すべてのおすすめ
毎晩ネットで
ばかなことばかりつぶやいてると
ばかな女があつまってくる
あたしのばかを
代弁してくれてありがとうと
ご丁寧にお礼をなさる
みなりっぱな
女のひとばかりなのだ
....
接続詞を
石の上に載せ
はげしさを宿した鉄でもって
あなたが叩いている
灰色の部屋に閉じ篭って
その外を通りがかると
カンカンと逞しい音がきこえる
....
川沿いを歩いていると
色鮮やかな
もげた螺旋階段がくるりと横たわっていた
私は危ういバランスを保ちながら
登ってみると
先に透明色の螺旋階段が伸びている
そうっとゆっくり
どっこ ....
僕の家の水道水には
カルキとカルマが含まれている
カルキは浄水器で
取り除けるかもしれないけれど
カルマはおいそれと
消えて無くなってはくれない
僕は毎朝
カルマで顔を洗 ....
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
家に帰って、腰を下ろし
一才の周をだっこすれば
小さいいのちの温もりが
このお腹にあったかい
この両手を
短い足の膝下に組んで
右に左に、ゆさり、ゆさり
パパは君の ....
大晦日 日系スーパーまで高速を飛ばして 注文していたお節を2組取りに行く
太巻きとシアトル巻き、上の娘の好物のイクラの瓶詰と、
私しか食べない刺身も一緒に買う
「Japanese noodles ....
雑木林に捨てられた
大きなブラウン管テレビが
ただ転がっている
近づいて中を覗くと
ガラスの外には
私の知らない家族が映っていて
こちらを何も考えずに
ぼうっと
のぼうっと眺め ....
カモシカの眼が二つ
側溝で雨にうたれていた
遠い昔の話のような
青空の粒子が今、
その奥で消えようとしている
ビニールコートのフードをおろして
ほろ苦く ....
年が明けて何かが変わるかもと
歳の数だけそう想って来たけれど
一度だってそうであったことなんてない
悲しみは悲しみのまま
しんどさはしんどさのまま
ずっと飲み込んできた酸っぱいものが
....
11月7日にぎっくり腰になった
労災で治療院に通院して二週間経っても
一向に良くならず動けなくなり
悪化していくばかりのようだった
15日目に事務所から
電話で呼び出され
狭い面談室で ....
季節の車輪を転がしながら
時代の坂道下って降りて
さあ年の終わりと始まりのテープが切られました
あなたの目にはどんな時代が見えますか
世界は灰色にもバラ色にも染まります
....
世界平和なんて願わなくていい
家内安全、商売繁盛、合格祈願、恋人ができますように、何だっていい
目を見開き、そして願え!
今日が終わる
あなたの背中のうえで
今日が終わる
犬の鳴き声
今日が終わる
ひらたく冷える空
今日が終わる
祈りと祈りでないものを混ぜて
今日が終わる
煮炊きの幸福
今日が終わ ....
おわりに腰をかけて
せなか側の世界をのぞいた
おわりに腰をかけて
いったいどちら側へゆけばいいだろう
いま
星がわずかに降っている
主婦が三日寝込んだだけで
高く高く それは高く
見事に築き上げられた
お皿の山
洗濯物の山
子供が引っ張り出したガラクタの山
塵・埃・ゴミの山…
実家を離れて初めて知った
美味しい ....
みおろす私は水に似て
あるく人びとは胸いっぱいの記号を抱えている
穴のあいた人間にばかり恋をして
たどりつく知らないまちで
気が付けばまたみおろしている水のさみしさよ
結局 この国が失ったものは
任侠という精神だろう
任侠を暴力団に擦り代えることで
強きものを挫き弱いものを救うという
ひととしてしごく当然のことを
捨て去り邪険に扱うことで
多くの ....
あなたが望む世界がひとつ
彼氏が望む世界がひとつ
親兄弟とか仲間とか他人とか
でも同じコルクボードに鋲で留められる
百個は許しても一個はあなたのものだ
その一個が
大好 ....
光の通り抜けるのがずっと遅いガラスには
青い光りが灯るんだって
ずっとむこうの、またそのさきの、
もっとさきの、そしたまたさきの
星の明かりが言っていた
光の通り抜けるのがずっと遅い ....
クリスマス以降
全くやる気が起きなかった
どうにか今日で仕事納め
やっと時間が心に追いついたのだ
裸婦像みたいな街路樹の肩にカラス
除雪車に削られた白い壁に車を着けて
ふ ....
自転車を走らせながら
夜空を眺める
近くて軽い
感触が迫っている
もう少しで届くよ
立ち上がり私は伸びていく
ビルよりも高く
今日食べたラーメン
箸です ....
子供が生まれて初めてのクリスマス・イブの朝
旦那がプレゼントは何を用意したか?と訊いたので
「絵本とぬいぐるみ」と答えると
「そんなんじゃ、全然足りない!」と言い放って家を飛び出して行き、
ま ....
ロマンティックが好きである
もう恋をする年ではないけれど
恋をした思い出なら
心のポケットにいっぱい詰まっている
怒りでベッドに
携帯投げつけたことも
男の背中をグーで
思いっきり殴 ....
風が冷たい
身体が冷たい
だけれども街から溢れだす明りは
なんだか暖かそう
溢れ出す人々は優しそう
私がぽそぽそとつぶやく
他愛のない言葉に
そうだよねと
頷いてくれているようだ
....
I wish my wish I wish my wish
宗教や人種の違いで 人々が争い血を流さないように
I wish my wish I wish my wish
幼い子供たちが ....
人と街が食べあっている
道路にたち
あふれるように行き交う時間の
どのひとつにも乗りこめない
きのうの夜
きみが外した錠を
どの時間にかざしてみても違う
もうだれにも会え ....
ひとは順調なとき
神のことなど想い出さない
逆境に陥ったときだけ
神に助けを求める
ひとは健康なとき
神のことなど想い出さない
ひとは重篤な病に侵されたとき
神に祈りを捧げる ....
小学校は
投票所になっていた
冬のひととき
ぶらさがるカーテンの波を
光の風が揺らす教室
長靴にしのびこんだ
濡れ雪を気にしながら
ま ....
床をみがいて
部屋じゅうに火をうめる
相変わらず窓べに立って
術なくそとを見つめる
知らないひとの背中が
つぎつぎと消えてゆき
今日も今日が終わるね、
と言うと
終わる ....
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