかりする
マンボウ、
鉛筆の先がじょじょに尖る
マンボウ、
ポロシャツの赤が褪せて落ちる
思い出と花の色は白い
ビニ ....
パチンと弾けとんだ
洗濯バサミ
ひらいて、はさむ
どんなに風の強い日だって
あなたがいいというまで
ただもくもくと
しがみついてきた
のに
繰り返されてきた
しごく簡単な仕組みが ....
さようなら
さようなら
みんな簡単に手を振るけど
この夏は
一度きりの夏
君も
甘夏色の帽子を振って
家路につくんだね
足首ひねり激痛ひろがる青空
君のいえまで後すこし
文学すてて
お祝いしましょう
今日は君のたんじょうび
コンクリートぬらす通り雨
言葉でつくられた虹ひねり潰し
現代詩すてて
お祝い ....
風の入らぬ蒸し風呂部屋で
汗を拭きつつもろこし齧る
年に一度の逢瀬より
うだる暑さに流されて
来年こそはエアコンに
冷たくされたい女の ....
凪いでる 凪いでる
ここはがらんどうの海
無風世界
石をちりばめる
空にちりばめる
ゆびさきがぬるい
目にしみる涙
んっ んっ
母をよぶみどりの子
宛て先な ....
父の死後 葬式が終わった次の日から
働きに出た私を 奇異の目で見る人もいた
供養が足りないと 言う
しかし 私は働きにでて良かったと思う
泣いてもわめいてもどうにもならないのだ
日常を取 ....
いたみ。
それがひとつ、
水たまりにうかんでる。
とろとろの月といっしょに
サンダルをひっかけて
コーヒーを買いにでたり、
すこしだけひらい ....
何時の頃からか詩が化けている
病身の助けになればと書いてみた
介護詩は気味の悪い怪語詩に
看護詩はよく解らない漢語詩に
理学療法詩はまさかの自爆消防詩だ
イガ栗養蜂詩になりたいと打 ....
汽車にのって
なまぬるい水筒にぼくは口をつけた
鞄からとりだしたおむすびは少し
いびつな形にへこんでしまった
ほおばりながら見まわしてみるけれど、
このなかに ....
しろい壁に
夏がからみついている
目に見えないほど小さな
花々が咲き乱れ
呼びかけたはずの声はどこか、
遠いところから戻ってこない
あざやか ....
ぼくはいまでもあの質問を忘れられない
妻が妊娠して臨月になった時に
彼女は重い妊娠中毒症に罹り入院していた
こどもが生まれそうな日にね
ぼくは病院に見舞いに行かずゴルフ場にいた
医師の暫 ....
ここに
コンクリートの破片がある
砂と水を固めて
作られた人工の石たち
人が集う会館になり
公園の遊具になり
学校の名を刻む門となり
新しい道となり
駅となり
小さな島に架かる橋 ....
君に会ってから空が青い
酷い話だ
身内が横たわっていても
涙一つ出やしない
酷い話だ
悲しくならなければいけない
と自分で言い聞かせても
涙一つ出やしない
酷い話だ
死に顔をじっくり見ても
とて ....
ペットショップで
赤ちゃんを買ってきた
うまく育てれば二十年生きますと
ペットショップの人に言われた
赤ちゃんはかわいかった
けど次第におとなになって
すねたりして
おとなし ....
笑え、笑え
この世の下らぬ嘘を
全部笑ってやれ
その嘘で人を騙す者を
笑ってやれ
その嘘を信じ抜く者を
笑ってやれ
その嘘を愛する者を
笑ってやれ
その嘘に一生を賭け ....
草の皿に
いっぴきのいなごがとまっている
ぼくはいつも色んなことを
すぐに駄目にしてしまう
砂団子のように丸く脆く
君への思いを胸のなかに固めて
....
がれきを噛む
直角の月光がきみの
糸切り歯を白く燃やしている
かなしみを心にとめ
そして死ぬように忘れ、
忘れるように死んでいく
もろく、
....
だきしめたものはなんだろう
あの雲にのって
ほんの子どもみたいな
ばかげた思いをしょって
ただ、あたたかな
かおりだけのこったこの手
なんだ ....
裏返った猫がまどろむ
火星移住計画って聞いた事があるかい
嘘か本当か この星を捨てて
火星へ転がりこもうって考えている人達がいるそうだよ
彼らにとって 愛する という事は
味が無くなるまでひたすら噛み続けた後に
....
僕が誰なのか
僕は知らない
僕は世間話をする
僕はアルバイトをする
僕の年収は二百十万円だったり
一千五百六十二万円だったりするのかもしれない
僕の年齢は三 ....
見つめたい目がない
陽を逆算して踊る心模様
否を受け入れて見えてくる絶景
うねる髪は群れる揺れる速乾詩
忙しい少数派の毛虫
寝てばかりの石を裏返し
叩き割り起こす神社前
鉛雲に負けるビニール傘
雨の一粒一粒 ....
少し横顔を見せただけで
思わせぶりに去っていく夏
雨が 家々のトタン屋根から
ライラックの葉の一枚一枚から
信号機の黒ずんだカバーから
夏を洗っていく
雨が 夜更け ....
ひたひたと
ありったけの水を吸い上げ
あおく
あかく
丸く
咲く
装飾花は結実しない
ただ
水をひたらせる
小雨
大雨
さみだれ
にわか雨
夕立ち
根拠のない憂鬱 ....
全部嘘でしたって言おうよ
本音なんてない
ただ
この建前だけが
本当でした
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