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◇暮れ

年が暮れる
暗い時代の予兆は
そのままに

初日は
それらを
もろに背負つて
出てくるだらう


◇木にぶつかれば

蝸牛は彼なりの歩みを
何昼夜もつづけて
 ....
 詩とはそもそも預言の性質を持っていると、
私は考えている。過去をさぐって、未来に役
立てるのが歴史とすれば、詩とはもっと漠然
としたものを、実証に基づかずに、さらに言
えば、無責任に ....
湖心から湖畔へと

一艘の無人の白いボートが

静々と漂つて来る

寄せくる波に身を委ねて

従順な驢馬のやうに

いつたい何を乗せるつもりなのだらう

あるいは誰を
 ....
◇尾瀬ケ原


虹に遇ふ

もつとも

さやかなるときに



◇車窓より


白鷺は立つ

点々と



四、五枚の

刈り田に

一羽



 ....
なぜ湖がよいのか

一望にできる姿をしてゐるから

瞳のやうに澄んでゐるから

四囲の風景をとかして

もう一つの世界をつくつてゐるから

おそらくそれら諸相に根ざして
 ....
◇光


雪山には

光が爆発してゐる

人影はなく

光の爆発はつづいてゐる


◇粉雪


粉雪がさらつてゆくものは

甘い想ひ出と

酩酊

ちりち ....
栗林沿ひの道を歩いて行くと

コツンと固い音が

地に弾けてやんだ

少し行くと

また同じ音がして

生きものめいて

転がつていくものがある

――栗の実――

 ....
 これは特定の人を指して書いたものではありません。
私たちの周りにはある日、それこそ不意に姿を消してし
まう人がけっこう多いのではないでしょうか。この現代
詩フォーラムでも、気振りにも見せずにい ....
◇コスモス


炭鉱の閉山跡を

コスモスが埋め尽くして


炭鉱夫の青春が還つてきた

背景はあまねく

コスモスと青空



◇金魚


金魚は

いくら ....
緑濃い{ルビ山陰=やまかげ}から
ひらりと紋白蝶がさまよひ出た
断崖の下は海の群青
湧き上がるすでに夏とはいへぬ
冷ややかな風を器用に避けつつ
蝶は陸に沿つて舞ひはじめる
波打ち際には
 ....
来る日も来る日も
欲しいだけの陽は降り注ぎ
水の恵みも充分受けてはゐたが
代はり映えのしない日々に
嫌気がさして
葉叢のなかの一枚が
ある日 ひらりと裏返つた

―決して気紛れでは ....
毬栗が黄緑色に膨らんで

山の稜線を彩つてゐる

棘の一本一本は張りつめても

刺々しさはなく

光と風と大気に丸く包み込まれて

和んでさへゐる

さうしてなほも ....
雨が降つてゐる
黄色地にピンクの花を咲かせた
美しい傘の乙女が行く


雨は 
乙女の傘に弾けるときだけ
ぱつと明るく輝く


車道を車がきて 
泥水を撥ね上げる
乙女は傘を盾 ....
真夜中 岸辺に泳ぎ寄る魚は
不吉なほど黒い


昼の海からは
想像もできないほど大きく
ものものしい動きをする


これは
寝静まつた陸に
少女をさらひにきた悪魔の影だ

 ....
朝顔の 露に張りつめた花びらは
美しい
しかし 弄れば弄るほど萎れていく
ダイヤは研けば研くほど
耀きをます


あなたはどちらが真に
美しいと思ふだらう
いや 野暮な問ひは止め ....
それは自然のなせる業にはちがひないが

梢からまつすぐ

命中するやうに頭に降つてきた木の実

重たく硬い木の実


何か不当な打擲を受けたやうで

穏やかではなかつ ....
笹薮の中の

一輪の百合よ 

かぐはしくも

夢幻のやうにともつてゐる

白い灯よ



潤ひのない荒野に 

花弁をひらく

おまへのその

ひそやかな立ち姿は ....
◇雁

ビルの間を

雁が渡る

窓からいくら叫んでも

届かない

天上の

賑はひをもつて



◇火口湖



火口湖に

白鳥がひとつ

燃えて ....
 

大きな肉の塊をくすねてきて
食べ飽き まだ半分以上も残つてゐるとき
犬なら 空地へ引きずつて行つて
埋めておくが


猫は そこに放り出しておくだらう
無関心かといふと さうで ....
野辺のコスモスと
上を舞う鳶は
同じ風の中にいる
コスモスの花びらの反りと
鳶の羽の反りは
風向きのままに靡いて
一心同体

陽光の眩さにしかめる花の仕草も
鳶の眼の目くるめきも ....
 


