すべてのおすすめ
半地下の車庫 ゆらめくビニール紐
秘伝のたれを足していますと口が
次のバスターミナルまで追いかける
この裏はアパホテルがあるはずの
のぼりが立っているのに風がない
畳がさ ....
秋の夕暮れ
夕暮れに白き根を噛み青き菜も
紅い水コップにつぎて砂糖足す
聖霊のたすけをかりて聖書読む
玄米のかゆを食みおり鮭そえて
賛美歌を歌う秋の日こころ富む
造 ....
満月や野分のあとはちりほこり
脚二本欠けて眠れり秋の蜘蛛
物音や今年は柿のはづれ年
銀杏をつぶして行けり救急車
行秋や祭りのあとの歯の痛み
晩秋や恥を数へて夜もすがら
....
初空や猫の匂ひの懐かしき
お愛想もちう位なりねこが春
初夢はせつなきものぞ恋の病み
年立つもかはることなし恋あはれ
祖母恋しおせち料理の塩からさ
家のなき人もをる ....
初冬や子猫も蓑が欲しからう
子猫らを懐にして影寒し
ひざに乗る子猫二匹のくさめかな
子猫らの声はすれども枯むぐら
ひとり寝も夢はふたりぞ冬ぬくし
衰へや詩 ....
きらきらと揺らぐ山河や鳩の笛
盆踊りでは声だけが人のもの
馬鹿野郎と鼻をくくられ鳳作忌
小鳥来るわたしのかけら啄みに
雨少し。青無花果に金の粒
めくら猫のまなこに残る暑さかな
病み猫やうつらうつらと露の夢
月あらば三人なるべし手酌酒
空に書く恋文かなし秋ごころ
秋風や祖母の時計はまだ動く
舌先の恋の匂ひや夏の夢
病み猫の腫れたる乳の暑さかな
天翔ける十九の夢やみなみかぜ
紅薔薇は何億年の恨みかな
なつの恋はかなしき純白
夕立や街は恋なき人ばかり
....
しめやかに夏に入るなり大往生
涼しさやまぶたを閉ぢる指の先
通夜に
棺の前のビール二本の宴かな
母の日や悲しき花にうづもれて
なき人をひき立てて咲け初夏の花
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かげろふやガソリン一滴惜しむ日々
花散るや小猫は野辺に腐りつつ
病む祖母のひとみ濁れり藤の花
わが胸は花花花とうづきけり
秘めごとは肉の匂ひや落椿
佳き人のお尻は白し夢の ....
うぐひすやゴミ捨てる人拾ふ人
やはらかき子猫の腹や春の風
菜の花やまにまに猫はキスをして
会ふたびに会ふたびに胸はあたたかし
片恋や今宵の花は一分咲き
春眠や夢も ....
淋しさやスズカケノキの鈴の空
野辺の日に子猫のあくびうつるなり
のどかやな運転しつつ一句二句
捕まってたまるものかは犬の春
雪どけや恋しげに飛ぶ尉びたき
爺婆が黙して歩む余寒かな
春の夜に思ふ人あり物の音
三月 ....
歩むうち瞼閉じたる冬日かな
尾の長き生き物らしい。寒さとは
爪並べ指を揃へて朧かな
春の月唐突に死の淵に浮く
ぎいという音も絶えたる冬日かな
春満月雲に隠れて何思う
大空も春の色してウキウキす
眼差しの先で生まれる春景色
曼珠沙華、燃えて燃えてなお夢の中
オホーツク海を目指した鰯かな
撫子の可憐を食む羽虫達よ
うろこ雲幼き日に見た水彩画
流れゆく、うろこ雲さえ息を止め
アロワナに憧れたんだ ....
口数の少ないような枇杷の花
寒鯉や右も左もわからない
羽ばたいて夢探してる鷲一羽
ありし日の浄土の園で蓮根掘り
山葡萄ボージョレヌーボォになれはせず
生るもののない畑に散る冬紅葉
しりとりをしてもひとり。
カレー食う、ひとよひとよにひとりみの
歯ブラシにシェービングジェル、五月雨の朝
銀の雨紫陽花染むるレクイエムか
傘を振りソールが弾く音、てゅるりらっ
....
時計草針の向こうの夢ひとつ
真夜中をライトの如く照らす柿
天空の光で騒ぐ紅葉かな
何もない空一面の爽やかさ
月ひとつ私を見てる夜の窓
夕暮れになくした道を思い出し
きらきらと空は大漁鱗雲
天の川銀河鉄道夜を往き
曇り空ひとり淋しく留 ....
薔薇喰へば詩人
悔やみきれぬ漆黒の髪長し
萩散る恋散る
満腹猫の小憎らしさよ
雲間を逃げるホワイトジーンズ
欲しいものは淫らなギター
まばたきする度に薔薇
片 ....
831 手に手を取って 夏と逃げ
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や
誘蛾灯十枚の爪かかりけり
泳ぎきし手足を埋めて砂の城
真夜中の汗つま先へ到達す
扇風機ふいに大きく頷けり
蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
庭より白猫の帰り来るもう秋
せせらぎに
優しさよりも
愛情を
虫の声
心に戻せと
願う夜
轟流に
逆らう事も
芯になり
水の色
透かして見てる
....
夏終わる紙幾枚か燃えながら
扇風機止めて静まる夜更けかな
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