深夜に

マリをつく者がゐる

深いえにしの糸で

操られてゐるかのやうに

マリは闇の奥にのがれていきはしない



人がマリをつき

その手をもう一つの見 ....
ぎらつく夕日を受けて

入江の港を出ていく船がある

あの火玉のごとく直進するものは

いつたい

いづこへ

いづこの国へ



いや そんな単純明快なものではな ....
いつもの散歩のコースを延ばして
枯野に入つていくと
遠出の猫に出合つた
こちらも私と同じく
猫族を逃れてきてゐるのか
それとも人界を逃れてなのか
しばらく様子を見ることにする
いくら ....
 花の枝


夕景の中
もの思ひに沈んで
俯き歩いて来ると

花の枝が
通せん坊した

朝出掛けるときは
なかつた

―花の枝―

それが夕方
出現してゐる

天使 ....
旅先で母親に背負われた赤子から
青梅を貰ってきた
長く握々されて熱くなった梅なんか
欲しくはなかったけれど
どうしてもやるというので貰ってきた
いらなくなったからじゃない
奴らは一番好 ....
巌に一列に並んで
暮れなずむ彼方に見入つてゐる鵜よ

さうしてゐれば
見えなくなつていくものが
現れてくるとでもいふやうに
水平線を見据える鵜よ

こんなにもひしひしと迫り ....
女が日盛りの中 黒い蝶を追つてくる
蝶は女の心の反映そのままに
定めなく飛び 深い森に迷ひ込む

木下闇の黒蝶は 決して見えない
陽だまりに現れるのを待つしかないが
いつまでも待つ ....
森の出入りは
神秘のベールに包まれてゐて
だれがその中に入つたかなど
識別できるものではない


少女が森に吸はれてゆく
光と闇の二極が
あまりにも霊妙に
相和してゐる扉を押 ....
みづうみは傷ついた渡り鳥の
保養所
三日も水に浮かんでゐれば
癒しは全身に及び


いざ 
出立の羽搏き
あがる飛沫の半ばは
鳥の離別のかなしみ


みづうみは
 ....
喪服の婦人が森から出てくる
入れ替はりに
首うなだれて一羽の鶴が
森へ吸ひ込まれる


霧たちこめて
婦人も鶴も胸まで霞んで
二者はどこで擦れ違つたのだらうか
ともにもういづこに ....
石瀬琳々さんの杉菜 晃さんおすすめリスト(39)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
小詩集__日は出づ__暗き予兆のまま- 杉菜 晃自由詩2007-1-2
わたしは、アルファであり、オメガである- 杉菜 晃散文(批評 ...12*06-12-7
ボート- 杉菜 晃自由詩15*06-12-7
小詩集__雪の扉- 杉菜 晃自由詩15*06-12-4
静けき時間- 杉菜 晃自由詩11*06-11-17
光_・__粉雪_・_蟻_・_・_・- 杉菜 晃自由詩15*06-11-11
命の音- 杉菜 晃自由詩11*06-11-10
消えてしまったひと- 杉菜 晃自由詩6*06-11-2
コスモス_金魚__・・・・・- 杉菜 晃自由詩13*06-10-29
白い旗_夏の終はりの海岸線- 杉菜 晃自由詩14*06-10-27
気紛れではなしに- 杉菜 晃自由詩15*06-10-25
山栗- 杉菜 晃自由詩14*06-10-23
乙女の傘- 杉菜 晃自由詩6*06-10-20
正義のパトロール- 杉菜 晃未詩・独白9*06-10-16
それは_あなたの中に- 杉菜 晃自由詩12*06-10-16
頭に弾いた木の実について- 杉菜 晃自由詩12*06-10-14
白百合- 杉菜 晃自由詩13*06-10-7
雁__火口湖__山肌__他_・・・- 杉菜 晃自由詩12*06-10-5
気まぐれ猫- 杉菜 晃自由詩9*06-9-30
インターネットに見るある少女の独白- 杉菜 晃未詩・独白7*06-9-28
マリ- 杉菜 晃未詩・独白5*06-9-27
一つの決心- 杉菜 晃未詩・独白6*06-9-24
枯野にて遠出の猫と遇ひにけり- 杉菜 晃散文(批評 ...7*06-9-23
花の枝__岬- 杉菜 晃未詩・独白6*06-9-20
青梅の幼子の手にあまりけり- 杉菜 晃未詩・独白13*06-9-18
列島の鵜- 杉菜 晃自由詩8*06-9-15
黒き蝶- 杉菜 晃自由詩6*06-9-12
森に生きる少女- 杉菜 晃未詩・独白4*06-9-8
保養湖- 杉菜 晃自由詩5*06-9-7
- 杉菜 晃未詩・独白8*06-9-7

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